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映画『星の旅人たち』

Poster 映画『星の旅人たち』をみる。
山形県朝日少年自然の家のサポーター仲間、斉藤正史さんが2度目の北米大陸縦断となるパシフィック・クレスト・トレイル徒歩踏破に成功した直後だけに、「歩く旅」について感じさせられるところがありました。

ストーリー概要はこちら(オフィシャルサイトより引用)↓

 人生の"道"を見失った初老の男がひとり。アメリカ人眼科医のトム(マーティン・シーン)は、ひとり息子ダニエルの突然の訃報に、途方に暮れる。サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の初日、嵐に巻き込まれ、 不慮の死を遂げたというのだ。果たして、ダニエルは何を想い、旅に出る決意をしたのか?トムはその真意に確かめるべく、亡き息子のバックパックを背にサンティアゴ・デ・コンポステーラへと旅立つ・・・。

 フランスからピレネー山脈を超え、聖地まで800km。巡礼と聞くと、何かと禁欲的なイメージに囚われがちだが、道のりそのものが旅の至福に満ちている。人々は地元産のスペイン・ワインやイベリコ豚のハムに舌鼓を打ち、牛追い祭りで有名なパンプローナの町や広大なカスティーリャ平原、個性豊かな巡礼像の数々にその眼を楽しませる。 本作のクライマックスともいうべき、サンティアゴ大聖堂での大香炉が堂内高く揺れる壮厳なミサ、そしてスペイン最先端の岬フィニステレの雄大な自然美は、私たちを圧倒的な感動で包み込む。

 そして何より忘れがたいのは、旅を共有する見知らぬ巡礼者たちだ。互いに励ましあい、語りあい、出逢いと別れを繰り返して、それぞれの宿願を果たすべく、聖地での再会を誓う。トムの喪失感を埋めるのもまた、偶然、旅をともにすることに なった初対面の友人たちだ。オランダ人のヨスト(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)はダイエットを、カナダ人のサラ(デボラ・カーラ・アンガー)は禁煙を誓い、アイルランド人のジャック(ジェームズ・ネスビット)は作家としてスランプ脱出を願って巡礼の旅に出た。 当初はすんなり馴染めなかったトムも、やがて彼らとの間に芽生える疑似家族のように温かな親密感によって、息子を喪った心の痛みを穏やかに癒してゆく。

 結論から書く。
 いやー、良かった。
 ロードムービー(とくに日本製の)にありがちな余計な枝葉が無い。
 冒頭で主人公のマーティン・シーンが息子の死を知ってから、自ら巡礼に出かけるまでのテンポの良さ。

2

 この映画、ネット上でも絶賛されているが、一部では低評価も受けている。
 もちろん映画の感想など人それぞれだ。
 「脇役の登場人物への突っ込みが浅い」という評もあるが、それなりに長い「旅」を経験している私から言わせれば、そんなものである。
 旅で出会った他人の人生など、そんなに深入りできるわけではないのだ。
 長旅の倦怠感も、主人公が酔って仲間に当たり散らし警察に拘束されるというエピソードによく象徴されている。

 美しいスペインの光景を満喫しながら、個性的な旅人たちとのひとときを、映画という形式で過ごせるのだ。

 物語が終盤に向かい、旅を共にした4人はどんな風に別れるのだろう。そんなことが気になっていく。
 そしてラスト、演劇風に旅仲間は去っていく。
 旅での出会い、「一期一会」の雰囲気がさりげなく表されている。

 本筋は父と息子の関係を描く映画でして、亡き息子の遺品を一つ一つ手に取るマーティン・シーンの姿に心うたれるものがありました。
 しかし私はやはり「旅人の映画」として観た。

 老いた主人公が初めて経験するドミトリーでの一夜のとまどい。
 
 ある出来事で初めての野宿に追い込まれ、翌朝の、朝露に濡れたシュラフ。

 この映画はこれから長旅に出る若者、または子供が旅に出るという家族、もしくは老境にありながら旅にでるぜ、というイキのいい年寄りに観て欲しい。
 
 ストーリーの概要をよく表している予告編を以下に紹介します。
 日本語版と微妙に違い、父子の関係を強調した英語版もよくできてますので、両方リンク貼ります。

『星の旅人たち』予告編 日本語版

『星の旅人たち』予告編 英語版

映画『星の旅人たち』オフィシャルサイト

山形では遅い公開でしたが、既にDVD販売・レンタルなっている模様。
旅人なら絶対観ろ!

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【速報】第7回ピオレドールアジア候補者、選定さる

韓国の山岳月刊誌『人と山』が主体となって選定するピオレドール・アジア、今年の候補者は次の通り。

23rd Anniversary 第7回ピオレドールアジア 最終候補者プレビュー by 月刊『人と山』

1
韓国ハンター北壁登山隊 チェ・ソクムンら3名
ハンター北壁ムーンフラワーバットレスから派生する変形ルートをアルパインスタイルで開拓

2
日本グルラマンダーダ(7694m)登山隊 平出和也、谷口けい
アルパインスタイルによる横断登山

3
韓国ヒムジュン(Himjung 7140m)登山隊 キム・チャンホら2名
アルパインスタイルで南西壁からの初登頂

4
中国チズ峰(嘉子峰 6540m)登山隊 ヤン・ドンドンら3名
北西壁「自由之舞」ルートをアルパインスタイルで開拓

以上の4チームがノミネートされている。

併せて、第3回ピオレドールアジア功労賞として、長谷川恒男、山野井泰史に続き、カザフのデニス・ウルブコに決定の模様。

第5回ゴールデン・クライミングシューズ賞には、ソンサンウォン(コーロンスポーツ)、ミン・ヒョンビン(ノースフェイス)の2名がノミネートされている。

ピオレドール・アジアは11月9日に受賞者発表予定。

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価格破壊

Z1
おやぶんっ!てえへんだっ!

Z2
おめえの「てえへん」につきあってちゃ、身がもたねえよ

Z3
おやぶん、ゴアの靴が半額なんでえ・・

とゆーわけで、韓国のアウトドア関係者がささやく「アウトドアバブル」崩壊の序曲か?

 韓国の大手ディスカウントストア「eマート」が相場の半値である69000ウォン(日本円にしてほぼ5000円)でゴアテックスの登山靴を売り出そうと計画中。
 韓国では、記事中にもありますがノースフェイス・コリアが長年割引販売を禁止、これに公正取引委員会、さらに市民団体もくわわり、「高価なゴア製品の販売価格は適正なのか」に関して泥沼の戦いが繰り広げられた経緯があり、注目を集めているようです。

ゴアテックス登山靴が半額…イーマート「余分なものを取り払った」スペイン製Bestard 6万9000ウォン…大型マート慣行打破 by 文化日報2012.0.16

以下記事引用開始
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 アメリカ産繊維素材「ゴアテックス」で製作されたアウトドアブランドの価格バブル問題が深刻だと指摘されている。
 
 16日流通業界によれば、イーマートは来る18日から6日間にわたり国内外有名アウトドア ブランド販売行事を進めながらゴアテックス ブランドであるスペイン登山靴‘バスタード(Bestard)’を市販価格の半値以下である6万9000ウォンで販売する計画だ。

 イーマート関係者は「1年前から事前企画をたて、商品を直接輸入する方式で流通段階を大幅に縮小した。アウトドア製品の価格から余計なものを取り払い、合理的な価格が形成されるようになるだろう」とコメントした。
 イーマートは去る3月には30万~50万ウォン台のゴアテックス アウトドア ブランド ジャケットを10万ウォン台に販売する行事も進めた。

 ゴアテックスで作られたアウトドアブランドの市販価格が大型マートと2倍程度の価格差がひらく理由は、相対的に複雑な流通段階という要因の他にも販売チャネル間の競争が事実上制限されている点が大きいと流通専門家は見ている。 ゴアテックスアウトドアブランドの流通チャネルがデパートや代理店などにだけ制限されており、価格競争自体が抑制されているということだ。

 実際に、とある大型マートのアウトドア担当者は「ゴアテックス製品メーカーの場合、大型マートで取り扱えばブランド価値が落ちるという理由で、大型マートとは最初から話さえしないようにしている。ゴアテックス製品を取り扱うには海外に出て行き、直接商品を仕入れてくる方法が事実上唯一の方法だ」と話す。

 公正取引委員会は去る4月、ゴアテックスアウトドアブランド国内1位業者であるノースフェイスの割引販売禁止(再販価格維持)行為に対して50余億ウォンの課徴金を賦課したことがある。 当時、公正取引委員会は「14年にわたりノースフェイスが割引販売禁止行為をしてきた」として「2002年からオンライン販売禁止条項を最初から契約書に取り決め、割引販売行為時には契約解約まである事実などを確認した」とコメントした。
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お隣韓国では、高額なゴアのアウトドアジャケット(特にノー▲フェ▲ス社製)が中高生に人気、不良グループではウェアによって「階級」が決められたり、ジャケットを対象にした万引きやカツアゲが横行したとして社会問題になってました。

ちなみにイーマートとは、決してあやしげなバッタ屋ではなく、韓国でも大手のディスカウントストアで韓国国内に120店舗、中国にも進出している新世界百貨店系列の企業です。
さてさて、ゴアのトレッキングシューズが日本円で5000円・・・
品質はどうなの?という疑問がムラムラと沸いてきますが、韓国のゴア製品の運命やいかに。

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「夢があるから、山に行く」 ダリア・ヤーシナの記憶

2012年5月17日、ロシア・ニジニ・ノヴゴロド出身のダリア・ヤーシナは北米大陸最高峰デナリの頂上に到達。
彼女はロシア人女性初となるデナリ単独登頂を果たしました。

D2
ダリア・ヤーシナ近影

 このニュースはロシアのクライミングサイトを賑わせ、一部には入山者の多いデナリでの単独登頂の価値を問うコメントもありましたが、そのほとんどは祝福のコメントの嵐でした。

 それからわずか3ヶ月後の8月7日、ダリア・ヤーシナは天山・ポベーダ峰7000mの稜線で雪庇の崩壊により墜死しました。
 享年27歳。

 強靱な体力に裏付けられた彼女の足跡はデナリ単独登頂の報道から注目しておりましたが、残念ながら今夏の遭難死、その動向は西側諸国のクライミングサイトにはほとんど出ておらず、中央ヨーロッパ諸国でのみ報道されていたため、邦訳に時間をかけておりました。
 デナリ単独登頂後の地元メディアのインタビュー記事の抄訳を以下に記載します。

Я хожу в горы за мечтами by Vremyan.ru 2012.6.25
(私は夢のために登る)
以下記事引用開始
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 ニジニ・ノヴゴロドのアスリート、ダリア・ヤーシナは、北米大陸最高峰マッキンリー(デナリ)のロシア女性初の単独登頂を果たしました。
 北米大陸最高峰に登ることは、その過酷な気象条件からエベレスト登頂にも匹敵します。統計では平均的な登山者は18.6日かけて登山しますが、彼女は7日間(登高6日、下山1日)かけて登り、パークレンジャーからも強力なクライマーと言われました。

マッキンリーの単独登頂は、ルートなどからみても、レベルとしてはヒロイックな行為なんでしょうか?

 単独登山では自分自身を信頼すること、自分の身体と精神を見つめることになります。これは良い経験であり、素晴らしいトレーニングです。一方、単独登山ではミスがあってはなりません。より多くの準備とトレーニングが必要になります。
 私が選んだ ウエストバットレスと呼ばれる登山ルートは、マッキンリーではクラシックなルートです。その主な部分はヒドンクレバスのある氷河で覆われています。雪と氷のルートでそれほどテクニカルなルートではありません。単独で登るには最も賢明に思えました。

マッキンリー単独登頂を思いついたのは?

 その山に非常に感動したからです。私の夢はアラスカの荒々しい、美しい世界を訪れることでした。でも単独登頂はたまたまそうなったということです。
 4月に私はニューヨークで開催されたウルトラマラソンに参加しました。今年は約600kmを走破して、女性で3位になることができました。レースの後、準備期間は多くありませんが残った時間を登山に費やすことに決めたんです。パートナーを見つけるのが難しいので単独登頂を決意しました。

(中略)

山はあなたに何をもたらしましたか?

 明るくなりましたね。私にとって登山は、初めは学校や仕事の合間の趣味でした。4年前から仕事と登山を結びつけることができました。山岳ガイドになり、最も大きな発見であり達成感は、「喜び」です。人々を頂に導く喜び。初めてこの喜びを得られたときは、泣いてしまいました。

あなたはさらに高い所を目指しているのでしょうか?

 とても高所登山には惹かれています。夢は8000m峰です。
 近い将来としては、6月23日からモスクワからのクライマーをアララト山に連れて行きます。彼女は脳性麻痺を負っています。ロシアでは、彼女のような存在はほとんど無力と考えられてますが、非常に強くて経験豊富なクライマーです。私たちにとっては難しい仕事になりますが、うまくいけば、彼女はアララト山(5137メートル)に登頂する初の脳性麻痺の女性になるでしょう。
 それから私はレーニン峰に向かい、次にポベーダ峰に登るつもりです。

クライマーとは、どんな人々ですか?

 強くて勇敢な、偉大、開かれた心を持っています。

あなたを刺激するのは、どんな人々ですか?

 多くの人に出会いました。私が出会った人はそれぞれ違いますけれど、すべて刺激を受けています。
さきほど言った脳性麻痺の彼女は信じられない強さと希望を持ち、私がどれほど励まされたことか。友人のクロードはインスリン依存性の糖尿病患者ですが、彼の夢はセブンサミットです。彼は自分の限界に挑み、夢を実現させています。私は常に励まされていました。

人は言います。「山に高速道路ができれば、行く必要もないだろう」。なぜ山に向かうのですか?

 以前の私もそう思っていました。少し前までは、エルブルースは私にとって遙かに高い山でしたが、今では走って登る山です。人々の登山をガイドする過程で、ウルトラマラソンで、私は素晴らしい人々と出会えました。私はたぶん、山に登り続けます。夢のために。

エレナ・グレフスカヤ記者
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ダリア・ヤーシナは1984年9月29日生まれ。
デニス・ウルブコも名前を連ねる山岳ガイド会社に籍をおき、特に障害者登山に力を入れていました。
脳性麻痺の女性をキリマンジャロに、糖尿病の男性をアコンカグアにガイドした経験を持ちます。
普段からウルトラマラソンに親しみ、その強靱な体力はパミールのレーニン峰の最速登頂記録(8時間30分)保持者であることからも伺えます。
その経歴は、コミュニズム峰(7495m単独登頂)、コルジェネフスカヤ峰(7150m)、ハンテングリ、ムスターグアタ(単独登頂)、オホスデルサラド(6880m)、アマ・ダブラム(6812m)の他、ガイド山行でヒマラヤ、ニューギニア、アフリカ各地に足跡を残していました。
今回事故に遭ったポベーダ峰に成功していれば、スノーレパード(旧ソ連の7000m峰5座に登頂した者に贈られる賞)の栄誉を手にするはずでした。

ロシアのクライミングサイトにアップされた、彼女のデナリ単独登頂の記録を少し紹介しましょう。
画像キャプションはダリア自身による手記からの引用です。

P1_2
『マッキンリー、アラスカの山、北米大陸最高峰、巨大で雪に覆われた山。山がまだロシア領であった頃、先住民であるインディアンのアサバスカ族は、「偉大なもの」という意味で「デナリ」と呼んだ。国立公園のほぼ中央にそびえ、標高6194m。地球上で最北の北極圏の位置しています。
 この山に出会えて幸運でした。私の登頂ルートは「ウエストバットレス」、マッキンリー頂上までルートとしてはクラシックなルートです。ルートの大部分はヒドンクレバスのある氷河で覆われた雪と氷のルート。斜度は40~45度、登山中の気温は-35~-40℃まで低下します。女性初の単独登頂のためには、このルートが最も賢明に思えました。』

P4_2
『氷河へのフライトは5月12日に予定されています。入山3日前から天候が荒れ、フライトがありませんでした。新しい友人であるパイロット、犬、そして子供達、素敵な人々が私を見送ってくれます。もう私の家族同様です。』

P12

P27


 ウルトラマラソンにも親しみ、世界各地の高峰を駆けめぐったダリア・ヤーシナはあまりにも早すぎる死を迎えました。障害者をはじめ多くの人々をガイドする喜びも知っていた彼女、素晴らしい個性は天山山脈の高峰に消えてしまいましたが、彼女の意思(遺志ではない)を受け継ぐ者が現れることを願ってやみません。

※コメント欄にて御指摘をいただき、当初の記事で書いた名前「ヤシン」から「ヤーシナ」に修正いたしました。

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酸味の記憶

コーヒーを飲み終え、かぶっていたツェルトから頭を出す。
雷は去ったが、まだ風雨は続いている。
出発時は朝日が暑いほどだったが、今はガスの中だ。

雷が去ったと判断、再び歩き出す。
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冷たい雨にうたれながら、遅い紅葉で気を紛らわせる。

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デジカメ近づけても「ナマケモノ」のようなスローな動き。
冬は近いね、ツチガエル君。

昼には山行を終えて下山。
登山口で着替えた後、県立図書館には所蔵されていないローカルな資料を求め、長井市立図書館へ。
規模は小さいけれども、よくまとまった図書館。

帰路、白鷹町の産直『どりいむ農園』に立ち寄る。
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本日の和菓子は「みそゆべし」。
最近は東北各地にでかけても、ネットで和洋菓子店を調べるよりは産直の手作り和菓子を喰う。
地元の婆さんが作った菓子の方が「味」がある。
この産直でゆべしと共に買い求めたのが、

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リンゴの「紅玉」。
世間では「こうぎょく」と呼ぶらしいが、ウチでは「べにだま」と呼ぶ。
実家の爺の好物なので、買って持って行く。
「紅玉」といえば、今の女性には菓子の材料なのだろうが、ウチでは生食である。
爺いわく、今のリンゴは甘すぎ、紅玉の酸味がいいという。

早速食べてみた爺、「ん~、あまり酸っぱくないな」
またまた~、爺の遠い記憶が紅玉の味を美化してんじゃねえの、と思いつつ私も食べてみる。
なるほど、私がイメージする味と比べても、酸味に欠ける。
白鷹町の農家の名誉のために書くが、まずいわけではない。
甘みもあり美味しいのだが、紅玉の、あの喉につかえるような酸味が弱いのである。
「白鷹町だし、畑が違うからじゃないか」と、爺は故郷・天童市で食べていた紅玉を懐かしそうに話す。
残念ながら親戚はリンゴ栽培を辞めてしまったので、もう簡単に紅玉は入手できない。

農家出身のカミさんに話をすると、品種改良も味に関わっているのでは、と言う。
ウチの爺は「昔の棒鱈は美味かった」とか、記憶の中で味が美化されているんじゃないかと思うくらい昔の食べ物を懐かしがる。
紅玉の酸味も、もう過去の産物なのだろうか。
また産直でみかけたら、試しに買ってみよう。

ちなみに私が最も好きなリンゴの品種は、黄色い王林です。
痛みやすいリンゴですが、あの香りと味は最高ですね。

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『放射線と登山道』

Ho 野口邦和 監修、日本勤労者山岳連盟 編集、桐書房刊『放射線と登山道』を読む。
 東日本大震災による原発事故を受け、労山所属の各山岳会が地道に各地で測定・とりまとめた放射線の値を中心とした書籍。

目次
 1.放射能汚染源となった福島原発事故
 2.山岳地域の放射線量と安全性
 3.山と海、あれこれ心配 Q&A
 4.放射能をつかむための基礎知識
 5.放射線が人体に及ぼす影響
 6.内部被ばくと食べ物の安全性

 これらの項目からわかるように、測定された放射線量の値の公表だけでなく、原発事故発生状況の解説から放射線・放射能に関する基礎知識の概説、講演会での質疑応答の記録から成る、一般の人々の疑問に対する答え等々、「登山道の放射線量」にとどまらず、原発事故に伴う放射線への疑問に答えようとする好書。
 
 収録されている、放射線量が測定された山域は岩手、宮城、栃木、茨城、群馬、埼玉、東京、山梨、神奈川、静岡の各県にわたっている。

 正直なところ、福島県の山々を訪れるうえで、放射線量が気になる方は多いでしょう。
 この本の内容は各地域の安全や無害性を保証するというものではなく、「判断材料」として山々の放射線量が気になる方におすすめいたします。
 すくなくとも、福島では疎開が必要だ、人体実験だと無責任にツイッターでわめいている某クライミングライターの垂れ流す断片的な情報よりも、得られるものは多いはずです。

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座布団三枚。

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クリミア自治共和国で開催されるドライツーリング・コンペのポスター。

クライマーを描かず、電線にとまる鳥、そして鳥を模した「アックス」がお見事。

中央ヨーロッパ諸国では、クライミングコンペのポスターはなかなかセンスがあって見ていて楽しいです。

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キム・ジャインちゃんは酒好きだった!

・・・と、いつもの調子でお気軽タイトルをつけましたが、韓国スポーツクライミングのトップ選手、キム・ジャインちゃんとミン・ヒョンビン2人の現在がよくわかるインタビュー記事が中央日報に掲載されています。

クライミング・クィーン、キム・ジャイン『最もぴりっとする瞬間は・・・』 by 中央日報2012.10.9

以下記事引用開始
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 スポーツクライミングは不人気種目だ。
 アメリカ西部のビッグウォールに挑戦する野心的なクライマーが、普段もクライミングをすることができ、室内に人工壁を作って楽しんだことに由来する。楽しみから始まった競技は、より速く、より困難なルートを登る競争的なスポーツへと発展した。山岳スキーや登山活動からスタートした、代表的なスポーツだ。
 しかし、まだヨーロッパとアメリカ大陸に限定されているのが現実で、我が国は辺境地扱いを受けている。10余年前、各地方自治体が人工壁を先を争って作り、インフラは発展したものの、登録選手は1958人(2011年現在)、底辺の愛好者も約10万人に過ぎない。
 このような悪条件の中でも韓国は女子の世界トップと男子アジアのトップを占めている。キム・ジャイン(24歳・ノースフェイス)と、ミン・ヒョンビン(23歳・ノースフェイス)がその主人公だ。

 キム・ジャインは、今年で3年目の世界ランキング1位を維持しており、アジアの頂点を8年間守り続けている。
 ミン・ヒョンビンはキム・ジャインの陰にかくれていたが、2010年のアジア選手権大会優勝以後、今年までアジアのトップであり、東洋人選手には困難といわれるワールドカップ大会決勝の常連になっている選手だ。
 2人は10年前、ソウル東大門区の人工壁で初めて出会い、今まで良きライバルとして友人のように過ごす。共通点も多い。小柄なことだ。キム・ジャインは1m53㎝、ミン・ヒョンビンは1m62㎝。ホールド(壁を登るときに手に持ったり踏み込むことができるところ)にぶらさがったまま体重を移動させるスポーツクライミングにおいて、短い手足は致命的に不利だ。長身の欧米選手たちと競い合うことになる東洋人選手の立場では「猿の前のリス」同様である。
 2人は国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が主催するワールドカップ4、5戦を終えて去る2日に帰国した。ワールドカップは、毎年春から秋まで10回行われる。来る19日には全羅南道の木浦(モクポ)で第7回ワールドカップが開かれる。中国のワールドカップのために、11日には再び出国しなければならない2人に4日、取材した。
 新世代クライマーはファッションから違っていた。キム・ジャインは水玉プリント刺繍のゆったりしたワンピース姿でスタジオに現れた。精一杯着飾った女性らしいファッションだったが、写真撮影のためにすぐにスポーツクライミング競技の服に着替えることになった。ミン・ヒョンビンはベージュのベストを着たカジュアルなス​​ーツ姿で入ってきた。いわゆる「山屋」とはまったく異なる服装である。手にはスポーツクライミング選手にとっての宝物のように、クライミングシューズを握っていた。

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 指紋がほとんど消えた指と真っ直ぐにひろがらない足指。1m53㎝の小柄な身長。しかしキム・ジャインは誰よりも早く、高く登ることでクライミングの「クイーン」と呼ばれる。 [グォン・ヒョクジェ写真記者]

●赤ちゃんの靴みたいですね?
ミン:トレーニングする時は22.5cm、競技の時は22.0cmを履きます。競技の時はどうしてもグッと締めなければならないんです。壁では靴下を履きませんが、競技に没頭したり緊張すると汗がたくさん出るんですよ。運動靴は 24.0cmを履いてましたが、今は23.5cmです。しきりに締めるから足が小くなりました。ジャインは20.5cmを履いていたと思います。.

●指より足指にタコがひどいですね?
キム:シューズが小さかったり、ホールドに足をねじ込まなければならないからです。それでも私は大丈夫な方です。時間があればマニキュアも塗って、黄色が好きで黄色いマニキュアをよくしてます。クライミングを長くしているお姉さんたち(訳者注:韓国語の年長者への敬称)は本当にタコがひどいです。

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タコが多くできているキム・ジャインの手足
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●クライミングを長くすれば、どうしても女性としての魅力は減りそうですが?
キム:そうですか?私はそうは考えません。よく鍛えられた筋肉を持ったお姉さんたちを見れば、身体がきれいだという気がしますが。魅力があって…。私もそうなりたいんです。クライミングを長くすれば、当然肩が広くなって胸も消えますが、代わりに筋肉など他の人達が持たない身体を持つことができます。私はオシャレして通うことも好きで、運動してない時は化粧もきれいにこなして通います。ゆったりするワンピースも好きで、クライミングすると言っても「山屋」のような服装ではないです。私にもやりたいスタイルがあります(笑)。

●それで写真記者がマニキュアを消したほうが良いと言った時、消さなかったんですね?
キム:私が見るにはきれいだと思うんですが。私の足は本当にきれいな方ですよ。

●どれくらいトレーニングされてますか?
キム:私は幼い頃から兄さんたちと一緒に運動してましたし、最近は長兄が私のコーチとして一緒にトレーニングしています。一日に 5~6時間位します。それは壁にぶら下がっている時間だけですね。ウォーミングアップを加えるとほとんど一日中です。

●握力はどれくらいですか?
キム:50㎏くらい?普通の大人の男性が30位といわれてます。ところで握力は親指や指の中間節に入る力で、 スポーツクライミングは指先にかかる力がもっと重要なんです。ホールドに指を素早くかけた後、その力で耐えなければならないんですよ。

●普段の体重管理が大切ですね。
キム:常に41~42㎏を維持してます。以前はウエイトコントロールが難しかったんです。成長期だったんですね。高校2年の時、一山(訳者注:イルサンという地名)で家族で外食して帰る途中、自由路で下りて家まで10㎞歩いて帰ったこともあります。せっかく沢山食べたけれど、考えたらとっても(体重管理に)まずいんですね。車から降りるからと言うと家族達から止められましたが、泣きながら下ろしてくれと言いました。この頃はウエイトコントロールがよくできてる方です。食事は朝食と昼食を兼ねて一度食べ、午後にトレーニングする時は飲み物と果物だけ食べて、それ以上は食べないです。
ミン:最近はウエイトコントロールに失敗して困ってます。シーズン中は 49~50㎏を越えないようにするんですが、 2~3㎏くらい太って苦労してます。そのためベルギーとアメリカのW杯で成績が良くなかったんです。それでも食事を抑えるとかはせず、朝・夕の2度食事して、午後にトレーニングを終えて飲み物を飲みます。

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ミン・ヒョンビン

●酒・タバコも飲まないんですね?
キム::タバコは吸わないですけど、お酒を飲むのは好きです。シーズン中は飲みたくても飲めません。シーズン終わってほしいです。コーヒーも好きです。
ミン:酒とコーヒーは飲まないです。まずいでし。タバコはシーズン中は吸いません。

●今回、空港に帰ってきた時に記者たちがたくさん取材に来ていたとか。
キム:不思議な経験だったです。以前にも優勝は沢山してましたが、記者の方にもわかる人がほとんどいなかったんですよ。ところが今回は空港に記者たちが10人位来てましたから、良かったり不思議でもあり・・・「もうスポーツクライミングも人気スポーツになったのか」そんな気がして。一方、負担にも感じます。スポーツクライミングを代表しているという思いに。私のクライミングが、もう「過程」よりは「結果」で評価を受ける、そんな気がして。

●キム選手は「クライミングのクイーン」'と呼ばれてますが。
キム:うーん、そのニックネームは気に入ってます。そのように呼んでくださってありがたくて。ヒョンビンは中・高校の時から鳥のように軽いからということで「羽毛」って呼ばれてました。

●10年間近くで見てきたから、お互いの長所短所がよく分かるでしょう。どんな点がうらやましく思いますか。
ミン:ジャインはスタミナがあることです。スポーツクライミングのスタミナはトレーニング量から生まれますから、それほど熱心にトレーニングしているいう意味です。ヨーロッパの大きい選手たちも、準決勝、決勝に行けば「引きずります」。ところがジャインは余裕があるんですよ。

●「引きずります」はインターネット上でしばしば使われる「チォルオヨ」と同じ意味でしょうか?
(訳者注:ここでは韓国語のスラングで、日本語では「やばい」に近いニュアンス)
ミン:いや、苦しがるところです。我が国の選手たちもよく登ってる途中に壁でガクッと落ちる場合が多いのに、ジャインはそうじゃない。普段はおとなしいのに壁では自信にあふれて、「クイーン」にふさわしいですね。
キム:ヒョンビンは身長のハンディキャップが大きいんです。 ヨーロッパの友達も女性では私のように背の低い選手はかなりいるのに、男たちはそうじゃないんですよ。その間で世界トップクラスに入ったことはすごいですよね。また指の力が本当に凄いんです。競技の時はホールドが取る事ができないように見えるのに、鬼のように取るんですよ。壁ではじけるように腕を伸ばして遠くにあるホールドを取る弾力性がすごいです。普段のトレーニングでもホールドにぶら下がって懸垂を10回ずつしたりして。幼い頃からそんな点がうらやましかったです。

●どんな時が一番「ぴりっ」としましたか。
キム:ルートを完登した時がいつもいいですね。スポーツクライミングは予選、準決勝、決勝と毎回ルートが変わるんで、ますます大変です。決勝はたいてい完登が難しいくらいにルートをセッティングします。その問題を全て解いて、最後のホールドまで行った時が一番「ぴりっ」とします。そして10年以上スポーツクライミングをしてきましたから、壁に取り付いている時が一番私らしいと思っています。その時が一番自信にあふれて幸せだという気がします。
ミン:2010年に中国で開催されたアジア選手権大会で優勝した時です。当時はアジアにも強い相手が多かったんですが、優勝したんですよ。背が低いハンディキャップを乗り越えて、スポーツクライマーとしての可能性を確認するきっかけになって良かったです。競技が終わってホテルの部屋に戻ってから、窓を開いて叫び声を上げました。.

●キム選手は男性の大会に参加したこともあります。
キム:正式競技ではなかったし、番外競技として2010年のノースフェイス杯男子の部に出場したことはあります。男女選手が一同に競技する大会があったら参加したいです。幼い時からお兄さんたちと一緒にトレーニングして不慣れではないですね。また新しい挑戦をして見たいんです。

●人工壁以外に、アルプスやヒマラヤのビッグウォールを登りたい考えはないですか?
キム:以前はスポーツクライミングだけと思ってましたが、最近は外岩も登りたいですね。この前はクライマーである両親と一緒にソウンサンの5.14クラスの岩場を登ったことがあります。
ミン:私もヨーロッパへ行って、アルプスやヨーロッパの山を見ていれば挑戦したいという考えはあります。いつかは挑戦するつもりです。

●来週開かれる全国体育祭典(訳者注:日本における国体に該当する大会)にスポーツクライミング競技が初めてお目見得しますが。
ミン:正式種目としては来年からです。私たちは中国W杯のため出場することができません。来年にスケジュールが合えば、出場するつもりです。スポーツクライミング観戦も面白いのに、まだまともに放送などしてくれないので一般の人々もよくわからないようです。ヨーロッパで競技をすれば人々が本当にたくさん集まるんですよ。私たちも人がたくさん集まることができる会場で競技をして、野球やサッカーのように観覧する人が多くなったら、と思います。

●今後の目標は?
キム:昨年、IOC会議でスポーツクライミングが2020年のオリンピック候補種目に選ばれました。オリンピックが興味深い競技を優待する流れですから、正式種目になる可能性があるそうです。そうなれば、オリンピックに必ず出たいです。2020年なら私は三十はるかに過ぎた年齢で、その時まで選手生活を続けているかはわかりません。ヨーロッパでは三十過ぎて現役の選手がかなりいるんですよ。熱心にトレーニングして必ず実現したいです。
ミン:私もオリンピックに出るのが夢です。私もそのころには三十過ぎてますが、オリンピック出場のために、その時まで選手生活を続けたいですね。

インタビュー:キム・ヨンジュ記者
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 このブログを始めたころ、韓国はスポーツクライミング大国と認識していたのですが、韓国でお世話になっている岳人の話では「トップ選手は存在するが、底辺がなかなか広がらない。」とお話されていました。またキム・ジャイン自身も各方面のインタビューで「クライミングはまだまだマイナー競技」とコメントしています。
 上記記事にある「空港で記者が取材にきていた」という話は、先のパリW杯でランク一位になったキム・ジャインが帰国した際、インチョン空港に取材陣が待ち受けていてキム・ジャイン自身が驚いた、という他紙報道で紹介されていたエピソードの事をさします。

 インタビューの最後、キム・ジャイン、ミン・ヒョンビン2人ともオリンピック出場への夢を語っています。五輪参加についてはキム・ジャインが他紙でも同じく「(競技化が)実現すれば30超えているが出場したい」と明言しています。指導者の道を歩むべく大学院に進学したキム・ジャインですが、まだまだコンペクライマーとしてのキム・ジャインの活躍が続くようです。

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日本に生まれて良かった

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カミさん実家からもらった、今年の新米。
早速、夕食にいただきました。

今日の産経ではめずらしく山形の話題。
山形県は山辺町・大蕨地区の棚田、稲を天日干しする稲杭の様子が一頁を費やして掲載されてました
後継者不足であと三年もつかもたないか、だそうな。

私はしがない土木作業員&山岳ガイドですが、いつまでも美味しい御飯が食べられますように。

昨日13日、鳥海山の初冠雪が報道されました。
これからも東北の山を楽しもうという方、防寒対策はどうぞしっかりと。

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Stetind北壁『女性の論理』ルート開拓

 2011年にグレートトランゴに新ルート開拓、同年のピオレドール・ロシアを受賞したマリナ・コプティバ、ガリーナ・シビトークのペアが2012年9月10日、ノルウェーの著名な岩場であるStetind北壁に新ルートを開拓、登頂に成功。
 ルート長・グレードは明かではないのですが、北壁に拓かれた新ルートは85年の初登以来、2本目と思われます。
 開拓した新ルートの名称は、『女性の論理』。

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ガリーナ・シビトーク

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マリナ・コプティバ
(この筋肉ムキムキ画像は好色エロ坊主な私がチョイスしたんでなくて、マリナ自身がロシアのクライミングサイトで登攀レポに掲示していたものですheart

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Stetind山北面の遠景

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Stetind山西面から(stetind.nu)

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取り付きでの2人

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壁のコンディション。入山して二日間は天候に恵まれたものの、その後は天候不順がつづき壁全体が濡れ濡れ状態だったようです。

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濡れ濡れ壁をものともせず前進するロシア女性ペア。

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雪もべっちょりな頂上岩塔の東面。

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2人は新ルートから壁を大きく巻き、既成ルートのある西面から登頂。

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山頂の2人

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お嬢さん方、過積載でないでしょうか。

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登山靴に突っ込んだサラミとエストニアのヴァナ・タリンチョコレート(リキュール)
昨年のパキスタン遠征は食事で悩まされたようで、ヨーロッパの食事と風景をエンジョイした様子もレポートされています。

「ロシア」「女性」という枠組みを超えて世界でもトップレベルのビッグウォールクライマーな彼女達。
次の目標が楽しみですね。

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息子とブナの森へ

ウチの子供達がお世話になっている、山形県立自然博物園の「キッズクラブ」。
今月が最終回、プログラム内容は「チャレンジウオーク街道歩き」。
古い修験道の道である「玄海古道」を子供達、父兄とともにたどるという内容である。

小学校の野外体験活動ですっかり登山嫌いになってしまった娘は参加を拒否。
キッズクラブの最終回ということで、息子を無理矢理引き連れて参加。

「山歩きだよ」 → 「森歩きだよ」 → 「ピクニックだよ」と、悪徳通信販売業者の宣伝並みに言い方を変え、息子をなだめすかして博物園に連れて行く。

博物園の敷地に到着してから、息子がはっきり「森歩きぃ~行きたくない~」とはっきり拒否反応を示す。
ここ最近、DSばかりにかじりついている姿に危機感を覚えた私は、荒療治を覚悟で嫌がる息子を強引に連れて行く。

最近出版されている親子登山本などには、子供を無理矢理連れて行くことが「山嫌いにつながる」としているが、私はもともと自分の子供に山を始めてもらおうなどとは毛頭思っていない。
あーた、自分の子供が将来8000m峰行きたいとか冬壁やりたいとか言ったらどーすんの?おとうさんはぜったいはんたいだっ!

山形盆地は晴天なのに、本日の月山は冷たい強風、そして断続的な雨。
スタッフで引率の倉本さんが出発のお話をしている時点で息子は「帰りたい」
そんな息子をつれて出発。
もともと私も博物園のブナ林ガイド、道はわかるので、いざとなれば私が息子だけを連れて引き返す覚悟で行く。

道中も「帰りたい」を連発する息子に、倉本さんが「キンミズヒキ」の実を与える。
小さい三角形の実が服によくくっつく。
息子はこれがとても気に入ったらしい。
途中の休憩でも「まだ歩くの」といいつつ、「あの実はどこいったの?」と自分のリュックに入れたキンミズヒキが気になる様子。これは脈あり。

天候はとにかく冷たい風と雨。
倉本さんの判断で当初予定の「一の木戸」まで行くのは断念、「春木戸」から周海沼を経由して戻ることになった。
息子には「ここから違う道をたどって戻るよ」、と「戻る」ことを強調して伝える。
どうやら帰れると思った息子、心に余裕ができたのか、それまで無言もしくは「帰りたい」が口癖だったのが、「キノコノコノコノ・・・」と歌いながら歩く始末。民主党議員なみに現金な奴である。

冷たい風と雨。
今回のプログラムは父兄同伴可能な行事で、皆さんブナの森に興味津々な方ばかり。
倉本さんがホオノキの実やコシアブラの実を解説し始めると、大人達は興味深く聴くのだが、寒さに耐える子供達は「ふーん」(棒読み)または「早く行こうよ~」。

そんなこんなで周海沼、野鳥観察小屋に到着。ここで子供達待望のお昼ご飯。
観察小屋の窓にコウモリが留まっており、みんなの注目を集める。
ちょっとお疲れ気味の息子はコウモリに少し興味を示しただけで、お弁当に集中。
ここでカミさんが気を利かせてタッパーに入れた缶詰ミカンが劇的効果を発揮。
(最近の給食で味を覚えたらしい、息子は缶詰のシロップ漬ミカンが大好物)
息子は「缶詰のミカンだ!」と大喜び。往路で「帰りたい」と言い続けた弱気顔は消え、弁当をパクついている。

今回の行動では息子の防寒着の類は全て私がザックに入れて持ち運び、「寒くないか」「歩いて暑くないか」常に問いかけて衣服の調節を私が行った。山の経験など全く無い息子には、激しく変化する外気温、体感温度に合わせて衣服を調節する経験も無いからだ。

昼食を終え、野鳥観察小屋から博物園に向けて下山開始。
もう出発時とは別人のような息子。
精神的にも余裕ができたのだろう、地面を覆うブナの枯れ葉に気が付いたらしく、「あ、たくさん葉っぱ落ちてる!マリオは木の葉っぱでタヌキに変身するんだよ」と、スーパーマリオの事を盛んに話しながら歩く。

そう、今年は出張も多く自宅にはあまりいなかったし、山形にいてもガイド山行もしくは準備山行、または資料集めの図書館通いで、自分の子供と過ごす時間は多くない。
のんびりと、とは言い難い悪天ながら、子供と一緒に何かを経験する時間が欲しい。

下山途中、川を渡る箇所では川虫探しにすっかり夢中の息子。
もう「帰りたい」の言葉は無かった。

昼過ぎ、青い空や日射しもチラホラ見える空模様の中、無事全員下山。
博物園施設内で今年度のキッズクラブ終了式を兼ねたお別れ式。
倉本さんからは、小学1年にして往復約6kmを歩き「姥ヶ岳も大丈夫ですよ」と太鼓判を押される。

お別れ式を終えて解散後、「あのくっつく実ほしい」という息子と一緒にキンミズヒキを採取。
帰宅後、息子はさっそく画用紙にキンミズヒキをテープで貼り付け、自作の標本を作り本棚に飾っていた。

しばらく息子を山に誘うつもりはないが、何かをきっかけに「自然」に眼を向けてもらえれば、と思っている。

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お楽しみの昼食場所、野鳥観察小屋にて

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昼食後のひととき、野鳥観察小屋前のブナ林にて息子は一人何を思うのか?

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猛暑のため、秋の実り「ヤマブドウ」もまだ緑色が多かったでした。

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倉本さんの手のひらにのる、かなり大きめの「冬虫夏草」
「えっ!虫にキノコがはえるのっ!?」
と、息子にとっても驚きのようでした。

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山形県立自然博物園では、毎年子供向けの連続プログラム「キッズクラブ」を開催しています。(博物園ウェブサイト左の「キッズクラブ」参照下さい)
子供に自然体験させたい方、異なる年齢・学校の子供達とのびのび遊ばせたい方、ぜひお申し込み下さい。(2012年度は終了、来年度のプログラム発表をお待ち下さい)

山形県立博物園内の道は古来の修験道の道、自然観察遊歩道などが幾つものびており交差しています。
初めて訪れる方にとっては迷いやすいため、初めての方には毎日(月曜・休園日除く)、9時30分と13時30分にスタートするインタープリター同行の無料ガイドウォークに参加されることをお勧めいたします。
なお山形県立自然博物園施設の開館、ガイドウォークの実施は10月末日までです。

 蛇足ながら、嫌がる子供さんを無理矢理山に連れて行くのは、他の方にはお勧めいたしません。(再度強調しておきますが、私も博物園のブナ林ガイド経験者で道を熟知しており、いつでも息子を連れて引き返す心の準備をして参加に臨んだものです)
 本日のキーポイントはやはり息子が夢中になった服にくっつく実のキンミズヒキですね。何か気を引くきっかけがあれば、子供は自然環境に順応してくれる。そんなことを今日は教わりました。

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エイアンドエフからグレゴリー・ジャパンへ【2012年10月13日改題・追記】

 BDおよびA&F、アメリカのメディアを検索してもこの情報は出てこないのですが、中国の戸外資料網が2012年10月9日付で報じています。

Black Diamond公司收购GREGORY日本代理商 by 戸外資料網2012.10.9

 報道によれば、ブラックダイヤモンド社が日本において80年代からグレゴリー社製品販売を独占していたA&Fを買収。2013年1月1日からブラックダイヤモンドがグレゴリー社製品のマーケティング、卸売販売を行うとのこと。ちなみに日本はグレゴリー社にとって2011年総収益の6%を占める重要な市場と位置づけられています。

 ブラックダイヤモンドにとっては2012年7月のPOC(スウェーデン)、9月のPIEPS(オーストリア)に続く買収劇。

 あれ?
 2010年にBDってグレゴリーに買収されてなかったっけ?
 
 私ははっきり言って、名前だけが機能以上にもてはやされて古着屋で高額取引されているグレゴリーが だ い っ き ら い なので今回の買収劇もどうでもいいことなんですが、マイナーなメーカー製品でも入手しやすくなるような企業買収を期待しています。

 さらに注目すべきは、このような日本のアウトドア業界の内幕まで中国人は注視しているということですね。
 
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 報道されているのが中国のアウトドアポータルサイトだけで情報の信頼性に欠けるため、アウトドア業界の信頼できる筋に確認したところ、アウトドア用品販売店には、

◎2013年1月からは従来のエイアンドエフから離れ、グレゴリー・ジャパンという新会社がグレゴリー製品を扱う

という通知が配布され、10月に販売店向けの説明会が開催されるとのこと。
小売店向けの通知文にはブラックダイヤモンドのブの字も表に出ていない状況でしたが、2012年10月12日現在、アメリカのNasdaq.comがブラックダイヤモンド社によるA&Fの「資産買収」を報じています。

Black Diamond to Acquire Gregory's Japanese Distribution Assets From A&F by Nasdaq.com2012.10.12

 当初この記事は中国の 戸外資料網 にならい『ブラックダイヤモンド、グレゴリー日本代理店A&Fを買収』というタイトルでアップしましたが、正確さに欠けますので、『エイアンドエフからグレゴリー・ジャパンへ』に改題します。

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ウインドブレーカー

今シーズン使い始めた、極薄生地かつポケッタブルのウインドブレーカー。
秋になり、山でも日陰や日没などで気温の変化が激しい状況で大変重宝しました。

スポンサーが付いてるガイドの先生方と違い、私は自分で装備を調達しなければならない。
今春ソウルを訪れた際、普段は韓国の山岳メディアをウォッチしてるんだから、何か韓国ブランドの装備を購入して実際に使ってみたいなあと思ってました。
 高所クライマーのユーさんに案内してもらったのが、韓国のアウトドアメーカーNEPAのお店。
 ここでNEPAの極薄ウインドブレーカー、フード無の超軽量タイプをチョイス。
 さて代金支払おうとレジに向かうと・・・あ゛あ゛っ~申さんすみません・・・・

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 韓国の岳人に買っていただいたウインドブレーカー。
 今シーズンはザックのいつでも取り出せるところに突っ込み、フル活用。
 私、ガイド山行で緊張すると体温上昇するタチなもんで、無雪期はたいていシャツ一枚。
 そこに大汗かくもんで、秋山・春山の激しい気温変化にこのウェアが重宝してます。
 


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暗黒の3日間

10月連休。
諸事情により鬱々。

連休三日目。
月山その他有名山域のガイド依頼がいくつかあったものの、昨年に引き続き御依頼のあった秋田県・虎毛山のガイドを引き受けていた。

 昨年と同じ感覚でバスの運転手さんに林道に入ってもらうようお願いしたところ、今回のバスは一回り大きい中型バスで林道の道幅ギリギリ。
 沢筋の路面が凹んだところでバスがかなり傾き、お客様にもかなり怖い思いをさせてしまった。
 もう出だしからマイナスイメージである。

 心が折れそうになりながらも、虎毛山を登高。
 山頂では旅行社からお預かりした熊避けスプレーを落っことしてしまい、一人取りに戻る。

 今回の添乗は、8000m峰はじめ高所登山の経験もある強力なAさん。
 私が熊避けスプレーを回収に行っている間、添乗のAさんに引率をお願いし、私は走って隊列に追いつき、リード交代。
 前々からお名前を伺っていたのに、初めての出会いでこの始末。
 もう自分の心は日本の株価グラフなみに折れ曲がる。ベクトルは下方にな。

 もっともこちらは依頼を受けてガイドを請け負っている立場。
 心が折れようがちぎれようが、クライアントをリードすることに変わりはない。
 
 秋の夕暮れ、もう薄暗くなる頃、安全地帯まで戻ったバスまで帰還。
 帰路途中の温泉施設で添乗Aさんと事務手続き。
 出だしからミスを連発したにもかかわらず、見送ってくれたAさんの笑顔に申し訳なく思う。

 秋田県の雄勝町経由で山形に戻る。
 今日は昼間も、日没後も、快晴。
 薄暗い空に星が出ている。
 車のラジオからは、


『雨にぬれても』が流れている。

Raindrops are falling on my head
and just like the guy whose feet are too big for his bed,
nothing seems to fit
those raindrops are falling on my head, they keep falling

 この快晴の空の下に流れる『雨にぬれても』というちぐはぐさ、雨が頭に降ってくる→鬱々という、何か今の自分を象徴しているようで聞き入ってしまう。

 そう、今の自分はガイドに向かないんじゃないか。
 以前から幾度考えただろうか。

 連休最後の夜。
 車の多い国道13号で、事故を起こさぬ程度に考え考え運転する。
 ある山岳ジャーナリストと、某有名クライマーの「孤独」についてメールでやりとりした事がある。
 頂戴した返事を読みながら、フリーの文筆業と同時にガイド業もこなすその人の「強さ」にはかなわない、と思う。私にはそんな強さは、無い。
 
 連休最後の夜。
 鉛の塊が身体に入っているのではないかと思う気分でコンビニ休憩。
 スマホを見ると、留守電の表示。
 メディア関連の仕事をされている先輩から。
 あらためて連絡をとると、山形の山岳地域の紅葉情報を知りたく私に連絡を入れてくれたという。幸いなことに私が入山している間、他の方を経由して紅葉情報が得られたとのこと。
 ついでに久しぶりに山に登ったよ、という話を先輩から聞く。
 通話を終え、スマホを車の助手席に置く。
 山岳部の先輩と話をして、ふっと身体が軽くなる。

 人とのやりとりは苦手だが、添乗のAさんとの出会いや先輩との電話、人とのやりとりの中でまた気力を得る。
 
 連休最後の夜。
 車のライトが点々と続く、渋滞気味の国道13号を走り続ける。

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山頂に夏の忘れ物。チングルマが咲く虎毛山の秋。

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立正大学公開講座 竹内洋岳『挑戦し続ける想い -14座の軌跡を語る-』

 日本人初8000m峰14座登頂を果たした竹内洋岳君による立正大学公開講座(講演会)『挑戦し続ける想い』が下記要領で開催されます。
 参加申し込みは抽選制となっておりますが、皆様どうぞご参加下さい。
 以下、読売新聞2012年10月7日朝刊34面に掲載の立正大学告知文より転載(申し込みメールアドレス等一部改変して記載)です。
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立正大学140周年 14座完登記念 公開講座
日本人初8000m峰14座完全登頂 竹内洋岳氏
講演テーマ『挑戦し続ける想い』-14座の軌跡を語る-

開催日時
2012年11月10日(土)15:00~16:30(受付開始14:30)大崎キャンパス定員600名 会場:石橋湛山記念講堂

2012年11月24日(土)15:00~16:30(受付開始14:30)熊谷キャンパス定員400名 会場:アカデミックキューブA101

【申し込み締め切り】大崎キャンパス講座10/29(月)、熊谷キャンパス講座11/12(月)
【申し込み方法】必須事項<希望講座A11/10大崎キャンパス 又は B11/24熊谷キャンパス いずれかを明記の上、郵便番号、住所、お名前(フリガナ)、年齢、性別、電話番号、職業、E-mailアドレス、同伴者のお名前(1名まで)を記入の上、下記(1)(2)いずれかの方法にて申し込み下さい。抽選の上、当選された方には、当選ハガキもしくは当選メールのご案内をもってご連絡とさせていただきます。当選のご案内は開催日の10日前を予定しておりますが、ハガキにてご連絡させていただく際は、多少お時間を戴く場合があります。

(1)E-mail open_college@ris.ac.● ※スパム防止のため●表記しております。●をjpに置き換えて発信ください。

(2)郵便はがき 〒141-8602 東京都品川区大崎4-2-16 立正大学 政策広報課「立正大学公開講座事務局」宛

お問い合わせ 立正大学公開講座事務局 電話0120-188-471 (10:00~18:00土日祝除)

※11/24熊谷キャンパス講座当日は特設キッズルームで保育士が満3歳以上~就学前のお子様をお預かりし、社会福祉学部の学生がサポートにあたります。詳細は電話にてお問い合わせ下さい。
※当日は撮影が入り、後日、WEB・印刷媒体で使用させていただきます。
◎今回の講座申し込みにおいて知り得た個人情報は、当講座または本学からのご案内に関すること以外に利用いたしません。
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 棺桶に片足突っ込んだようなジジババよりも、できれば山に関心のある若い方に聴講してほしいと、私個人的に思っております。抽選制ですが奮ってお申し込み下さい。

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