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Marek Klonowski、冬のナンガパルバット、シェルルートを語る

 先日、当ブログで記事にしましたが、今冬のナンガパルバット峰を目指した幾つかの登山隊のうち、シェル・ルートから冬季初登を狙った小規模なポーランド人ペアに注目しておりました。
 残念ながら遠征そのものは2月7日に7400m地点が最高到達点という結果でしたが、シェル・ルートからマゼノリッジの山稜に到達、冬季カラコルム遠征としては大胆な試みでした。

 ポーランド大統領やナショジオにスポンサードされたブロードピーク峰のポーランド隊とは対照的に、情報発信も個人のブログのみという質素なチームです。インタビューにもあるように、上部ではテントよりも雪洞を多用し、装備もシンプルな登山を展開しました。

、遠征出発から動向をとりあげていたポーランドのクライミングサイト『wspinanie.pl』が、帰国したメンバーの一人Marek Klonowski(マレク・クロノフスキー)にインタビューを試みました。
インタビュアーは、ポーランドでヒマラヤ関連の書籍を幾つも出版している登山家Janusz Kurczab(ヤヌシュ・クルチャク)です。

Droga Schella jest najlepsza... - o wyprawie na Nanga Parbat rozmawiamy z Markiem Klonowskim by wspinanie.pl 2013.2.20

以下記事引用開始
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シェル・ルートがベストだ・・・マレク・クロノフスキー、ナンガ·パルバット遠征を語る

ヤヌシュ・クルチャク

 マレク・クロノフスキーとトマシュ・マツキェビッチュは「Justice for all」というチームで冬のナンガパルバットに遠征しました。その進捗はwspinanie.plで報道してきましたが、結局、遠征はトマシュが2月7日、7400mに到達したところで終了。
 彼らは小さなチームで驚くべき成果を挙げています。マレク・クロノフスキーに話を伺いました。

P1
マレク・クロノスキー(右)とトマシュ・マツキェビッチュ(中) Astoreに向かう車中にて 2月11日(マレク・クロフノスキー撮影)

ヤヌシュ:まず自己紹介をお願いします。年齢、職業、仕事、お住まい、家族、クライミングの経歴など。

マレク:33歳で、電気技師として再生可能エネルギー(www.mikrogeneracja.com)に関する仕事をし、家族は5歳になる息子と妻がアイルランドに住んでいます。我々はクライマーですが、「登山家」と意識したことはありません。単純に「登りたい」だけで、旅や「挑戦」といったことにウェイトは置いていないんです。トマシュは私より優れたクライマーで、私は荷物みたいなもんです。

P2
マレク・クロフノスキー、家族と共に(撮影マレク・クロノフスキー)

ヤヌシュ:ナンガパルバット遠征に関しては、隊員構成について情報が混乱していました。パキスタン発の情報を引用して外国のクライミングポータルサイトでは、トマシュとマレク以外に他の名前も見受けられました。実際はどうだったんでしょう?私はあなた方が二人で登山を進めたことはわかっています。たとえば、ベース滞在だけのメンバーなどがいたのでしょうか?

マレク:メディアを通じてちよっとした混乱が生じてしまいました。許可証は参加者7人で650ドルかけて登山許可を取得しました。友人知人が署名しましたが、皆どっかへ行ってしまいました。毎年似たような話はありますよ。今回はツーリストのAdrian Kutarbaが同行し、私たちをサポートしてくれました。ABCまでの機材の荷揚げや、洗濯などですね。感謝しています。

ヤヌシュ:ご存知のように2007年のポーランド隊の遠征は、いわゆる技術的により難しいバリエーションルートを選択しました。ビエリツキのルートです。あなたはその部分は迂回するルートをとりましたが、今回のルートで技術的に困難なところはどのようなところでしたか?

マレク:ルートの選択に関しては、幸いなことにJacek Jawień(訳者注:2007年ポーランド冬季ナンガ隊隊員で冬のシェル・ルートを登った)と話す機会があり、彼の提案で私たちは右側を迂回して登りました。トマシュが最も厳しい100m程の箇所をリードし、私はロープをたどって登りましたので困難はありませんでした。私たちにとって稜線の岩稜200mが最も厳しい箇所でした。常に冷たい強風に吹かれていました。

P3
キャンプ2、5750m地点にて(撮影マレク・クロノフスキー)

ヤヌシュ:雪洞でキャンプを設営したようですが、これは最初から試そうと思っていたのですか?

マレク:ええ、雪洞はテントよりも優れています。嵐の中でも静かで壊れませんしね。雪の状態が適切な場所を見つける必要がありますが、そこは経験です。

P4
6000m地点、キャンプ2-Aの穴を掘っているところ(撮影マレク・クロノフスキー)

ヤヌシュ:これまで、4つのルートから冬のナンガパルバット登頂が試みられています。冬季登頂を目指してシェル・ルートを選択した背景はどのようなものですか?

マレク:私が思うに、シェル・ルートがベストです。日照時間が長く(午前7時から日射しがある)日照に恵まれないディアミール側ほど雪に閉ざされていません。

P5
1月23日、稜線に到達 (撮影マレク・クロノフスキー)

P6
1月26日の夕方、6600mに到達、キャンプ3を設営(撮影マレク・クロノフスキー)

ヤヌシュ:遠征後半では体調を崩したようですが、体調はどうですか?凍傷は大丈夫でしたか?

マレク:私たちは衛星電話と充電器を落としてしまい、その後、私の脚に痛みを感じるようになりました。これ以上(登るのは)無理ではないかと感じました。(訳者注:中略)今現在は良好です。

P7
キャンプ2-Bとなる雪洞の内部 (撮影マレク・クロノフスキー)


P8
トマシュは2月6日に7100メートル、2月7日に7400mにビバークし、キャンプ2Bに下山(撮影マレク・クロノフスキー)

ヤヌシュ:ルパール壁側ではフランス人スノーボーダー、ジョエル・ビシュネブスキーがソロで活動していましたが、ご存じのように、ジョエルは2週間以上消息を絶ち、家族から捜索依頼が出されています。BCが近くにあって、お互いにコンタクトをとったり、何か彼の計画について知っていることはありますか?

マレク:いえ、出会うことは無かったですね。彼のベースは、私たちの所から数時間かかる離れた氷河にありましたから。私たちは下山して地元の人間から彼のことを聞きましたが、残念なことです。

ヤヌシュ:すでに冬のナンガパルバットは三度にわたり冬季登頂が試みられてきました。あなたがこの山に取り憑かれているとして、次の計画はどのようなものでしょうか?

マレク:私は3日前に帰国したばかりで、ホントにお金が無いんでベース用テントを売り払ったんです。資金が問題ですね。次にチャレンジするとして、理想的には、あらかじめ高所順応しておき、ポーター2人を雇えば、2人でもさらに成果を挙げることができると思います。

ヤヌシュ:ありがとうございました。
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以上引用終わり

マレクとトマシュらチームの登山隊動画がこちら↓


 ナンガパルバットといえば「魔の山」「Killer Mountain」という悪名が強調されますが、質素な二人組が爽快に自分たちの登山を展開していく様子が記録されています。
 この約4分間の動画、映像の中でBGMに合わせてマレク・クロノフスキー自身も同じ曲をナンガパルバット山中で熱唱しています。
 動画背景に流れる曲は、ポーランドのラッパーGrubSonが歌う『Na szczycie』(日本語に訳すと「頂上で」)という曲。歌詞も、

ヤヤヤヤヤヤヤ・・・

知っている
魂の奥で感じている
どこかの山の頂で、
俺たちは満たされる
どんな世界であろうと
愛し、
傷つけ合い、
どこかの山の頂で、
俺たちは満たされる

という、いかにもクライマーが好みそうな曲なんですね。
 資金難でベース用テントを売り払ってしまったというマレク・クロノフスキーですが、次の計画が期待されるクライマーです。

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コメント

 記事とは直接関係はないんですけど、最後の写真のサングラスは横がカバーされていて良いですね。夏山の雪渓で目をやられてハーフミラーのを買ったんですけど、横から反射光が入って効果が半減します。
 今冬は格別の大雪、現場作業は大変でしょう。この時期になると“八甲田山遭難事件”を思い出して本をとります。100年前もこのような大寒波だったかなと。粉雪では雪洞は掘れないですよね。

投稿: かもめ | 2013.02.25 10:21

re:かもめ様

<<最後の写真のサングラスは横がカバーされていて良いですね。

 おそらくユルボ社(今はジュルボと言うみたいですが)の登山用サングラスかなと思います。サイドに横からの光を遮る革製カバーが付いてます。今流行のスポーツグラスだと結構かさばるんですが、革製カバーなのでコンパクトになり、重宝してます。

<<今冬は格別の大雪、現場作業は大変でしょう。

 いや~ははは~
 こちら山形市内は山形県内でもあまり雪降らないんですが、今回は地吹雪状態で凄い降りっぷりでした。ブログの画像ネタに映画「八甲田山」使おうと思ったら、かもめ様も同じく「八甲田山」連想されたようで・・・
 雪洞掘るのにいいくらいの雪でしたが、雪かきには最悪でした(泣)

投稿: 聖母峰 | 2013.02.25 20:38

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