女達はアウトドアで甦る。 中国映画『暴走吧,女人』
中華人民共和国における2011年のアウトドア用品の総売り上げが、107億6000万元(16億9000万ドル、前年比50.91%増)に達したとのこと。
Sales of outdoor sporting products may surge by China Daily 2012.8.10
ちなみに日本における2011年のアウトドア用品販売額は、約1550億円(約20億ドル、前年比9%増、日本経済新聞報道)。
前述のリンク記事に2007~2011年の中国における販売額グラフが掲載されていますが、日本市場の販売額を超えるのは、もはや時間の問題でしょう。
こんな話題の詳細は、某外資コンサル勤務を鼻に掛けた誰かさんにお任せするとして、わかりやすい例が映画になって現れました。
現在撮影進行中、中国映画『暴走吧,女人』です。
映画『暴走吧,女人』、タイトルは、乱暴に訳せば「それ行け、女たち」というニュアンスでしょうか。
中国語には「暴走」という語は少なくとも最近まではありません(私の手持ちの辞書にも載ってない)。日本でいう「暴走族」は中国語では「飙车族」と異なる文字が当てられてますから、中国語で「暴走」とは最近の造語、ちょっといきすぎた感じというニュアンスのようです。
さて肝心の内容ですが、左のポスターからご推察のように、女性5人組がザックを背にアウトドアに飛び出すお話です。
《ストーリー概要》
5人の女性たち。異なる職業、異なる年齢、異なる性格、異なる街から集まった彼女たちは、都会の生活に疲れ切っていました。
思いがけず一緒になった彼女たちはアウトドアを歩く旅を通じて、都会のストレスから解放されていきます。
それと同時に、過酷な大自然からの試練をも受けることになります。そんな苦難の中で、彼女たちは次第に変わっていくのでした。
彼女たちは森や山、砂漠を歩き、皆で「聖なる雨の湖」を目指します。その行程の中で、主人公と古い宿屋の若旦那とのラブロマンスがストーリーに花を添えます。
さて、彼女たちは目的地に到達し、何を得るのか・・・
キャストは、
左から、范文芳(シンガポール)、李斯丹妮(中国)、刘添月(中国)、钟欣怡(台湾)、王莎莎(中国)の5人のヒロイン。
監督の董董 氏はイタリア留学の経験があり、随所に西欧思想を盛り込みながら、斬新なカメラワークを用いる、との映画評が中国メディアに流れていますな。
しかし私の最大の関心事は、日本で上映される中国映画といえば、それこそ「人の不幸の切り売り映画」と言っていいほど暗~い映画ばっかりなわけですが、アウトドアという世界を通じて都会に疲れた女性の生きる姿を描く、というこれまでの中国映画にはみられなかったテーマが映画化されること。
この点については中国メディアも、「これまでの中国映画の「空白」地帯であるロードムービー」として報じています。また撮影段階から既に中国メディアの関心を引いているようで、天下の中国中央電視台が取り上げています。報道動画はこちら↓
ま、個人的には、ただでさえ強い中国の女の子がこれ以上強くなってどーすんの?と言いたいところ。
え?
なんでそんなこと言えるのって?
いやあ、昔、中国の女の子と(以下省略)
というわけで、アウトドア活動を通じて「都会に疲れた」彼女達はどう変わっていくのでしょうか。
そこには中国社会ならではの味付けがあるのでしょうが、アウトドア産業が飛躍的に伸びている現代中国を象徴する作品として、興味ひかれるものがあります。
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