子供達と化石を掘る。「地球の歴史探検隊」
山形県朝日少年自然の家の企画事業『地球の歴史探検隊!』にボラスタッフとして参加。
約700万~800万年前の太古、ここ月山周辺は浅い海だった。
1978年、渇水期の最上川河床で地元の小学生が偶然発見したのが、ヤマガタダイカイギュウ。18世紀に乱獲で絶滅したステラダイカイギュウの祖先といわれる。
その発掘現場を見学した後、朝日町某所にて化石掘りをする、という企画。
この化石掘りの場所、某企業のご理解を得て私有地を開放してもらっているため、普段は立ち入ることができない。また化石掘りというテーマは絶大な人気があり、プログラム発表からすぐに定員一杯になる人気行事。
参加者のほとんどが親子連れで、サポーター(ボランティアスタッフ)としては幾分気が楽なのだが、山の中に入ること、ハンマーとタガネを年少者が使うため、油断はできないところ。
集合・出発場所の大江町公民館で、ヤマガタダイカイギュウの模型を前にレクチャーを受ける。
今回は山形県立博物館から羽根田先生、伊藤先生を講師に迎えて説明を聞く。
バスで大江町「用」地区に移動、ダイカイギュウの発掘現場を訪ねる。
そして皆お楽しみの化石発掘現場へ移動。
地道にハンマーで土壁(シルト層)をコリコリやっていると、でてきました二枚貝。
慎重に周囲の土を払い、取り出します。羽根田先生から鑑定受けた結果、「シラトリガイ」とのこと。
約700万年前の貝ですね。今の学説では、アフリカあたりで類人猿が歩き回っていた頃です。
先生のまわりは鑑定待ちの子供でいっぱい。
子供達のドキドキワクワク感と好奇心が見ている方まで伝わってきます。
この場所では大物としてはウニの化石、昨年は魚類の骨がでてきたのですが、今年は「シモトメチシマガイ」を発掘した子供が3人。この葛沢シルト層では希少種だそうな。
現場近くには見事なナメコの群生。
なにぶん企業の私有地のため、みんなで眺めるだけです。
朝まで激しい雨、フリースを着込む低温でしたが、化石掘りに入る頃から天候が良くなる。
子供達の集中力が途切れる前に化石掘りは終了。
青空の下、草原でランチタイム。親子連れの皆様には良い昼食タイムでした。
プログラムを終え、大江町公民館で解散、自然の家に戻りスタッフ反省会。
ここで論議になったのが、参加者から「もっと化石掘りをしたいんですが、他に化石が採れる場所ありますか?」と質問が出たということ。
実は山形盆地周辺、化石が採れるところはあるが、たいてい私有地。道路際の法面もあるが、土砂をちらかしたり防災上の問題もあるため、むやみやたらに掘ることはできない。
また化石を含む地層が硬質だったり、含まれる化石数が少なかったりする。(自然の家が毎年利用している場所では、参加者全員が化石を掘り出している。)
シルト層で子供でも容易に掘りやすく、また参加者全員が掘り出せるほど豊富に化石を含む地層は貴重だよね、という話になる。
当ブログを始めた頃に時折書いているが、今の日本の環境教育、どちらかというと観察対象は樹や植物に偏っている。最近になって「ジオパーク」が知られ始めているが、地学に関連した事柄はまだまだスポットライトを浴びることは少ない。
化石採集は子供達の興味を非常に引きつけるプログラムなのだが、残念ながらそれに適した場所が少ないということを痛感させられる議論でした。
朝日少年自然の家を囲む木々は見事なまでの紅葉。(私のデジカメではその美しさが表現できていません。実物はもっと綺麗な赤と黄)
里にも紅葉が降りてきて、冬はもうじきのようです。
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