« 結婚祝いはアウトドア用品 | トップページ | 月山の麓にて。 »

【映画】再会の食卓

619_1
5月7日。
映画『岳』の公開初日、仙台まで車を飛ばす。

『岳』を上映している映画館は華麗にスルーして、あれ?あれれ?
嗚呼、またまた見てしまいましたよ、中国映画という「人の不幸の切り売り映画」。

以前、新聞でそのあらすじを知った時から、必ず見に行こうと思っていた『再会の食卓』。山形公開の7月なんて待てないので、仙台での公開初日に見に行く。
監督は以前このブログでも紹介した、『トゥヤーの結婚』のワン・チュエンアン。
ワンは『トゥヤーの結婚』でベルリン国際映画祭金熊賞を、本作『再会の食卓』で銀熊賞を受賞した。

あらすじ
(オフィシャルサイトより引用)
---------------
 上海で暮らす玉娥(ユィアー)のもとに届いた一通の手紙。そこには、かつて生き別れた夫・燕生(イェンション)が40数年ぶりに台湾から帰ってくると記されていた。しかし、ユィアーにはすでに新しい家族がいた。夫・善民(シャンミン)、イェンションとの息子である長男・建国(ジュングオ)、二人の娘、娘婿、そして二人の孫──慎ましくも平穏に暮らす一家にとってイェンションの来訪は驚き以外の何物でもなかったが、心優しいシャンミンの計らいで、ご馳走をふるまい、寝床を用意し、精一杯イェンションをもてなすのだった。

 イェンションは長い台湾生活によって、上海語が話せず、聞き取るのがやっとの状態になっていた。高層ビルが建ち並ぶ街並みにもかつての面影を見出すことはできない。イェンションは、ユィアーたちが購入したという建設中の高層マンションを見学に行った時、ついに本音を切り出す。「ユィアー、君を台湾に連れて行くために来たんだ」。

イェンションが国民党軍の兵士だったため、中国に残されたユィアーの人生は過酷なものだった。文化大革命の時には身投げを考え、それを救ってくれたのがシャンミンだった。しかし、イェンションの予期せぬ告白に「生き延びるだけで精一杯だったわ。幸せだったのはあなたと過ごした日々だけ」と、ユィアーの心は揺れ動く。

 国民党軍兵士の元妻を娶ったことで、出世をあきらめることになったシャンミンは、決して裕福ではなかった。しかし、いつもなら手を出せない高級な蟹を市場で買い、イェンションにふるまった。食事の席でイェンションから話を切り出されたシャンミンは、「ユィアーのしたいようにすればいい。もうわしと苦労することはない」と静かに答えるのだった。

 猛反対する娘、自分には関係ないとうそぶく長男、金銭で解決しようとする娘婿。円満だったはずの一家がにわかに揺れ始める。はたして、ユィアーが下した決断とは……。
--------------
以上引用おわり

 私がこの映画に非常に興味を持ったのは、ある台湾人兵士のエピソードによる。
 ネット上の『再会の食卓』評で引き合いに出されているのを見かけないので意外に思ったのだが、1968年、太平洋戦争終結から23年間インドネシアのジャングルにたてこもり生還した、台湾アミ族の中村輝夫氏のことである。
 「台湾人」という特殊な位置づけのため(日中友好協会の爺どもと異なり、筆者にとっては台湾はれっきとした独立国家なのだが)、同じ長期にわたるたてこもり生活から生還した横井庄一、小野田寛郎の各氏に比べて大きく取り上げられることのなかった中村輝夫氏。
 氏の場合、台湾に戻ってみると妻は別の男性と再婚。
 中村氏が台湾に戻ってきた時には、その男性は黙って身を引いたという話が印象に残っていたのだ。

 『再会の食卓』ではシチュエーションは異なり、台湾に逃れていた国民党兵士が故郷・上海に戻ってくるというストーリー。
 映画では、その大部分を食事の時間が占める。
 大勢が、時には妻、旦那、元旦那の3人が、食卓を囲み食事を共にする。

 単調な中にも、料理を箸にとり、相手の皿に取ってあげる。
 その相手が誰なのか。
 静かな、時には賑やかな食事の場面において、その箸の行方に、なぜか私はハラハラしていたのだった。

 私はさほど中国映画を見ているわけではないが、私の好きな映画『幸せの場所』では、ラストシーンに現れる高級マンションは安定した生活の象徴であった。
 『再会の食卓』において最後の場面に映し出されるマンションの一室での生活は、退屈な日常の一コマにすぎなかった。

 この映画において、「台湾からの帰郷兵士」という設定は物語の背景に過ぎず、本当に描きたかったのは良くも悪しくも変化しつつある中国の都市と家族の姿なのだろう。その意味では、矛盾するようだが私の期待は裏切られ、また期待どおりの映画だった。

映画『再会の食卓』オフィシャルサイト

|

« 結婚祝いはアウトドア用品 | トップページ | 月山の麓にて。 »

日常」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21370/51623290

この記事へのトラックバック一覧です: 【映画】再会の食卓:

« 結婚祝いはアウトドア用品 | トップページ | 月山の麓にて。 »