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キム・ジャインちゃんは酒好きだった!

・・・と、いつもの調子でお気軽タイトルをつけましたが、韓国スポーツクライミングのトップ選手、キム・ジャインちゃんとミン・ヒョンビン2人の現在がよくわかるインタビュー記事が中央日報に掲載されています。

クライミング・クィーン、キム・ジャイン『最もぴりっとする瞬間は・・・』 by 中央日報2012.10.9

以下記事引用開始
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 スポーツクライミングは不人気種目だ。
 アメリカ西部のビッグウォールに挑戦する野心的なクライマーが、普段もクライミングをすることができ、室内に人工壁を作って楽しんだことに由来する。楽しみから始まった競技は、より速く、より困難なルートを登る競争的なスポーツへと発展した。山岳スキーや登山活動からスタートした、代表的なスポーツだ。
 しかし、まだヨーロッパとアメリカ大陸に限定されているのが現実で、我が国は辺境地扱いを受けている。10余年前、各地方自治体が人工壁を先を争って作り、インフラは発展したものの、登録選手は1958人(2011年現在)、底辺の愛好者も約10万人に過ぎない。
 このような悪条件の中でも韓国は女子の世界トップと男子アジアのトップを占めている。キム・ジャイン(24歳・ノースフェイス)と、ミン・ヒョンビン(23歳・ノースフェイス)がその主人公だ。

 キム・ジャインは、今年で3年目の世界ランキング1位を維持しており、アジアの頂点を8年間守り続けている。
 ミン・ヒョンビンはキム・ジャインの陰にかくれていたが、2010年のアジア選手権大会優勝以後、今年までアジアのトップであり、東洋人選手には困難といわれるワールドカップ大会決勝の常連になっている選手だ。
 2人は10年前、ソウル東大門区の人工壁で初めて出会い、今まで良きライバルとして友人のように過ごす。共通点も多い。小柄なことだ。キム・ジャインは1m53㎝、ミン・ヒョンビンは1m62㎝。ホールド(壁を登るときに手に持ったり踏み込むことができるところ)にぶらさがったまま体重を移動させるスポーツクライミングにおいて、短い手足は致命的に不利だ。長身の欧米選手たちと競い合うことになる東洋人選手の立場では「猿の前のリス」同様である。
 2人は国際スポーツクライミング連盟(IFSC)が主催するワールドカップ4、5戦を終えて去る2日に帰国した。ワールドカップは、毎年春から秋まで10回行われる。来る19日には全羅南道の木浦(モクポ)で第7回ワールドカップが開かれる。中国のワールドカップのために、11日には再び出国しなければならない2人に4日、取材した。
 新世代クライマーはファッションから違っていた。キム・ジャインは水玉プリント刺繍のゆったりしたワンピース姿でスタジオに現れた。精一杯着飾った女性らしいファッションだったが、写真撮影のためにすぐにスポーツクライミング競技の服に着替えることになった。ミン・ヒョンビンはベージュのベストを着たカジュアルなス​​ーツ姿で入ってきた。いわゆる「山屋」とはまったく異なる服装である。手にはスポーツクライミング選手にとっての宝物のように、クライミングシューズを握っていた。

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 指紋がほとんど消えた指と真っ直ぐにひろがらない足指。1m53㎝の小柄な身長。しかしキム・ジャインは誰よりも早く、高く登ることでクライミングの「クイーン」と呼ばれる。 [グォン・ヒョクジェ写真記者]

●赤ちゃんの靴みたいですね?
ミン:トレーニングする時は22.5cm、競技の時は22.0cmを履きます。競技の時はどうしてもグッと締めなければならないんです。壁では靴下を履きませんが、競技に没頭したり緊張すると汗がたくさん出るんですよ。運動靴は 24.0cmを履いてましたが、今は23.5cmです。しきりに締めるから足が小くなりました。ジャインは20.5cmを履いていたと思います。.

●指より足指にタコがひどいですね?
キム:シューズが小さかったり、ホールドに足をねじ込まなければならないからです。それでも私は大丈夫な方です。時間があればマニキュアも塗って、黄色が好きで黄色いマニキュアをよくしてます。クライミングを長くしているお姉さんたち(訳者注:韓国語の年長者への敬称)は本当にタコがひどいです。

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タコが多くできているキム・ジャインの手足
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●クライミングを長くすれば、どうしても女性としての魅力は減りそうですが?
キム:そうですか?私はそうは考えません。よく鍛えられた筋肉を持ったお姉さんたちを見れば、身体がきれいだという気がしますが。魅力があって…。私もそうなりたいんです。クライミングを長くすれば、当然肩が広くなって胸も消えますが、代わりに筋肉など他の人達が持たない身体を持つことができます。私はオシャレして通うことも好きで、運動してない時は化粧もきれいにこなして通います。ゆったりするワンピースも好きで、クライミングすると言っても「山屋」のような服装ではないです。私にもやりたいスタイルがあります(笑)。

●それで写真記者がマニキュアを消したほうが良いと言った時、消さなかったんですね?
キム:私が見るにはきれいだと思うんですが。私の足は本当にきれいな方ですよ。

●どれくらいトレーニングされてますか?
キム:私は幼い頃から兄さんたちと一緒に運動してましたし、最近は長兄が私のコーチとして一緒にトレーニングしています。一日に 5~6時間位します。それは壁にぶら下がっている時間だけですね。ウォーミングアップを加えるとほとんど一日中です。

●握力はどれくらいですか?
キム:50㎏くらい?普通の大人の男性が30位といわれてます。ところで握力は親指や指の中間節に入る力で、 スポーツクライミングは指先にかかる力がもっと重要なんです。ホールドに指を素早くかけた後、その力で耐えなければならないんですよ。

●普段の体重管理が大切ですね。
キム:常に41~42㎏を維持してます。以前はウエイトコントロールが難しかったんです。成長期だったんですね。高校2年の時、一山(訳者注:イルサンという地名)で家族で外食して帰る途中、自由路で下りて家まで10㎞歩いて帰ったこともあります。せっかく沢山食べたけれど、考えたらとっても(体重管理に)まずいんですね。車から降りるからと言うと家族達から止められましたが、泣きながら下ろしてくれと言いました。この頃はウエイトコントロールがよくできてる方です。食事は朝食と昼食を兼ねて一度食べ、午後にトレーニングする時は飲み物と果物だけ食べて、それ以上は食べないです。
ミン:最近はウエイトコントロールに失敗して困ってます。シーズン中は 49~50㎏を越えないようにするんですが、 2~3㎏くらい太って苦労してます。そのためベルギーとアメリカのW杯で成績が良くなかったんです。それでも食事を抑えるとかはせず、朝・夕の2度食事して、午後にトレーニングを終えて飲み物を飲みます。

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ミン・ヒョンビン

●酒・タバコも飲まないんですね?
キム::タバコは吸わないですけど、お酒を飲むのは好きです。シーズン中は飲みたくても飲めません。シーズン終わってほしいです。コーヒーも好きです。
ミン:酒とコーヒーは飲まないです。まずいでし。タバコはシーズン中は吸いません。

●今回、空港に帰ってきた時に記者たちがたくさん取材に来ていたとか。
キム:不思議な経験だったです。以前にも優勝は沢山してましたが、記者の方にもわかる人がほとんどいなかったんですよ。ところが今回は空港に記者たちが10人位来てましたから、良かったり不思議でもあり・・・「もうスポーツクライミングも人気スポーツになったのか」そんな気がして。一方、負担にも感じます。スポーツクライミングを代表しているという思いに。私のクライミングが、もう「過程」よりは「結果」で評価を受ける、そんな気がして。

●キム選手は「クライミングのクイーン」'と呼ばれてますが。
キム:うーん、そのニックネームは気に入ってます。そのように呼んでくださってありがたくて。ヒョンビンは中・高校の時から鳥のように軽いからということで「羽毛」って呼ばれてました。

●10年間近くで見てきたから、お互いの長所短所がよく分かるでしょう。どんな点がうらやましく思いますか。
ミン:ジャインはスタミナがあることです。スポーツクライミングのスタミナはトレーニング量から生まれますから、それほど熱心にトレーニングしているいう意味です。ヨーロッパの大きい選手たちも、準決勝、決勝に行けば「引きずります」。ところがジャインは余裕があるんですよ。

●「引きずります」はインターネット上でしばしば使われる「チォルオヨ」と同じ意味でしょうか?
(訳者注:ここでは韓国語のスラングで、日本語では「やばい」に近いニュアンス)
ミン:いや、苦しがるところです。我が国の選手たちもよく登ってる途中に壁でガクッと落ちる場合が多いのに、ジャインはそうじゃない。普段はおとなしいのに壁では自信にあふれて、「クイーン」にふさわしいですね。
キム:ヒョンビンは身長のハンディキャップが大きいんです。 ヨーロッパの友達も女性では私のように背の低い選手はかなりいるのに、男たちはそうじゃないんですよ。その間で世界トップクラスに入ったことはすごいですよね。また指の力が本当に凄いんです。競技の時はホールドが取る事ができないように見えるのに、鬼のように取るんですよ。壁ではじけるように腕を伸ばして遠くにあるホールドを取る弾力性がすごいです。普段のトレーニングでもホールドにぶら下がって懸垂を10回ずつしたりして。幼い頃からそんな点がうらやましかったです。

●どんな時が一番「ぴりっ」としましたか。
キム:ルートを完登した時がいつもいいですね。スポーツクライミングは予選、準決勝、決勝と毎回ルートが変わるんで、ますます大変です。決勝はたいてい完登が難しいくらいにルートをセッティングします。その問題を全て解いて、最後のホールドまで行った時が一番「ぴりっ」とします。そして10年以上スポーツクライミングをしてきましたから、壁に取り付いている時が一番私らしいと思っています。その時が一番自信にあふれて幸せだという気がします。
ミン:2010年に中国で開催されたアジア選手権大会で優勝した時です。当時はアジアにも強い相手が多かったんですが、優勝したんですよ。背が低いハンディキャップを乗り越えて、スポーツクライマーとしての可能性を確認するきっかけになって良かったです。競技が終わってホテルの部屋に戻ってから、窓を開いて叫び声を上げました。.

●キム選手は男性の大会に参加したこともあります。
キム:正式競技ではなかったし、番外競技として2010年のノースフェイス杯男子の部に出場したことはあります。男女選手が一同に競技する大会があったら参加したいです。幼い時からお兄さんたちと一緒にトレーニングして不慣れではないですね。また新しい挑戦をして見たいんです。

●人工壁以外に、アルプスやヒマラヤのビッグウォールを登りたい考えはないですか?
キム:以前はスポーツクライミングだけと思ってましたが、最近は外岩も登りたいですね。この前はクライマーである両親と一緒にソウンサンの5.14クラスの岩場を登ったことがあります。
ミン:私もヨーロッパへ行って、アルプスやヨーロッパの山を見ていれば挑戦したいという考えはあります。いつかは挑戦するつもりです。

●来週開かれる全国体育祭典(訳者注:日本における国体に該当する大会)にスポーツクライミング競技が初めてお目見得しますが。
ミン:正式種目としては来年からです。私たちは中国W杯のため出場することができません。来年にスケジュールが合えば、出場するつもりです。スポーツクライミング観戦も面白いのに、まだまともに放送などしてくれないので一般の人々もよくわからないようです。ヨーロッパで競技をすれば人々が本当にたくさん集まるんですよ。私たちも人がたくさん集まることができる会場で競技をして、野球やサッカーのように観覧する人が多くなったら、と思います。

●今後の目標は?
キム:昨年、IOC会議でスポーツクライミングが2020年のオリンピック候補種目に選ばれました。オリンピックが興味深い競技を優待する流れですから、正式種目になる可能性があるそうです。そうなれば、オリンピックに必ず出たいです。2020年なら私は三十はるかに過ぎた年齢で、その時まで選手生活を続けているかはわかりません。ヨーロッパでは三十過ぎて現役の選手がかなりいるんですよ。熱心にトレーニングして必ず実現したいです。
ミン:私もオリンピックに出るのが夢です。私もそのころには三十過ぎてますが、オリンピック出場のために、その時まで選手生活を続けたいですね。

インタビュー:キム・ヨンジュ記者
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 このブログを始めたころ、韓国はスポーツクライミング大国と認識していたのですが、韓国でお世話になっている岳人の話では「トップ選手は存在するが、底辺がなかなか広がらない。」とお話されていました。またキム・ジャイン自身も各方面のインタビューで「クライミングはまだまだマイナー競技」とコメントしています。
 上記記事にある「空港で記者が取材にきていた」という話は、先のパリW杯でランク一位になったキム・ジャインが帰国した際、インチョン空港に取材陣が待ち受けていてキム・ジャイン自身が驚いた、という他紙報道で紹介されていたエピソードの事をさします。

 インタビューの最後、キム・ジャイン、ミン・ヒョンビン2人ともオリンピック出場への夢を語っています。五輪参加についてはキム・ジャインが他紙でも同じく「(競技化が)実現すれば30超えているが出場したい」と明言しています。指導者の道を歩むべく大学院に進学したキム・ジャインですが、まだまだコンペクライマーとしてのキム・ジャインの活躍が続くようです。

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コメント

「クライミングを長くすれば、当然肩が広くなって胸も消えます」 ― どうなんですかね。なるほど乳房は脂肪の塊でしょうからその部分は小さくなる可能性もありますが、下支えする筋肉部分が発達するので前へと張り出し、シェープアップ効果はある筈です。脂肪量の問題ですかね。

残念ながらまだトップスポーツウーマンの触診検査をした経験が無いので確証はありませんが。

投稿: pfaelzerwein | 2012.10.15 00:59

 日本ではまだまだでしょう。
 町内にボルダリングジムが出来たというので覗いてみました。雑居ビルの地下、焼鳥屋、赤提灯の並ぶ一番奥の、物置か倉庫かという場所でした。暗くカビ臭いコンクリート壁に受付カウンター一つ。場所柄か営業は午後から。興味はあったけど、あの閉塞空間ではパス。
 運動後の一杯にはいいでしょうが、山ガールを呼ぶにはもっと環境整備が必要ですね。

投稿: かもめ | 2012.10.15 10:06

re: pfaelzerwein様

私もトップスポーツウーマンの身体は、遠方からの目視検査程度しか経験がありませんで・・・

<<脂肪量の問題ですかね。
御指摘のように女性にとってはシェイプアップ効果があるよな、とも思うのですが、世界のトップレベルですと普段からの節制・ウエイトコントロールで脂肪が落ちるという意味合いかなと思いました。

それ以前に、インタビューする記者の「クライミングすれば女性としての魅力が・・・」という質問それ自体に「ああ、韓国でさえ、クライミングに対する認識はこの程度なのかな」と思わされました。

 私自身はクライミングよりはマラソン大会の方で脂肪量は少なくともキュートな女性を数多く目撃しているのですが、この話題、突き詰めると国と文化による女性の美の価値観まで遡るのかもしれません。

投稿: 聖母峰 | 2012.10.15 23:08

re:かもめ様

<<興味はあったけど、あの閉塞空間ではパス。
ああ~、残念ながら、かもめ様の気を引くような施設ではなかったようで、残念でした。

私も全国各地そなに廻ったわけではありませんが、人工壁を設けるという性質上、ジムを開業する所は倉庫とかが多いような気がしますね。まあたしかに地方都市あたりでは「女性一人が訪れるには・・・」というところも思い当たるところは数々ありますが。

 筑波市の「PUMPつくばスポーレ」は総合レジャー施設の入り口にあり、その明るさといい雰囲気といい、「あー別世界だー」と思ったのを覚えてます。

 どうぞ、かもめ様にもクライミングジムと良い出会いがありますように。

投稿: 聖母峰 | 2012.10.15 23:15

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