地形図を持ちましょう。
福島県境の某山におでかけ。
山はもう秋色。
山麓では晴天なのに、稜線は濃いガスに覆われていた。
Vシネマの竹内力のごとくズイズイとでかい態度で登山道を歩いていたせいだろうか。
山頂に到達するまでに、二度、別々の登山者から道をたずねられる。
その山は東北の火山によくある、稜線が平坦な山。
最初に出会った方は、木道の分岐点で迷っていた様子。
エアリアマップを手にしていたが、私に「山頂はこちらの方向ですよね?」と確認するように尋ねられたので、そうです、と答える。
登るに連れ、ガスは濃くなる。
岩石が積み重なった平坦地で、もう一人別の登山者の方に道を尋ねられる。
完全に山頂の方向がわからなくなっていたらしい。
その方の話を聞き、かくいう私も曲がるべき箇所をまっすぐ来てしまった事に気が付く。
その登山者の方は地図を取り出した。登山口に置いてあるパンフレットの簡易な概略図だった。
私は2万5千分の一地形図で現在地を確かめ、向かうべき方向を確認。その登山道まで同行することにした。
前述のとおり、私も進むべきルートをうっかり通過していたので大きなコトは言えませんが、今日話しかけられたお二人に共通なのは、地形図をお持ちでなかったこと。
コースタイムの記載されたパンフ付属の地図やエアリアマップはコースタイム把握に便利ですが、いざ迷った場合の現在地把握には、役に立たない。
日本の山は登山道がしっかりしているので・・・という人がいるようですが、よほどにぎやかな山しか経験が無い方でしょうね。
踏み跡が縦横無尽に走っている草原・湿地や、岩石が積み重なった平坦地で濃いガスの悪天下では、非常に迷いやすくなります。
今、書店の山の本コーナーには「読図」テクニックを記した良い本が沢山あります。
細かい尾根や谷を推察するほどでなくても、等高線と登山道の印を理解しているだけでも、じゅうぶん役に立ちます。
今日お会いした登山者の方はいずれも単独行の方でしたが、地形図は単独行の良きパートナーですよ。(もちろん単独でなくてもね)
下山途中。
朽ちた大木に、新芽。
人生も、かくありたい・・・ってか。
稜線は湿った強風でしたが、下山すると晴天、夏の忘れ物のような強い日差し。
山麓のススキが、秋の到来を知らせていました。
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