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8000m峰に山小屋は必要か。

「人喰い山」「Killer Mountain」として知られるナンガパルバット(8125m)。
ナンガパルバットのディアミール側において、山小屋建設を巡り、ドイツのおばちゃんが建設反対運動を展開中。
小屋建設の主は、あのシモーヌ・モロー。

Mari
Photo by MARIANNE KLIES

‘The killer mountain’: Illegal construction at base camp of world’s ninth highest peak by Tribune(Pakistan)2013.4.10

German climber protests over defacing of base camp by TheNews(Pakistan) 2013.6.8

 パキスタンの魅力にとりつかれ、2005年から毎年パキスタンを訪れているドイツのMarianne Kliesさん(50歳)。
 彼女によれば、ナンガパルバットのBC4200m地点でロッジ(山小屋)の違法建築が行われているという。
 この小屋はイタリアのクライマー、シモーヌ・モローがナンガ峰の冬季遠征に利用するため地元関係者に働きかけて建設に着手したもの。

 Marianneさんはギルギット・バルチスタン議会の有力者に面会や抗議のメールを送り、議会関係者は「ナンガパルバットは世界遺産であるから全て透明性のある手続きで行われている」として環境保護局に報告を求めると回答しましたが・・・
 ここまでが4月に報道された内容。しかし、Marianneさんの努力むなしく、当局は具体的にまだ何も動いてないとのこと。
 今月報道された内容ではMarianneさんによれば、

 ・ロッジは外国人観光客向けに営利目的で利用されている
 ・建築材料として使われた木材、石材は、この地に住みついてるマーモットの巣になっている場所から採取されており、自然保護の観点からも問題である

 という。
 Marianneさんは引き続きギルギット・バルチスタン議会の有力者や観光関係のパキスタン当局者と面会を続けていますが、前述のとおり、パキスタン側はまだ具体的に何も動いていないとのこと。

 Marianneさんいわく、「ネパールやブータンのベースキャンプで小屋は存在しているが、パキスタンに同じ光景は望まない」。

 この件に関しては不思議なことに、環境問題に敏感なはずの欧米では(ネット上の)メディアでは話題にもなっていません。上記にリンクした2件の記事は、いずれもパキスタンのメディアのもの。

 小屋建設に反対するMarianne Kliesさん側の視点の記事しか事態を伺う術がないことを前提に論を進めますが、冬のカラコルム8000m峰を攻略するには隊荷のロジスティクスがカギと言われた事があるだけに、ベースに小屋があれば、そりゃあ未踏の冬季ナンガ峰を狙うクライマーには重宝するはずです。
 そして現実には、世界最高峰がそうですが、BCに小屋やら建物やらある8000m峰は既に既成事実として存在しています。

 私の個人的な意見としては、不必要な小屋はいらない、です。
 「冬の遠征に備えての小屋建設」という報道が事実であれば、それってフィックスロープと何ら変わりない存在ではないでしょうか?
 推測するに、外国人向けのロッジ貸し出し等で地元住民の貴重な現金収入の場になるという意見があるかもしれません。
 しかし環境保護の意識もスキルもまだほど遠い途上国の地で拙速な商業施設の建設は、貴重な自然が失われる事態は目に見えてますね。

 ある国際山岳ガイド氏が「今現在のエベレスト(公募登山の隆盛)を誰が想像できただろう」みたいなことを誇らしげに語っていましたが、私に言わせれば何もカラコルムヒマラヤがネパールやヨーロッパアルプスと同じ道を歩む必要など全くない、と言いたいところです。

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