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【訃報】ミシェル・ダルベレイ(Michel Darbellay)氏 逝去

 アイガー北壁の単独初登を果たした、スイスのミシェル・ダルベレイ(ミッヘル・ダルベライ Michel Darbellay)氏が6月11日、スイスの自宅で亡くなりました。79歳でした。

L'alpiniste valaisan Michel Darbellay n'est plus by Le nouvelliste 2014.6.13

M1963
アイガー北壁単独登攀を果たした1963年当時のミシェル・ダルベレイ氏

 氏の登攀歴で輝くのは、なんといっても1963年に成されたアイガー北壁の単独初登でしょう。
 この単独登攀は、あのワルテル・ボナッティ氏が三分の二まで登りながら悪天で敗退した翌日、ダルベレイ氏によって達成されました。
 それまでも強力なクライマーが幾人も命を落としたアイガー北壁。
 家族に心配をかけないために、アイガー北壁に出かける際は「アプリコット(あんず)が実ってるか見てくる」と母親に言って家を出た、というエピソードが語られています。

M2013
2013年、79歳のミシェル・ダルベレイ氏

 海外のメディアではアイガー北壁ソロの経歴ばかりがとりあげられますが、氏は単独登攀だけにこだわった訳ではありません。
 1967~68年の冬季シーズン、仲間2名と共にピッツ・バディレ北東壁カシンルート冬季初登をめざし入山。
 ベースキャンプ、中間キャンプ、固定ロープを設けた「包囲法」で、別に入山したイタリア隊と最終的には合同でカシンルートの冬季登攀に成功しています。
 この包囲法(極地法)を用いたクライミングについて氏は、

 『今日の冬季登山の特徴は、考え得る最大の難関を組織の力で追求するところにある。だから、最大の安全を保証する新技術を使用することは絶対に欠かせない。その新技術の1つがヒマラヤ戦術なのだ。』

 と語っています。(「ビッグ・ウォール・クライミング」ダグ・スコット著 岡本信義訳より引用)
 ガチガチのソロクライマーではなく、チームによる組織力も理解し、目的に応じて柔軟に戦術を選択するクライマーであったことがうかがえます。

 現代クライミング史における偉大な先達のご冥福を祈ります。

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