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それでも彼女らに大峰山の女人禁制を解く資格はない。

 もう6年前になりますが、紀伊山地・奈良県の大峰山における女人禁制を突破しようとする団体に関して記事をアップしたことがありました。

 大峰山の文化破壊を許すな!! 2005年11月2日

 大峰山、その後。2005年11月3日

 世間知らずの立命館大学非常勤講師・伊田広行を笑う。2005年11月4日

 読み返すといやいや若気の至りですな。
 とはいえ、内容を削除・修正する気はさらさら無いのですが。
 当ブログでは、ジェンダー関連の方でしょうか、この大峰山に関する記事については定期的にアクセスがあるようです。

 さて伊田広行氏を首謀者とする女人禁制強行突破「事件」から早6年、2011年3月にこのような本が出版されました。

Kusosayoku 『現代の「女人禁制」 性差別の根源を探る』 「大峰山女人禁制」の解放を求める会 編著 解放出版社刊

 編著名でおわかりのように、本書は大峰山の女人禁制に反対するプロ市民団体が刊行した書籍です。
 全278ページの内、大峰山に関する記載は冒頭の39ページのみで、あとはユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教における性差別、日本の土着文化における性差別の実態、公娼制度・「従軍慰安婦」、部落問題などなど「女性人権問題」の主張が全体を占めています。

 編著者である「大峰山女人禁制」の解放を求める会は、地元との話し合いを重視しているように書いておきながら、同書では
 
 大峰山の解放を否定する側の主張は「人間の自然権」を無視し、「大峰山」を「俗なるもの」に引き下げているのである。「女人禁制」は、彼らだけの「共同体の儀礼」なのである。

 と斬り捨てている。
 さらに山岳信仰の開祖といわれる役小角の存在意義に言及し、

 役小角は、「妖惑」によって権力・体制を脅かす側に生きたことになる。体制の維持を擁護するのではなく、そこから離脱し、自由に生きようとしたのである。そのような役小角が「女人禁制」を首肯するだろうか。否、否定するに違いない。

 実在すら疑問視されている「役小角」の心情まで代弁している筆者たち。
 いやいや、頭のいい人々には敵いません。

 地元との対話を標榜しながら、その実は自分たちの主張のみを強調し、相手の言い分を自分たちの立場でしか理解しようとしない。そのような態度で対話など可能なのでしょうか?

 大峰山の女人禁制に関しては、私の意見は6年前と変わらない。
 禁を解くのは、あくまでも地元の人々に委ねるべきであり、特定思想に取り付かれた外部の人間によって解かれるべきではない。

 この本を読んで思うのだが、登山道の下刈りや施設の維持を含め「山」というフィールドを維持していくために地元の人間が果たしている役割を、この「解放を求める会」の女性たちはどれだけ理解しているのだろうか?という疑問が沸く。

 山形県で私の好きな山の一つに、摩耶山という山がある。
 この山の女人禁制が解かれたのは太平洋戦争後、昭和20年代だ。米軍進駐による教育を含む社会変化もその一因だろうが、この女人禁制解放に関して、特に騒乱の記録はない。
 大峰山の女人禁制を巡る一連の騒ぎは、そのシンボリックな制度にヒステリックになった女性たちのパフォーマンスにしか思えない。

 大峰山の女人禁制は、いつかは解かれる日が来るであろう。
 繰り返すが、それは外部の人間の手に委ねられてはならない。
 あくまでも、山を長年守り通してきた地元の人々が決めるべきことである。

 最近は山ザルとかいう山に登る女性も増えてきたが、ウェアやギアのコーディネートもいいけど、こうした日本の山の背景に存在する社会問題にも目を向けてもらえればと思う。ま、消費者に媚びを売るしか知らない「アウトドアライター」やら軽薄山岳雑誌のオピニオンリーダーには、無理な相談でしょうか。

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山岳ガイドが読む本」カテゴリの記事

コメント

他国にも、日本にも尼寺が存在するのと同様、宗教上「男だけの領域」はあって然るべきです。
これは、差別ではありません。
1300年続く、宗教上の領地に「女人禁制」があってもいいのではないですか?
それとも、尼寺の領地に男も入れますか?

投稿: Kein | 2013.06.15 00:51

re: Kein様

<<これは、差別ではありません。
コメントありがとうございます。

様々な意見があってもよいとは思うのですが、過去の記事に書いたように、ヒステリックかつ地元の方々の心情を理解しようともせず(または理解しているフリをして)自分たちの思想を押しつけようとする人々は私も好きになれません。

投稿: 聖母峰 | 2013.06.16 00:44

こんにちは。またお邪魔させていただきます。

大げさになりますが、とこまでが「ローカル」即ち「内」かが一つの論点でもないでしょか。昔の「国」が「県」に変わって今や「国」がもっと大きい日本という範囲を示すように、例えば北海道に住みながら奈良の山を「うちらの山」と考える人もあり得ますよね。けして地方のローカル意識が古いと言うのではありませんし、自分でもどこからが口出しになるか言え難いですが。

昔のお書きの記事の山は詳しく分かりませんが、もし国有の山だとしたら尚更もっと多くの人が自分たちの意見も聞いてほしくなるのでしょうね。お寺の私有地ならまずはお寺の方針に従いながら改善を申し出るべきで、それくらいなら別にいいことだとも思われますが。

ところで、山開きはどうですか?山岳信仰の深い霊山では「山開き儀式」の宗教的意味がかなり大きいと聞いておりますが、そうすると開かれてない時期にその山に登ろうとするのは正しいことなのか、外部の人間の私にははっきり分からないことですね。

投稿: jik | 2013.06.19 12:26

re: jik様

<<大げさになりますが、とこまでが「ローカル」即ち「内」かが一つの論点でもないでしょか。

 いえいえ、大げさでもないと思います。
 「ローカル」「地元」の定義に関しては曖昧なところがありますが。
 この記事の大峰山は国立公園に位置しておりますため、国立公園にありながらの女人禁制、公道(登山道)でありながら女性の通行を禁止するのはおかしい、というのが女人禁制反対派の言い分ですしね。

 jik様ご指摘のように、国民共有の国立公園にある山だから、多くの国民の声が反映されるべき、というのも十分うなずける意見だと思います。

 ただ過去にも書きましたが、女人禁制反対運動グループの行動は、
「無礼な質問書を送りつける」
「性同一障害者を引き連れて「女人禁制」への立ち入りを求める」
「関係者の承諾も得ず女人禁制地区に立ち入り、既成事実を作って「問題提起」と称する」
 などなど、姑息かつ強引な行動を起こしている姿勢は私は容認し難いのです。

<<ところで、山開きはどうですか?
なかなか鋭いところを突かれました(笑)

 かつて日本各地の山では「山開き」は御指摘のように宗教的意味合いが強い行事でした。
 現在は、どちらかといえば観光シーズンの開幕を祝う「イベント」に移り変わっています。
 宗教的な意味合いでは、おっしゃるとおり山開き前の入山はタブーなのですが、スポーツとしての近代登山が主流となり、四季を問わず登山活動が可能な今現在では、そこまで厳格な山岳地は、ほとんど残っていないと言ってもいいでしょう。

<<外部の人間の私にははっきり分からないことですね。

 jik様は「山開き」、参加されたことはありますでしょうか。
お恥ずかしい話ですが、実は私、登山を続けていながら、まだ「山開き」という儀式に立ち会ったことがありません。
 以前から行きたい行きたいと思いつつ、山開きシーズンの初夏は仕事(建設業)が多忙な時期でして・・・
 山開きという行事には、その山の整備や管理、また生活がその山に根ざしている地元の方々が多く出席されている様子ですので何とか私も、どこかの山の山開きに行ってみたいと思います。

投稿: 聖母峰 | 2013.06.19 21:46

山開きに関して詳しい説明ありがとうございました。前に東京に滞在した時期があって富士に登ろうかと思いましたが、それが「山開き」の前だったので登ってはいけないと忠告され諦めたことはあります。「冬富士」の謎が解けました。

>>「山開き」、参加されたことはありますでしょうか。

いいえ、私もまだ参加した経験はございません。そうですね、いつか恐山の山開きなら訪ねてみたいですね。なんかすごい所じゃないかと勝手に思っております。

投稿: jik | 2013.06.20 19:57

先日、私はこの会のホームページに質問状と意見書をメールし返答するよう言いましたが、何の返答もありません。そうですか、首謀者は立命館大学教授ですか?赤ですな?それも、京大に入れなかった落ちこぼれを救済する赤旗の大学ですやんか(笑)
それで、全て読めました、相手にする価値無し、するだけ真面な人間は損します(笑)

投稿: 松岡 宣彦 | 2016.07.07 20:59

私は大峯山で修行を重ねる者です。女性が登って修行したければすればいいが、女特有の黄色い声でキャーキャー言えば即刻下山してもらいます。
近代登山は近年のことで、本来、日本は山には神様、権現様がおられて、汚してはならず、やまで修行したり、材木を伐採させていただき、家、寺、神社などを建築し、燃料の木を使い、山とともに暮らしてきた。
西洋はというと森には悪魔が住み、獣が暮らすところとして近寄らなかった、それが近代そんなことはないと分かり山に入っていくようになった、
だから、西洋人は直ぐに山を征服したという。
山国、日本には昔は無い言葉である。
御嶽山が噴火して大勢死んだ、あの山も頂上に神社を祭る権現様の鎮座されている山で、噴火の時は昔なら戸閉している時期である、しかも、女人禁制の山であった。
怒ったのである

そういうものなのである

大峯山に最初に登る女子は勇気のある人である

投稿: 松岡 宣彦 | 2016.07.07 21:23

松岡様
 コメントありがとうございます。
 返信が遅れましてすみません。

 大峰山で修行されておられるとのこと敬意を表します。

 将来的なことは余所者の私にとやかく言及する資格はありませんが、大峰山の女人禁制「問題」に関しては、地元の方々の意志が第一に尊重されてしかるべきというのが私の考えです。
 都会の研究者がしゃしゃりでて、古来からの慣習を「平等」の美名のもとにねじまげる性格のものでないと。
 公有地で「個人の宗教観の押しつけ」と主張される方もいるようですが、長い年月にわたり醸成された文化を個人の価値観にすりかえる考えは同意しかねます。

<<赤旗の大学ですやんか(笑)
あっ!
首謀者は非常勤講師というだけで、まあ左寄りの方も多いようですが教育機関としての立命館は立派な大学です。
 御嶽山の件、尊い人命も失われてますので、どうぞご寛容の程、ご理解ください。

 梅雨時の悪天が続きます。
 松岡様も修行の中、どうぞお体に気をつけて。

投稿: 聖母峰 | 2016.07.09 22:14

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