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私の西域、君の東トルキスタン

Sei 『東トルキスタン』
タイトルのこの言葉を、読売新聞一面下の書籍広告に見かけたとき、絶対に読むべき本と思っていた。
 その広告を見かけた翌日には、山岳ジャーナリスト柏女史のツイッターに同書に関する書き込みがあったことは、さすがである。

 漢族である著者・王力雄氏が綴る体験談は、近代~現代中国史の闇を照らすものである。
 え?
 闇でしょ?
 投獄まで経験してもなお、東トルキスタン問題を追う王力雄氏の同書は、まさにアカが書きヤクザが売りバカが読む朝日新聞の元記者・本多勝一氏言うところの立派なジャーナリスト、一級のルポルタージュである。
 もっとも、日本の大手メディア関係者には絶対に書けない内容であるが。

 分厚い本ではあるが、王力雄氏の体験談という形式をとっていること、そして馬場裕之氏のこなれた翻訳が非常に同書を読みやすいものにしている。
 本書で綴られるウイグル自治区における漢族優遇、少数民族迫害の実例の数々を挙げることは、もはや意味がない。なぜなら、それは今もなお中国共産党の共産主義者が手を変え品を変え周辺諸国(日本含む)に仕掛けている
行為に他ならないからだ。
 むしろ注目すべきは、王力雄氏というフィルターを通してチベット問題までも語られていることである。

 監修・解説を担当した作家・劉燕子氏や王力雄氏が語るように、ウイグル自治区の紛争は「パレスチナ化」の可能性があるだろう。しかし彼らが続いて語るように、「それが日本人も看過できない」とは私は残念ながら思わない。
 ウイグルで何人虐殺されようと、(今の)日本政府や日中友好協会のエラい人々、イラク戦争やアメリカ政府にはやたらと反応するアウトドアライター井上某のような平和主義の人々が反応することはないだろう。

 私は自論としてチベット問題やウイグル問題を解決するには、もはや海外からの外圧は共産党独裁国家・中華人民共和国には力を持たない。チベットとウイグルの若い世代、そして中国人の若い世代が自ら解決する以外に無い、と考えている。
 この本を読んで得られた最大の成果は、王力雄氏という民族問題研究者の存在を知ったことである。

参考ウェブサイト 集広舎 新刊案内 - 私の西域、君の東トルキスタン

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