2013年ピオレドール・ロシア、クリスタルピーク、スチール・エンジェル決定
12月14日、ロシアの3大クライミングアワードである「ピオレドール・ロシア」、「クリスタル・ピーク」、「スチール・エンジェル」が決定しました。
ピオレドール・ロシア
ロシア山岳連盟主催のピオレドール・ロシア2013の受賞者は、ネパール・ヒマラヤのクスム・カングル南西壁を初登したアレクサンダー・ルチキン、ヴャチェスラフ・イワノフに決定しました。
アプローチのキャラバンも、冒険的なジャングルの中のトレックだったとのこと。
クスム・カングル南西壁29ピッチ目の様子
脆い岩のミックス壁に悩まされながらの登攀とのこと。
クリスタル・ピーク
ロシアの山岳雑誌・ポータルサイトが主催するクリスタルピーク。
今年はデニス・ベレテニンらのウリ・ビアホ東壁新ルート「ロシアンルーレット」開拓が選定されました。
トランゴ・リで高所順応、ネームレスタワーでウォーミングアップ、そしてウリ・ビアホ東壁新ルート開拓という連続登攀。このウリ・ビアホ東壁登攀は、ピオレドール・ロシアの一般投票からなる観衆賞も同時受賞しています。
関連記事:ロシア流「連続登山」、ウリ・ビアホ東壁新ルート開拓(当ブログ2013.10.26)
スチール・エンジェル
アックスのピック、ハンマーで形作られた天使のトロフィー、「スチール・エンジェル」賞
スチール・エンジェルはロシア圏の女性クライマーを対象に、女性による登山の発展と振興を目的に設けられた賞です。
今年のスチール・エンジェル賞は、ネパール・ヒマラヤのテンカンポチェ北東壁に「War of Love」ルートを拓いたマリナ・コプティバ(ウクライナ)、ガリーナ・シビトーク、ペトロワ・アナスタシアに贈られました。
入山前、2008年日本隊の情報を十分に得られないまま初登ルートと近接したラインを登った彼女達ですが、52時間にわたり乏しい睡眠と食糧に耐え抜き登頂した登山でした。
左から、マリナ・コプティバ、ガリーナ・シビトーク、ペトロワ・アナスタシア
関連記事:マリナ・コプティバからのメッセージ(当ブログ2013.12.11)
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ロシアでこのようにクライミングアワードが盛んな背景には、旧ソ連時代から登山やアルパインクライミングが「競技」として発展してきたこと、またスポーツマスター制度などのクライマーの階級制(すなわち表彰制度を意味する)が理由として挙げられるでしょう。
私もロシアのクライミングサイトで「クリスタル・ピーク」のWEB投票権を持っているので楽しみにしていたのですが、父の葬儀の喪主務めて気が付いたときには、クライミングサイトに 「投票はおわりました」 の無情の文字・・・
個人的には、30年ぶりに新ルートが開拓されたパミール・サバ峰北壁を推していました。あーあ。
偶然でしょうが、3大アワード全てネパール、カラコルムヒマラヤでの記録となりました。
ロシアの広大な国土には、パミール高原やクリミア半島はじめ、素晴らしい山・素晴らしい岩壁が数多く存在します。来年はそのようなロシアならではの大自然を舞台にした素晴らしい登山・クライミングを期待しています。
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