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花の山。

 14日、クライアント9名を引率して奥羽山脈の片隅にある某峰をガイド。

 縦走という企画であったが、下山路のある斜面の残雪が多く、登山ルートの内容を勘案して往復コースに変更させていただく。
 
 今回のガイド山行のオファーをいただいた時点で既に担当者様が一度下見に入っていたのだが、それから日数も経ち、雪解けも進んだかなと思いきや、稜線から北側の斜面はまだ残雪が豊富。

 13クライマーである添乗のHさんもコース変更をクライアントに切り出すタイミングに苦心されていたが、私は登りながら、また頂上稜線で帰路のコースを目視しながら、一つ一つの要素を考え、結論は決まっていた。

 頂上に達したところでクライアントの皆様にコース変更を説明させてもらう。お話すること、そのこと自体にさほど勇気は要らない。私は人と話す、人とコミュニケーションをとる能力は「普通」以下なのだが。

 むしろ気になるのは、クライアントの反応だろうか。
 標高1000mそこそこの山とはいえ、クライアントを安全に下山させることが私の仕事である。
 そう自分に言い聞かせるまでもなく、幸い山慣れたクライアントの皆様だったので、ご了解いただく。

 ツアーのお客様は、個人ではできない縦走形体を志向して参加するお客様が多い。
 しかしその想いと私の判断は、別である。

 山自体は沢山のカタクリやニリンソウに覆われ、クライアントの皆様も楽しまれていたようだが、私自身は残雪期の東北の山ゆえのガイドの難しさを味わうことになった。


 この山行で気づいたことがある。

 下山中、往復コースを辿ったことにより、一度登った登山道を下っているはずなのだが、幾人ものクライアントが

「こんなところ、登ってきましたっけ?」

 と何度も口にしていた事だ。
 それはクライアントの皆さんが登ることに必死で、周りの景色すら記憶に残っていないことを意味する。
 すなわち登っているお客様に余裕を持たせられない私のガイディングに責があるように感じる一方、「道迷い」って、このような事も要因の一つなのかと考えさせられた。

 ちなみに本日ガイドした山は、コースの半分近くは薄暗い杉林で占められる。
 落ちた杉の葉・枝が登山道を覆うように積もっていることに加え、登山道に似た紛らわしい凹地が斜面に幾筋もあり、先頭を歩く私はクライアントの様子に気を配る他、常にルートを見通していることが要求される。

 GPSさえあれば道迷いは防げると信じている頭の中がおめでたい人もいるようだが、何より体力的にも精神的にも「余裕を持っている」ことが道迷いを防ぐ大きなファクターではないかと改めて思う。

 東北の山も登山シーズン初め、今季の登山を再開したばかりのお客様の体力も気にかかるので、下山はつとめてゆっくりと心掛け、本日のガイド山行を終える。

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帰宅後、ハナミズキの花言葉に引っかけた上生菓子「おかえし」を食す。
ここ最近は殺風景な所で現場仕事をしているので、菓子に求めるのは季節感。

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