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堅豆腐

 日曜、早朝。
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 白山山麓、白峰(現・白山市、旧白峰村)を訪れる。
 ここでは「蓑笠」はまだまだ現役の衣類だ。

 出張中の身ゆえ、リスキーな白山の冬季登山は手が出せないが、資料を探るうちに白峰集落近くの里山に興味を抱いた。
 しかし天候は、風は弱いものの激しい降雪と視界不良。
 無理せず金沢に戻ることにする。
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 折しも、白峰集落あげて白山本地堂の屋根の雪下ろし中。

 白峰を訪れたのは、もう一つ目的がある。
 石川県・白山山麓の伝統食品、堅豆腐を入手することだ。

 堅豆腐とは、名前のとおり、通常の豆腐よりも水分が少なく、堅い豆腐である。
 よく紹介されているのが、
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 荒縄で縛った堅豆腐の写真。

 ガイドブックや白峰観光協会サイトでは、堅豆腐の店としていくつかの豆腐店がまとめられているが、実際は集落により、堅豆腐は製法も成分も微妙に異なる。
 現在、堅豆腐が作られているのは白峰集落、桑島集落である。
 詳細は割愛するが、白峰と桑島では、堅豆腐の製造工程において大豆を砕いた「ご」の加熱のタイミングが異なる。また、白峰では堅豆腐を形成後に水漬して水さらしをするのに対し、桑島では自然放熱して冷ます。

 結論からいえば、白峰の堅豆腐は現代の嗜好に合った豆腐、桑島の堅豆腐は古い伝統を継承した豆腐と言われる。(参考文献:「白山の堅豆腐」 羽二重豆腐(株)食品研究室 川嶋正男 執筆 幸出版『伝統食品・食文化in金沢』に収録)
 
 これらの製造工程において、堅豆腐の表面が乾燥して湯葉状の膜を形成、水分も少ないことから、通常の豆腐に比べ持ち運びも良く保存も効く豆腐となった。
 もともとは、薙畑(焼畑)農業に依存していた山村から生まれた知恵といわれる。
  
 私が訪れたのは、桑島集落の上野とうふ店である。
 夜が明けたばかりの早朝、すでに「営業中」の小さな札がかけられていた。
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 看板がなければ通過してしまうだろう、細い国道脇の、ごく普通の民家が上野とうふ店である。
 店のおばあさんから、堅豆腐450円、そして凄く気になっていた、堅豆腐の味噌漬け600円を買い求める。

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 部屋に戻って、普通のパック豆腐と比べてみる。
 右が桑島の堅豆腐。ずしりと重い。ちょっとした英和辞書くらいの重量。
 白峰からの帰り、近所の激安スーパーでステーキ用ガーリックソースを買い足し、今夜の夕食は
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 堅豆腐のステーキ、残りはそのままワサビ醤油で刺身にして食す。
 とにかく堅いので、フライパンで焼いても、薄く切って箸でつまんでも、型くずれしません。

 堅豆腐の味噌漬けは、パックを開けると良い味噌の香り。
 味噌の中で半年を過ごした堅豆腐は、柔らかめのバターのような、ねっとりとした感触になる。
 飯のおかずにちょうどいい塩加減です。

 味噌のおかげで、半年以上も前の豆腐がこうして美味しく食べられる。
 堅豆腐の成り立ちといい、今のような冷蔵庫も無い時代、保存、そしてタンパク質という栄養を求めた山村の先人たちの知恵が偲ばれます。

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