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「私は現役のクライマーです」山野井泰史

山野井泰史氏が、今年のピオレドールアジア・生涯功労賞に決定の模様です。
(ちなみに前年は故・長谷川恒男氏)

月刊「人と山」2011年10月号
以下引用開始
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1
垂直の単独行者、山野井泰史が来る
本誌主催「ピオレドールアジア」生涯功労賞受賞のため11月2日訪韓予定
記事 イム・ソングム記者

2
「人と山」資料室での山野井泰史

 垂直の単独行者山野井泰史が来る。
 本誌が主催するピオレドールアジアの生涯功労賞を受賞するためだ。
 11月2日に訪韓予定の彼については、説明の必要はない世界最高のソロクライマーだ。
 彼が成し遂げた成果は、87年ドリュ西壁フレンチダイレクト単独登攀、88年バフィン島トール西壁単独初登、90年フイッツロイ単独登攀、92年アマダブラム西壁新ルート単独開拓とチョーオユー南西壁単独初登、95年パキスタンレディースフィンガー南壁単独初登、98んクスムカングル東壁単独新ルート開拓、2000年k2南南東リブ無酸素単独初登、02年ギャチュンカン北壁初登、05年四川省ポタラ北壁単独初登、07年グリーンランドオルカ(1300mビッグウォール)初登など、一人が成し遂げたとは信じがたいほどである。

 これにも増して彼のクライミングをより一層光らせているのは、アマチュアイズムを徹底し、スポンサーと商業主義の甘い誘惑を振り払って純粋性を守ったという点である。遠征経費を用意するため、02年から約11年間、富士山頂上の気象観測所に生活成果必需品を荷揚げする仕事をしていたのが代表的な証である。これはマスメディアを通じてスターが作られ、多くの若い登山家が日の当たる所に集まる時流と比較しても、彼の独立独歩の性分が光っている。

3

 山野井は自身のクライミングに関しても厳格だ。
 リト・テハダ・フローレスの評論を引用するならば、「クライミングのルールを否定的に規制するほど、その目標は肯定的だ。」という意味の実践者が彼である。速攻・軽量の最先端の単独登攀を実践、生と死の中間地点すなわちグレーゾーンに立つことを躊躇しなかった。

 その彼がクライマーとして致命的な事故に遭ったのは2002年10月、ネパール・チベット国境のギャチュンカン北壁を妻・山野井妙子とともに北壁第2登を記録した後、下山中に雪崩に襲われた。この事故で彼は足指10本と手指8本を失う事となった。

 だが壁に向かう彼の行進は止まらなかった。2000年代半ば、彼は足りない指の力を情熱でカバーし、スークーニャン山群のポタラ峰単独登頂に成功した。そして07年にはグリーンランドのビッグウォールを妻とともに登った。
 以前のクライミングに比較して極限的なクライミングではなかったが、以前と違う彼には極限の壁だった。このように絶え間ない挑戦を通じて、登山の本質を呼び覚ました山野井泰史が訪韓を予定した。

 数年前、ピオレドールアジア委員会から審査委員長を引き受けてくれという要請に、「私はまだ現役のクライマーです。可能であれば、候補者としてピオレドールアジアに参加したい」とした彼が功労賞受賞を許諾したのだ。ピオレドールアジア委員会の「アジアの山岳文化発展」という純粋なモットーに差し出した手を、彼が捉えてくれたのだ。
 ピオレドール受賞ならばもう数十回は受賞するであろう垂直の単独行者が、11月2日、訪韓する。
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以上引用おわり

 前述に示したリンク先の記事、同じページには、今年のピオレドールアジアのためにラインホルト・メスナーを初めて韓国に招くことになったいきさつを、韓国登山界の重鎮、キム・ヨンド氏が執筆されています。
 韓国のもうひとつの山岳雑誌「山」は、オ・ウンソン女史問題に関して今年メスナーを批判する記事を掲載していただけに、独自にネゴしてメスナーを自国に招待することは、月刊「人と山」でなければできなかったでしょう。

 当ブログで紹介した記事、

 『岳人備忘録』が韓国人に与えた衝撃 by 当ブログ2011,2.26

で記しましたが、月刊「人と山」の社長ホン・ソクハ氏やキム・ヨンド氏など、日本の登山界に精通している韓国の山岳関係者は山野井氏の著書もしっかり読んでおり、「人と山」関係者は山野井泰史氏をよく知っていた事情があります。
 
 なにより「私はまだ現役のクライマーです。可能であれば、候補者としてピオレドールアジアに参加したい」という台詞は山野井氏でなければ言えない言葉ですな。

<<これはマスメディアを通じてスターが作られ、多くの若い登山家が日の当たる所に集まる時流と比較しても、

 日本のマスゴミや果ては中国のメディアまでが盛んに日本の某似非単独登山家を報じる昨今、以前からクォリティの高い記事が目立つ月刊「人と山」がキラッと光る記事でした。

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