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暗黒の3日間

10月連休。
諸事情により鬱々。

連休三日目。
月山その他有名山域のガイド依頼がいくつかあったものの、昨年に引き続き御依頼のあった秋田県・虎毛山のガイドを引き受けていた。

 昨年と同じ感覚でバスの運転手さんに林道に入ってもらうようお願いしたところ、今回のバスは一回り大きい中型バスで林道の道幅ギリギリ。
 沢筋の路面が凹んだところでバスがかなり傾き、お客様にもかなり怖い思いをさせてしまった。
 もう出だしからマイナスイメージである。

 心が折れそうになりながらも、虎毛山を登高。
 山頂では旅行社からお預かりした熊避けスプレーを落っことしてしまい、一人取りに戻る。

 今回の添乗は、8000m峰はじめ高所登山の経験もある強力なAさん。
 私が熊避けスプレーを回収に行っている間、添乗のAさんに引率をお願いし、私は走って隊列に追いつき、リード交代。
 前々からお名前を伺っていたのに、初めての出会いでこの始末。
 もう自分の心は日本の株価グラフなみに折れ曲がる。ベクトルは下方にな。

 もっともこちらは依頼を受けてガイドを請け負っている立場。
 心が折れようがちぎれようが、クライアントをリードすることに変わりはない。
 
 秋の夕暮れ、もう薄暗くなる頃、安全地帯まで戻ったバスまで帰還。
 帰路途中の温泉施設で添乗Aさんと事務手続き。
 出だしからミスを連発したにもかかわらず、見送ってくれたAさんの笑顔に申し訳なく思う。

 秋田県の雄勝町経由で山形に戻る。
 今日は昼間も、日没後も、快晴。
 薄暗い空に星が出ている。
 車のラジオからは、


『雨にぬれても』が流れている。

Raindrops are falling on my head
and just like the guy whose feet are too big for his bed,
nothing seems to fit
those raindrops are falling on my head, they keep falling

 この快晴の空の下に流れる『雨にぬれても』というちぐはぐさ、雨が頭に降ってくる→鬱々という、何か今の自分を象徴しているようで聞き入ってしまう。

 そう、今の自分はガイドに向かないんじゃないか。
 以前から幾度考えただろうか。

 連休最後の夜。
 車の多い国道13号で、事故を起こさぬ程度に考え考え運転する。
 ある山岳ジャーナリストと、某有名クライマーの「孤独」についてメールでやりとりした事がある。
 頂戴した返事を読みながら、フリーの文筆業と同時にガイド業もこなすその人の「強さ」にはかなわない、と思う。私にはそんな強さは、無い。
 
 連休最後の夜。
 鉛の塊が身体に入っているのではないかと思う気分でコンビニ休憩。
 スマホを見ると、留守電の表示。
 メディア関連の仕事をされている先輩から。
 あらためて連絡をとると、山形の山岳地域の紅葉情報を知りたく私に連絡を入れてくれたという。幸いなことに私が入山している間、他の方を経由して紅葉情報が得られたとのこと。
 ついでに久しぶりに山に登ったよ、という話を先輩から聞く。
 通話を終え、スマホを車の助手席に置く。
 山岳部の先輩と話をして、ふっと身体が軽くなる。

 人とのやりとりは苦手だが、添乗のAさんとの出会いや先輩との電話、人とのやりとりの中でまた気力を得る。
 
 連休最後の夜。
 車のライトが点々と続く、渋滞気味の国道13号を走り続ける。

Imgp0452m
山頂に夏の忘れ物。チングルマが咲く虎毛山の秋。

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