風の岩手山
最近の降雪から誰も入山していないらしい。
夏道も完全に埋まり、ワカンを付けても膝上・太ももまで埋まる。
時には膝で前の雪を押し固め、そこに足を載せて前進。
そんなラッセルを出発から2時間半、1人で続ける。
ふと人の声が聞こえる。
ふりむくと、そこには屈強な男達の集団。
八幡平山岳救助隊の方々だった。
「トレース使わせていただきました」
というご挨拶を頂戴し、そこから樹林帯上部は救助隊の方々によるラッセルとなる。
強まる風の中、ワシワシと交代制でラッセルする八幡平救助隊の皆様。
樹林帯上部の平地で救助隊の皆様は休憩。
そこから再び私が1人でラッセルしながら露岩帯を目指す。
時計は11時47分。
前回ならもう頂上に到達している時刻だが、まだ露岩帯にも達していない。
高気圧の張り出しを期待してきたが、上は視界不良、強風で耐風姿勢を強いられる。
昨年、一昨年の積雪期登頂と同様に考え、日帰り可能と考えた私が甘すぎた。
樹林帯のラッセル、地図とコンパスで微地形を判断しながらの前進に時間を喰われすぎた。
迷うことなく、答えは一つだ。
私が休憩しながら下山を決めた所で、救助隊の皆様も追いついた。
彼らのリーダーらしい方がアイゼン装着を指示している。
声をかけたがために万一の装着ミスを誘発することを避けるため、彼らがアイゼンを付けている間に私は下降開始。
雪煙が竜巻のように吹き荒れ、下降中も耐風姿勢をとりながら下山。
登高時、あれほどラッセルに苦労した樹林帯をあっさりと下降、車に戻る。
岩手山が好きだ。
多くの名山を通り抜けて、山形から訪れる価値が私にはある。
最寄りの「相の沢温泉」で汗を流す。
登山の労苦よりも、先週で一区切りついた現場作業の疲れを癒し、岩手県立図書館を目指した。
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