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記憶に辿りつく絵画

出張生活。
日曜夜の楽しみは、ガキ共にチャンネル権を奪われることもなく視聴できる、左翼偏向NHKの『日曜美術館』。

Nhk

2月26日の放映内容、『記憶に辿りつく絵画~亡き人を描く画家~』に、深い感銘を受ける。

以下引用開始
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 「亡くなった娘を絵画で蘇らせて欲しい」。1人の画家に来た依頼だ。
 画家は独自の写実表現で注目される諏訪敦。
 諏訪は以前、舞踏家の大野一雄を1年にわたり取材し、連作を描いた。そして7年後に100歳を迎えた大野を再び 取材し描いている。諏訪は写実的に描くだけでなく、徹底した取材を重ねて対象となる人物と向き合い、人間の内面に迫ろうとする気鋭の画家だ。
 依頼したのは、2008年の5月、南米ボリビア・ウユニ塩湖で交通事故に遭(あ)い炎上死した、鹿嶋恵里子さん(当時30)の両親である。鹿嶋恵里子さんは結婚も決まり、結納式から10日後の突然の悲劇だった。
 依頼した内容は、諏訪の絵によって快活な娘を蘇(よみがえ)らせて欲しい、というものだ。
 亡き人を描くために彼はわずかな手掛かりを求め、さまざまな取材・手法から彼女の特徴を探っていく。自分の表現としての作品性と、依頼した両親の娘に対する思いをどのように1枚の絵画に描いていくのか。諏訪が悩み、葛藤していく様を撮影した。
 番組では6か月にわたり諏訪と依頼した鹿嶋さん家族を取材。親の思い・亡き人と向き合った彼の苦悩と完成までの軌跡を追った。
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以上引用おわり

 事故で亡くなった鹿嶋さんの父君は元新聞記者で、現在は大学で教鞭をとっている方。
 そのような社会的にも地位のある方が、感情を露わにしている姿に惹かれたという画家の諏訪氏。

 諏訪氏の取材は非常に細やかなもので、亡くなった恵理子さんの写真、衣類だけでなく、ご両親のデッサン、さらに母君の骨格を実際に触れ、今は亡き恵理子さんの表情を推し量ろうとするものだった。

 諏訪氏は、現世から離別し、「別の時間軸を生きる」恵理子さんをイメージし、その象徴として時計を外し、どこか寂しげな表情の恵理子さんを描く。
 しかし、絵の依頼主である父君とのメールのやりとりの中で、ご両親が「恵理子は死んだと思っていない。」という気持ちを伝えてくる。

 画家としての絵を追求しようとする一方、ご両親の期待に応えなければならないという相反した課題に直面する諏訪氏。

 諏訪氏は恵理子さんの手を描くために、写真だけではなく義手制作会社に相談して恵理子さんの手の模型を作ってもらい、参考にする。
 さらに諏訪氏は人生半ばにして家族を失った人の組織、NPO法人「生と死を考える会」を訪れる。
 そこで決定的な言葉を受ける。

 『(亡くなった)子供にしても、私が知っているのは一部分だけ。そっくり描くのではなく、ご両親は自分の知らない娘を見せてほしいと思っているのではないですか?』

 この一言に諏訪氏はふっきれ、恵理子さんを描き直す。
 表情は赤みがかり、生気があり、まさに微笑む直前の表情を描いたものだった。

 完成した絵が諏訪氏の手で自宅に持ち込まれる。
 箱から出された瞬間、感激で涙ぐむご両親。
 諏訪氏の絵は、見事に御両親の期待に応えた絵となったのだ。

 母君の『写真と違って絵は・・・今にも動き出しそう』という意味の言葉が強く印象に残る。

 
 今回の日曜美術館は、取材構成そのものがドキュメンタリータッチかつスリリングな内容となっており、目を離すことができなかった。
 娘を亡くしたご両親と、その娘の絵を依頼された画家。
 ご両親の想いと画家の想い。
 
 山岳ガイドをやっていて思うのだが、悪天や蒸し暑い日などガイディングしていて、クライアントにとって「今見えている山、今歩いている山が本当に皆さんにとって望んだ山なんでしょうか?」と心の中で思うことがある。
 お恥ずかしい話ではあるが、ガイドする山に対して私の想いと、クライアントの望む想いが異なることもある。
 時折、そんなことを考える私にとって、娘の絵を依頼された画家、そして亡き娘への深い愛情を抱く両親それぞれの想いのすれ違い、そして絵の完成という形で両者の想いが収束する場面は、非常に心打たれるものがあった。

 さて日曜の夜も更け、明日からまたいつもの土木作業の日々に戻ります。

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