【速報】【訃報】 中国のクライマー严冬冬、クレバスに転落死
詳細な日時は不明ですが、7月11日付の中国各メディアの報道によれば、中国を代表するアルパインクライマー、严冬冬(yan dongdong)が天山山脈(一部報道ではトムール峰)の氷河を下山中、クレバスに転落死した模様。
西洋偏重の日本の山岳メディアの偏向報道によって、中国のアルパインクライマーの状況はなかなか知られていない中、昨年から四川省の山々を舞台にしたアルパインクライミングでかなり注目しておりました。
中国国内メディアでも大々的に彼の遭難死がとりあげられていますが、その多くは2008年の悪名高い北京汚輪トーチ登山隊でチョモランマサミッターであることを報道しています。
しかし、彼の本当の活躍は北京虐殺五輪のトーチ登山隊以後、四川省のスークーニャン山群を舞台にしたクライミングにスポットが当てられるべきでしょう。
1984年、鞍山市に生まれる。中国でもトップレベルの清華大学を卒業後は、翻訳で生計をたてつつも「アマチュアとして生活していたのでは、月一、週一の登山では、登山にうちこめる時間が少なすぎる」という理由からクライミング中心の生活を送ってきました。
そして、周鹏という良きクライミングパートナーと出会い、団体登山ではなく、スークーニャンやコンガ山群でアルパインクライミングを展開するようになります。
彼に多大な影響を与えたのは、アメリカのMarkTwightが書いた本『ExtremeAlpinism』(中国語訳題「極限登山」)でした。
严冬冬と周鹏のペアが拓いた代表的なルートは、
2009年11月、スークーニャン山群 幺妹峰中央南壁 『自由之魂』ルート開拓
2011年10月、コンガ山群 嘉子峰西壁『自由之舞』ルート開拓(M6/WI3)
このように、彼の開拓した新ルートには「自由」という語が命名されているのが印象的でした。
翻訳で生計をたてつつクライミングを芯とした生活を送り、現代中国はもとより、アジアのアルパインクライミングを切り開く、これからの活躍が期待されるクライマーでした。今回の遭難死はまことに残念でなりません。
謹んで故人の冥福を祈ります。
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