奥獅子吼山(928m)
低気圧が来る前の、わずかな晴れ間を狙って白山市(旧・鶴来町)にある奥獅子吼(おくししく)山に登る。
北陸鉄道石川線とバスを乗り継ぎ、登山口である石川県林業試験場に到着。
数々のガイドブックでも「とりつきがわかりにくいため下山路にした方がよい」とあるように、林業試験場からの登山ルートは明確な登山口の表示も無く、さらに残雪が夏道をわかりにくくしている。
幸い、ここ最近の陽気で雪解けが進み、登り進むと夏道が露出していた。夏道が出ているのはいいのだが、中途半端に残雪が急斜面に残っている。確実にキックステップを決めながら登る。
奥獅子吼(おくししく)とは、なんとも凄味のあるネーミングだ。
もともとは、白山を開山したと伝えられる泰澄大師や修験道の行者が泊まった場所、すなわち「止宿(ししゅく)」、また泰澄大師が四カ所で野宿していることからの「四宿」などから語呂合わせで「ししく」→「獅子吼」になったといわれる。(参考文献:鶴来青年クラブ編著『つるぎの歴史』)
本日の雪の状態は最悪だ。
表面は少し堅いものの、足を踏み入れると緩いザラメ雪。
ワカンを装着しても結構ぬかる。
景観の良い高圧線の鉄塔のところまできた。
奥獅子吼山の登山ルートには高圧線の鉄塔が建っており、良い目印になっている。
ここで一息いれていると、後続のパーティーがやってきた。挨拶を交わし、私はすぐに出発。
前回の奥医王山に対し、今日の奥獅子吼山は私が頂上に一番乗りしたい。人のトレースを追うより自分でトレースをつけたい。
とはいえ、今日は午後から天気が崩れるのは、天気図の気圧配置から明らかだ。
それまで雲一つ無い快晴だった空が、稜線にでたところで薄曇りになってきた。今日の登山はスピードが安全に直結する。空の様子から天候が崩れるのは間近と判断、少しでも速く登るため、うっすらみえる踏み跡をたどり、足が沈むのを防ぐ。
稜線の木々に白い花が咲いている。
こんな時期に?
よくよく見れば、
吹き付けられた氷が溶け落ちそうになりながらも、枝にまだ張り付いていたのだ。
ここのところの陽気と、そしてまだ山の上は春まだ浅いことを感じさせられる。
林業試験場を出てちょうど3時間、奥獅子吼山の頂上直下にたどりついた。
頂上は広く平坦な雪原のようだが、白い頂上を前にした高揚感を久々に味わう。
彼方には、うっすらと白山がそびえていた。
美しいのを通り越して、神々しい。
それは理屈ではない。
山岳信仰の対象として日本全国に白山信仰が生まれたのもうなずける。
あえてデジカメは向けず、白山の姿を目に焼き付ける。
さて本日の頂上ランチは、
加賀生麩 麩金(ふうかね)の、野菜コンソメスープ最中 「翠(みどり)」。
最中(もなか)の中に、加賀麩と野菜スープが入ってるのだ。
椀に入れ、お湯をかけて最中を崩し、中の具とスープを混ぜて食べます。
北陸の雪山を眺めながらスープタイム。
それからコンビニのパンで腹を満たし、すぐに下山。
奥獅子吼山は、私にとって白山の美しさを教えてくれた山でした。
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