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被災地から来た人

 傾斜の緩むことの無い、ひたすらの登り。
Pa0_0019
 やがて頭上に、稜線への到達を知らせる空の青。

 稜線に立つ。
Pa0_0016
 彼方にひろがる東北の山々。
 山を浮き立たせる、白い雲海。

 人はこの光景に、心を動かされるのだろうか。

 その山は清潔な山小屋があることで知られる。
 この小屋だけではないが、よく整備された小屋には、たいてい訪問者の感想ノートが置かれている。
 私は、そういったノートは必ず目を通す。
 実際に汗を流した登山者でなければ書けない生の声、心情が綴られているからだ。

 第一原発にほど近い、福島の自主避難地域から訪れた登山者が書き記した一文があった。
 日付は5月。
 私が会社業務のために陸前高田を訪れてから間もない頃である。
 そこには、こう記してあった。

 『ここの風景を見て心が洗われ、また頑張ろうという気持ちになりました。』 (原文ママ)
 
 震災・原発事故の混乱冷めやらぬ頃、はるばる福島から山形のこの山を訪れ、気力を取り戻した人がいる。

 私が目を向けるべきは、左翼系山岳関係者が垂れ流すツイッターの類ではなく、山で生きる活力を見いだした、もしくは見出そうとする人々。
 そんな事を思いながら雲海の光景に背を向け、下山を始めた。


 関連記事:震災は、まだ終わらない。2011.9.19

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コメント

離れること無しに留まることを選択した人たちを忘れてはいけませんね。そこに、月並みながら、営みを感じるのです。

投稿: pfaelzerwein | 2011.10.30 02:15

震災後『登れる幸せ』を感じます。

今日は落葉の里山で、明日からの月末処理頑張るぞッッ、
とシャカシャカ歩いてきました。

これから寒くなりますね、現場作業頑張ってください。

投稿: は。 | 2011.10.30 20:48

re: pfaelzerwein様
 pfaelzerwein様ブログの震災関連の記事、拝読しております。

<<離れること無しに留まることを選択した人たちを忘れてはいけませんね。

私の住む山形は、被災各地からの避難者が集まっています。観光施設であるはずの『道の駅』(国道沿いにあるドライバー用休憩施設)の駐車スペースが被災各県ナンバーの車で常時占められており(避難先での駐車場代わりになっているのでしょう)、その風景を目にする度、「避難」という現実を思い知ります。

 大きな被害を受けた宮城からのツアーを終えてお客様を見送った直後、携帯でコメントを確認した際、ちょうどpfaelzerwein様のコメントを読み、考えさせられました。友人の少ない私も、福島に留まる知人がおりますので。

投稿: 聖母峰 | 2011.10.30 22:27

re:は。様
<<震災後『登れる幸せ』を感じます。

おっしゃるとおりですね。
経済的にも、時間的にも・・・です。

<<これから寒くなりますね
実は先週・先々週の寒暖の激しさに耐えられず、しっかり風邪ひいてました。(笑)
当方も月末書類に「夏休み宿題やってない小学生」なみにヒーコラいってます。明日からの出張生活、気を付けて行ってきます。

投稿: 聖母峰 | 2011.10.30 22:34

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