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報 酬

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 今年も山形県朝日少年自然の家から御依頼を受け、「月山ガイド講師」として「チャレンジキャンプ2013~キラリ!冒険の夏・宝物の夏~」に参加。
 
 参加に先立ち、今年も私と職場宛に少年自然の家所長名で発行された「職員派遣依頼」文書を頂戴する。
 ちょうど大阪出張と月山登山の日が重なっていたのだが、「自然の家から招集かかったのかー」と職場の親方のご理解も得て、ご理解なき方には無理矢理ご理解いただき、今年もどうにか参加日程を確保。

 大阪滞在中、研修担当の伊藤先生より月山の残雪が予想以上に多いことなどで電話相談を受ける。
 7月28日、交代要員と入れ替わりで大阪から山形に戻る。
 空港から自宅に立ち寄り休憩をとった後、すぐに自然の家を訪問。
 派遣依頼文書を発行していただいた御礼と挨拶、チャレキャン準備の進捗をお伺いする。

 どうしても雪渓の状況を把握しておきたいので、7月30日、月山に入山。
 風雨の中、近年になく大規模に残った雪渓を踏査。
 姥ヶ岳、牛首の両コースの雪渓を、一度通過するだけでなく往復・登高・下降してみて、山を知らない子供達にとって高度感はどうか等々、確認する。それから先日の豪雨で頂上直下の月光坂が荒れていないか、確認しながら登頂。
 
 月山登山の前日、7月31日、志津キャンプ場に入る。
 山行の前に子供達の様子を観察しておくのも、安全管理の一つ。
 ちょうど夕方の食事時、抜き足差し足忍び足で自然の家の幕営地に進入したのだが、私の顔を見た子供達から「あー、タッキーだ!」と声がかかる。どうもリピーターの子が幾人かいるらしい。
 小学3~4年の頃から見知った子も5年6年生になり、ずいぶん女の子らしくなっている。
 この日は幕営地に滞在する所長、スタッフの皆さんに挨拶、夜は明日の月山登山にむけてのミーティング。

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 今年もやってきました、志津キャンプ場。

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 女の子たちは皆でギターを弾きながら盛り上がってました。
 キャンプにギター。昭和30~40年代の記録でみたような歴史は繰り返されるのか?

そして翌日。
昨夜から夜中にかけて激しい雨。
今朝になって小降りになる。
自然の家のチャレンジキャンプ、開催期間は梅雨明け時期に重なっているため、私が関わり始めたこの10年くらい、ずっと晴天に恵まれていたのだ。
しかし今年は異例の長雨。
スタッフの先生方も、悪天下のプログラム運営に苦慮されていた。

小雨の中、姥沢リフト駅を出発。
例年ならば姥ヶ岳からの稜線を往路、山頂から牛首さらに谷に降りるコースを復路にするのだが、私が考えたのは例年との逆コース。帰路の疲労した子供達を、長く傾斜のきつい牛首からの雪渓を下ろすことに疑問を感じたのだ。

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 悪天のため、「臨機応変」を要求されるガイド登山となる。
 頂上手前の鍛冶小屋跡で子供達に昼食休憩を取らせる。
 おトイレしたい、という女の子につきそい、皆から離れた場所でツェルトをかぶせて用を済ませる。
 今シーズン購入したダックスのザック、ピラーのサイドジッパーがここで活躍。ザックの内部にパッキングしたツェルト、キジ玉を容易に出し入れすることができた。

 冷たい風雨の中、皆で頂上台地に到着、登頂。
 昔は この登山、仕切らさせていただきます。 などとイキがっていたが、ここ数年の間で少年自然の家の登山に対して考え方を変えてきた。
 やはりスタッフやサポーター(ボランティアスタッフ)あってこそのチャレキャンであり、登るのはあくまでも子供達自身である。自分は子供達の登る力を引き出す黒子なのだ、と思うようになった。

 帰路、最後の雪渓。
 疲労のせいだろう、もう他の子のアドバイスも聞こえないようで、ズック靴をズリズリしながら小4の女の子が雪渓を降りてくる。ピッケルでカッティングしながら、足の置き場を支持しながら、身体を支えてあげてようやく雪渓を下ろす。
 スタッフの相馬さんがその巨体で立ちはだかり、「ここフォローしますんで、大滝さん先を先導してください。」と言ってくれる。やはり皆の協力あってこその夏季キャンプだと知る。

 自然の家の所バスに乗り、服もずぶぬれで疲労した子供達とキャンプ場に戻る。
 風雨の中で月山に登頂。
 山が初めての子供達にとっては、「山嫌い」の原因になってしまったかな・・・バスに乗っている間、想いを巡らす。

 所長の強力な勧めで、雨で水浸しになったキャンプ場ではなく、自然の家にもどりドライな環境で一晩子供達を休ませることになった。
 私はここで解散。
 子供達に挨拶のためバスに乗り込み、「風呂入って着替えして風邪ひくなよ!」と挨拶。
 バスから降りる間際、元気な男の子から大きな声で、

「来年もまた会おうねっ!!」

 その一言が、私にとっては無形の報酬だ。

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