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ロシア流「連続登山」、ウリ・ビアホ東壁新ルート開拓

今夏のカラコルムではトランゴ山群はじめ素晴らしいクライミングが展開されました。
欧米のクライミングサイトでは、ウリ・ビアホにおけるイタリア隊の新ルート開拓がもっぱらとりあげられていましたが、10月に入り、当ブログでも紹介したロシアのデニス・ベレテニン、ユージン・バシュキルツェフの2人組による「連続登山」の模様が公表されました。

 ロシアでは連続登山(連続登攀)を「F1グランプリ」と称しています。その言葉の由来ははっきりしませんが、世界各地を転戦するF1レースと、次々と山を巡ってクライミングを続ける連続登山のイメージを重ね合わせているものと推測されます。
 過去にもパミールやロシア国内のビッグウォールを舞台に「F1グランプリ」と称して、西側のクライミングメディアで紹介されていない素晴らしい登山が展開されてきましたが、ベレテニン、バシュキルツェフのペアはカラコルムでその手腕を発揮しました。

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デニス・ベレテニン

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ユージン・バシュキルツェフ

 その内容は、トランゴ・リ(6545m)を高所順応のために登り、続けてトランゴ・ネームレスタワーのスロベニアルートをウォーミングアップ(!)として登攀、そして最後にウリ・ビアホ東壁に新ルートを開拓して登頂、という凄まじい内容です。

●トランゴ・リ(6545m)
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左がトランゴ・リ(6545m)、右がグレート・トランゴ

2人は7月26日、トランゴ・リに高所順応のため登頂。

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トランゴ・リの雪壁を登るバシュキルツェフ

●トランゴ・ネームレスタワー スロベニアルート
Name
トランゴ・ネームレスタワー(6239m) 赤線は2人が登攀したスロベニアルート

 トランゴ・リを登り終えた二日後、2人はネームレスタワーに取り付き7月30日に登頂、バシュキルツェフの表現では「1日半」で登攀を終え、8月1日10時(モスクワ時間)には衛星電話でロシアの山岳関係者に下山報告を済ませています。

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ネームレスタワー上部岩壁にて

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ネームレスタワー上部岩壁にて
彼らがウォーミングアップと称してネームレスタワーを選んだのは、上部に不安定な雪氷壁もなく、純粋に岩のクライミングに専念できるからとのこと。

Korea
当ブログでも紹介した、エターナル・フレームを登る韓国女性隊。彼女達とは並んで登り進んだようです。

●ウリ・ビアホ(6109m)東壁 新ルート開拓
Uli
ウリ・ビアホ東面の概要
左より、黄色線が88年イタリア隊ルート、青色線が79年アメリカのジョン・ロスケリーらの初登頂ルート、赤色線が今回のベレテニン、バシュキルツェフによる新ルート、緑色線が06年ドド・コポルドらによるディレティシマルート

今回の遠征は、クライミング技術と体力にモノをいわせた遠征にみえますが、バシュキルツェフの手記によれば、「非常にかつ慎重に、準備と山の研究を重ねた」とのこと。装備も徹底的に軽量化を図ったそうです。

Ice
ウリ・ビアホ東壁の最初の関門、取り付きのクーロワール。2人は慎重に落石のタイミングを見極め、早朝に出発しました。

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下部の氷のセクションを登る

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ウリ・ビアホ東壁上部の様子

Rock3
彼らは5日分の食糧を携帯し8月8日に登り始めましたが、上部で悪天に捕まってしまいます。
雪まみれのデニス・ベレテニン

Sum
ウリ・ビアホ頂上直下の様子

Uli2
2人のたどったライン。
上部で悪天となり苦しめられたものの、8月14日、頂上に到達。ルート内容は6C+ A2 26ピッチ。
悪天となってからの登頂~下降は相当危険なものだったらしく、手記の中では「弾丸がたっぷり詰まったリボルバーでのロシアンルーレット」と評しています。

 ロシアは西側諸国にあまり知られていないビッグウォールを幾つも擁しており、今回のような「F1グランプリ」と称する、ヨーロッパアルプスで展開されているクライミングとはまた異質のクライミングが展開されています。
 ロシア流「連続登山」が今後カラコルムやネパールヒマラヤでどのように展開されていくのか、ロシアのクライマーの活躍に注目すべき点だと思います。

関連リンク
Каракорум. Район Транго. 2013. Часть III. Ули Бьяхо. Ледовый кулуар. by MOUNTAIN.RU

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