阿武隈山地、岩岳にて。
総会の翌日、国民宿舎あぶくま荘からほど近い岩岳にて研修。
登山口から、春まだ浅い山道を歩く。
「今シーズン初めて、土の上を歩くよなあ」
月山でお世話になっているガイドのMさんはしみじみと言う。
つい先日も月山にはごっそり降雪があったそうな。
春が待ち遠しい、我々東北人の実感がこもった言葉だ。
岩岳特有だろうか、あちこちに岩が露出し、まだ若芽も成長しきらぬ林は日光がよく差し込む。
阿武隈山地はなにより、私が住む東北の日本海側に比べ、天候に恵まれている。
研修内容はショートロープ、ロープのフィックス。
将来有望な若手新人会員を迎え、ガイド検定をなぞりながらの研修内容となる。
下手くそなロープ操作に自分でも嫌になりながら、岩岳山頂を越える。
登山道からの景観は、冷たい風に吹かれる苦痛を補って余りある素晴らしさだ。
普段から単独行動の多い私、ガイド仲間と一緒に歩いているだけで、なんとなくほっとする。
ガイド中は、たとえお客様が十何人いようと、「ガイドの孤独」を感じることがある。
下山した登山口わきを流れる沢。
その水面に反射する日の光に、とてもいやされる。
放射線量という目をそらしてはならない現実がある一方、その現実を一瞬忘れさせてくれる、岩岳の短くも素晴らしい山容だった。
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