『放射線と登山道』
野口邦和 監修、日本勤労者山岳連盟 編集、桐書房刊『放射線と登山道』を読む。
東日本大震災による原発事故を受け、労山所属の各山岳会が地道に各地で測定・とりまとめた放射線の値を中心とした書籍。
目次
1.放射能汚染源となった福島原発事故
2.山岳地域の放射線量と安全性
3.山と海、あれこれ心配 Q&A
4.放射能をつかむための基礎知識
5.放射線が人体に及ぼす影響
6.内部被ばくと食べ物の安全性
これらの項目からわかるように、測定された放射線量の値の公表だけでなく、原発事故発生状況の解説から放射線・放射能に関する基礎知識の概説、講演会での質疑応答の記録から成る、一般の人々の疑問に対する答え等々、「登山道の放射線量」にとどまらず、原発事故に伴う放射線への疑問に答えようとする好書。
収録されている、放射線量が測定された山域は岩手、宮城、栃木、茨城、群馬、埼玉、東京、山梨、神奈川、静岡の各県にわたっている。
正直なところ、福島県の山々を訪れるうえで、放射線量が気になる方は多いでしょう。
この本の内容は各地域の安全や無害性を保証するというものではなく、「判断材料」として山々の放射線量が気になる方におすすめいたします。
すくなくとも、福島では疎開が必要だ、人体実験だと無責任にツイッターでわめいている某クライミングライターの垂れ流す断片的な情報よりも、得られるものは多いはずです。
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