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【訃報】ナワン・ゴンブ(Nawang gombu)氏 逝去

3063724月25日、チベット出身のシェルパ、ナワン・ゴンブ(Nawan gombu)氏がインド・ダージリンにて逝去。1936年生まれの75歳でした。
 ナワン・ゴンブ氏は1953年のエベレスト初登頂を果たしたイギリス隊の最も若い隊員ということで英米メディアでは取り上げられていますが、なんといっても1963年にアメリカ隊の一員として、今やアメリカ登山界の重鎮であるジム・ウイティッカーとエベレスト登頂、さらに1965年にインド隊の一員として再度エベレスト登頂を果たし、世界初のエベレスト二度登頂者であったことが知られています。インド系の英字メディアでは、インド人初のナンダ・デビ登頂者としても強調されています。

 本人はネパールのクムジュン出身と主張していたようですが、everestnews他多数のメディアで明らかにされていますが実際はチベットで、チベット僧ナワン・ギャルツェン、元尼僧のラム・キパとの間に生まれました。
 シェルパと関わり登山を経験してきた身としては不勉強で申し訳ないのですが、このあたりの出生の事情に諸説あるところは、チベット、インド、ネパールの複雑な政治状況、シェルパ達のコミュニティの問題があるのではないかと推察します。
 注目すべきは母親であるラム・キパは、エベレスト登頂を果たしたテンジン・ノルゲイの長姉であり、ナワン・ゴンブ氏にとってテンジンは叔父にあたります。実際にヒマラヤ登山を経験された方はご存じかと思いますが、シェルパ達はチームを組むにあたって血縁関係を重視します。エベレスト登山華やかなりし60年代に二度登頂の機会に恵まれたのは、こうした血縁関係と無関係ではないでしょう。

Nawanggombu_2
右からテンジン・ノルゲイ、エドモンド・ヒラリー、ナワン・ゴンブの各氏。

 ナワン氏はその経歴により、シェルパの名誉称号であるタイガーメダル、エリザベス女王、ナショナルジオグラフイック社からの叙勲・受賞、ケネディ大統領からホワイトハウスへの招待等々、数々の名誉に輝きましたが、それ以上に多数のシェルパ達の指導・育成にあたった功績が評価されるべきでしょう。インド登山隊の隊長コーリ氏も、「インド登山界をさらにステップさせる役割を果たした」と証言しています。
 インド系メディアによれば、亡くなる直前にはそれまでの生涯、登山を本にまとめたいとの意欲を示していたと報道されていますが、それはかないませんでした。また一人、ヒマラヤ登山の貴重な証言者を失ったことになります。あらためて故人のご冥福を祈ります。

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