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ノセタラダマスの大予言 『山岳ガイドの地位確立は、日本より中国が早く実現する。』

久々にネタっぽいタイトルを付けましたが、まずは下記の記事をごらんいただきたい。
中国・四川省の四姑娘山(スークーニャン)山麓で高所協力員(原文では高山協力員となっていますが、従来日本の登山界で用いられてきた高所協力員という名称にします)の活動および収益に関するレポートです。

高所協力員は4ヶ月で最高2万元稼ぎ、困難なリスクを管理監督します by 四川新聞網2011.11.13

以下記事引用開始
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 今回「アウトドア愛好家が行方不明」事件の中で(訳者注:最近四姑娘山で14名の中国人アウトドア愛好家が遭難、一時行方不明となった事件を指したもの)、高所協力員の存在が公衆の視野に入りました。
 これはどんな業界でしょうか?四姑娘山の高所協力員という職業はいつ始まったのでしょうか?協力員の仕事の内容は?収入は?

  昨日、四姑娘山観光地区のベテラン高所協力員、唐陽華が「天府早报」記者に対して、高所協力員という知る人も希な職業について語ってくれました。

  由来はアウトドアスポーツに起因

  唐陽華は今年48歳、小金県日隆月城鎮の金峯村の住人で、家には年老いた母、2人の娘がいる。妻と離婚して14年になる。
 「この仕事(高所協力員)をする前は農民でした。」
 唐陽華は、1994年に四姑娘山が「国家旅行名勝」に選定されてから、観光客が次第に増えたと言います。日隆月城鎮で生まれ、その地で育った彼は、農業に従事しながら観光客のためにガイドをして、だんだん一定の評価を得てきました。

  1998年、阿バ州観光局と小金県観光局の組織の下、彼と一部のアマチュアガイドは職業ガイドとしての育成訓練に参加、内容は日隆月城鎮の三大観光地区(双橋溝、四姑娘山、海子溝)の名所の知識とアクシデントの処理などを含みます。彼は正式に職業ガイドとなりました。

  2004年まで四姑娘山はすでに人気がある観光地区になり、、旅行企画は日に日に増加、アウトドア、登山、クライミング、キャンプなどの活動が盛んになり始めました。
 「普通のツアーガイドは沢山いるが、高所協力員はほとんどいない。」こんな理由から、唐陽華は次第に高所協力員へと業務内容を変化していきました。

  2004年、四川省登山協会は日隆月城鎮でアウトドアガイドを育成訓練、厳格な審査の結果、唐陽華や日隆月城鎮の村長をつとめる宋昌軍らが第1期の高所協力員の証明書を得ました。

  職責は「後方勤務に安全確保、時には医者」となる

  唐陽華によれば、高所協力員とは「後方勤務に安全確保、時には医者」であると語ります。

  まず観光客を四姑娘山アウトドア管理センターに登録のため連れていきます。続いて協力員は、観光客の安全と責任、装備に関する誓約書にサインさせ、観光客に協力を求めます。
 「クライミング、登山、キャンプなど、装備はすべて異なります。必要な装備が無ければとても危険です。」
 同時に、観光客にとって行動ルートやキャンプ地、登山場所、クライミングの場所を設定します。

  アウトドアスポーツが始まってからは、高所協力員たちの作業は客のための「後方勤務」となります。食品を背負い、湯や食事を用意し、火を燃やし、テントを設営します。
 「最も重要なのは一緒に彼らに安全に注意するように気づかせることで、彼らに正しいルートを進ませ、最終的に客を目的地に連れていきます。通常、私達は客のために薬品をいくつか持って行きます。」
 宋昌軍によれば、「最低限でも風邪薬を持ち歩きます。高所での風邪はとても危険で、肺水腫、脳水腫を招く可能性が高いんです。」

  収入・一家を扶養することができます

  「高所協力員はハイリスクな職業で、予想外に遭遇する危険があります。だから料金徴収も観光地区で解説する普通の観光ガイドより少し高額です。」
 唐陽華は、料金基準は人数割ではなく日割計算で、「始めの頃は日100元、今は日150元から200元としています。」

 安全のため、1人の高所協力員は通常7~8人の観光客を引率することしかできず、時間も3~5日に制限されています。今度、唐陽華は10数人を連れ、もっとも長期の8日間の計画があり、毎日150元、彼は1200元の料金を徴収します。

  四姑娘山は一年の内、約4ヶ月間だけアウトドア活動を行うことができます。その間、高所協力員は1年いくらを儲けることができますか?
 唐陽華いわく、「一番良いときで年間2万元稼ぎ、最低でも7~8千元稼ぐことができました。」
 ここ2年間でアウトドアスポーツを目的とした客が増加、彼らの収入も上がってきました。
 「一家4人、母は76歳、2人の娘は今年の夏ちょうど学校を卒業します。この収入に加え、私はふだん民間薬の薬草を栽培して、彼女たちを養い、娘たちを卒業させることができます。」

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以上引用おわり

 さて、年間最高で2万元、低くても7~8千元の収入があるということはどういうことか?
 2011年10月18日、中国国家統計局が発表した2011年9月の経済統計データによれば、中国の都市部家庭1人あたり平均収入は、1万7886元(約22万円)、農村部住民の現金所得は平均で5875元(約7万円)。

 記事でとりあげられている唐陽華氏の場合、バツイチながら、老いた母と二人の娘を養い、娘たちを卒業させることができています。四川省の農村の住民であることも考慮にいれれば、高所協力員として得られる収入は高額なものと言えるでしょう。

 さて、ネタっぽいタイトルに『山岳ガイドの地位確立は、日本より中国が早く実現する。』と書きました。

 日本では資格制度が(とりあえずは)進んでいながら、一部の定評ある山岳ガイドの先生方を除けば専業でガイド業をやっていくこと、経済的に自立していくことがいかに困難か、ちょいと社会人生活している方ならご理解いただけるでしょう。(たまに兼業ガイドなど失格だ、と当ブログに噛みついてくる田舎山岳会の爺もおられるようですが)

 一方、ガイド制度もあまり整備されておらず(ただし登山・アウトドア活動そのものは国家の組織により統制されている)、登山もまだまだ高所得層のレジャーである中華人民共和国では、ガイドでメシを喰っていける、家族を養っていけているという現実。

 この山岳ガイドに対する社会的認知度、経済的自立度の違いが、数年後、十年後、さらにその後にはどんな違いになって現れるのでしょうか?
 当記事に掲げたネタっぽいタイトルを、私は一つの予想として記しておくことにしましょう。

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