【ネパール映画】UMA
2013年3月20日夜、ようやく映画予告編が公開されました。
ネパール映画『UMA』です。
1996年、ネパールで武装蜂起を始めたネパール共産党統一毛沢東主義派、通称マオイスト。
停戦となる2006年まで、10年にわたりネパール国内が内戦状態となりました。
国連の報告では、犠牲者は約17000人に及ぶといわれています。
ドラマの設定は2000年はじめ。
内戦下のネパールにおいて、病気の母を抱えた家族を養うため職務に忠実であろうとする警察官の兄。
社会の改革を唱える教師に感化され、マオイストとして武力闘争に身を投じる妹。
一家がイデオロギーで分裂する悲劇を、映画は描いていきます。
公開された予告編がこちら↓
職務に忠実な警察官の兄ミランは、母と妹の幸せな人生が唯一の願いだった。
政治闘争に身を投じ、兄と対立する身となった妹のユマ。
やがて一家は社会の流れに引き裂かれていきます。
私がこの映画に着目したのは、ネパールでも映画というメディアを通じて、内戦当時の社会状況が顧みることのできる時代になったのか、と思ったからです。
数年前、カトマンズでミスコンが開催された時はマオイストのブス女どもが開催反対をわめいて実力行使してましたからね。
はっきり書きますが、ネパールの内戦当時、日本の名前の通った旅行関係団体の皆様も、客足が減ることを恐れてあまりマオイストの件には触れたがりませんでした。(あれ?ボク何か事実と反すること書いてます?)
ネパールの民衆の多くは、先進国の人々のようにパソコンを手にして当ブログのように駄文を書くような手段を持ち合わせていません。ましてマオイスト闘争に身を投じるような、貧しい寒村の人々ならなおさらでしょう。
映画という形式で、あのネパール内戦下、ある日突然「革命」の名の下に戦乱に巻き込まれた人々の姿を知りたいものです。
クライミングライターと称する輩で盛んにツイッターで「革命」を唱える人間がいますが、本当に革命の意味をご理解いただいているのでしょうか?
社会改革の名の下に、ネパールでは前述のとおり17000人以上の命が奪われました。
その中には、この映画のように家族が敵味方に分かれた例もあったでしょう。(ちなみにこの映画、よくありがちですが実話を元に制作したというふれこみです。)
やはり選挙を軸とする直接・間接民主主義は民主国家として守り抜かねばならない制度であることは、ネパールで流された血を思えば、まともな方にはご理解いただけるはずです。
さて、話題を軽くしましょう。
主役のUMAユマを演じているのは、ネパールの女優RECHA SHARMA。(サイトによってはRICHA、REECHAとも表記)
ずいぶん目鼻立ちがしっかりしてると思いきや、2007年ミス・ネパールでセミファイナル10人に残った美女でした。カトマンズ在住のモデル兼女優ですが、前作の『ハイウェイ』では売春婦兼ダンサーというきわどい役柄をこなしています。
あ~巨乳だし。いやいや、私マラソン大会でみかけるスレンダーでキュートな女性にも目を奪われますよ(免罪符)
またネパールのネットで話題になっているのは、映画『UMA』の主題歌「Siri ma Siri」を歌うロックグループ『Abhaya and The Steam Injuns』。
私も90年代のネパールしか記憶にないんですが、今はこんなパンチの効いたロックグループがネパールにいるんですね。こちらも映画『UMA』の予告編を兼ねています。
歌のようなスラングも多く含むネパール語はさっぱりなのですが、YOUTUBEで英訳してくださった方のコメントでは『すべての道が閉ざされ、夢も奪われ、愛しい人に裏切られた。 革命の嵐が吹き荒れ私たちは苦しんだ。 時の流れが夢と希望を持ち去っていった。』というような歌詞だそうです。
どっか日本の映画祭で上映されることを、強く希望します。
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