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ピオレドール・アジア2014ノミネート (Piolets d'Or Asia 2014, the nominations for the 9st edition)

韓国の山岳誌『人と山』誌において、ピオレドール・アジア2014にノミネートされた登山隊が発表されました。

9th PIOLETS D''OR ASIA 最終候補チームプレビュー by 月刊『人と山』

以下引用開始
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 純粋に先鋭的なクライミングを展開したクライマーを激励する目的で制定されたピオレドール・アジアが今年で第9回目を迎えた。
 この賞は過去8年間、アジア山岳文化の発展を牽引し、未来志向のクライミングを追求する純粋性を強調してきた。
 この活動を通じて、酸素と人工補助物・固定ロープやシェルパ等の援助を受けて成し遂げられた結果が過程を凌駕することはない事を知らしめ、商業主義に傾倒する登山に対しても警鐘を鳴らした。

 ピオレドール・アジア委員会(会長ホン・ソクハ)は、今年もこの規定を実践した候補チームを、各国の山岳専門誌とアジア山岳連盟加盟国から推薦を受けた後、厳正な審査を経て最終候補チームを選定した。
 夢を実現するため、険しい壁の前に立つことを躊躇しなかった、アジア最高のクライマーに会ってみよう。

 文/イム・ソンムク記者 写真/候補チーム

 P1

P2

ガッシャブルム5峰(7147m) 南東壁 カラコルム山脈

 アン・チヨン(韓国山岳会)隊長が率いた遠征隊がパキスタン・カラコルム山脈に位置する未踏峰ガッシャブルム5峰(7,147m)をアルパインスタイルで初登した。
 アン隊長とイ・ギグン、ソン・ナグジョン、チェ・ヒョンウ隊員ら4人で構成された遠征隊は、当初は北東壁を経てアルパインスタイルで登頂を試みる計画で6月13日出国した。
 しかし7月9日から14日に北東壁ルートを登った第1次アタックにおいて、結氷状態の不良と悪天などの要因で海抜6,400m地点まで登攀した後、退却しなければならなかった。
 遠征隊は苦心の末にBCを南東壁に移した後、7月23日にアン・チヨン隊長ソン・ナグジョン隊員が再度登頂をめざした。翌日やはり速攻でクライミングを継続しようとしたが、稜線上で疲労のため再びビバーク地に戻り二日目の夜を過ごした。
 登攀3日目、7月25日に2人はガッシャーブルム5峰頂上に登り、翌日26日、BCに無事帰還した。
 アルパインスタイルで初登に成功した瞬間だった。

Abiroute
(※画像は中国戸外資料網BBSより引用)

P3

アビ(5694m) 南壁単独登攀 中国・チョンライ山脈

 中国の柳志雄(Liu Zhixiong)がチョンライ山脈・スークーニャン山群にある阿妣(あび)2峰(Mt. Abi 5,694m)南壁単独登攀を試み、14時間で完登した。
 去る9月20日、柳志雄は巨大なピラミッドのような南壁中央の雪壁から取り付き、右上して登り進み、東南稜にたどり着いて頂上まで登った。
 登攀ルートは長さ1,100m、最も難しい核心部が5.9,AI2+級。登攀グレードはさほど高くはないが、不安定な岩質と単独登攀のプレッシャー、そして新ルートであることを勘案すれば容易ならざる登攀だった。
 阿妣2峰は2002年2月に初登されて以来、8度登頂されている山で、南壁右側ラインは未踏で残っていた。
 柳志雄は容易な部分はロープを使わないフリーソロ方式で、難しい部分はロープを使ったソロ方式を適切に取り入れて登り続けた。
 彼は軽量速攻登攀の典型を示し、ほとんどナチュラル・プロテクションを用いてクライミングの痕跡を残さなかった。下降の過程でもスリングを多用して支点を作って下降し、これも足りなくなるとメインロープを切ってスリングの代用として用いた。

P4

P5

ルース氷河4つの新ルート アラスカ・ルース氷河

 日本の男女混成ペアが38日間アラスカ ルース氷河(Ruth Glacier)でバリエーションルートを含む合計4本の新ルートをアルパインスタイルで開拓した。
 谷口ケイと和田淳二のチームは氷河上にBCを設けた後、ダン・ビアード Dan Beard(3,073m)南壁の雪壁と氷壁ラインをつないでバリエーションルートの開拓に成功した。
 彼らがこの山を最初に登ったのは、高難度・困難なクライミングのための足慣らしでもあった。

 2番目の山はポイントKJ(Point KJ・3,444m)イーストスパーである。このスパーはAI4+、M5+級に達する難易度は中級のルートだが、危険度の等級がR(墜落すれば負傷する危険が大きい)を示し、相当なプレッシャーの中で登攀に成功した。
 数日休息を取った彼らは、最初のクライミングで訪れたダン・ビアード東壁を狙った。
 垂直の氷壁と難しいミックス壁の連続だったが、既に多くの高所登山・ビッグウォールの経験をもつ彼らは速攻で1,300mに達する東壁を突破、頂上に立った。 難度はWI4、AI5、M5級。
 .最後の目的地はP3(3,444m)イーストスパーである。アルパインクライミングに最適な状態で取り付いた彼らは1,000mに達するスパーを登り、38日間続いた遠征登攀の有終の美を飾った。

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以上引用おわり

 アン・チヨン隊長率いるガッシャブルムⅤ峰は既に海外のクライミングサイトで紹介され、谷口けい女史のルース氷河の一連の登攀も既に日本のアルパインクライマーにはご承知のとおりですが、中国の柳志雄(Liu Zhixiong)について補足します。

 スークーニャンの阿妣2峰は2004年にフランス隊が初登、以降は中国のアルパインクライマーに各方面から登られ、過去にも当ブログで以下に掲載しています。

四川省チョンライ山脈 阿妣2峰登頂レポ ~中国のアルパインクライミングの今~ by 当ブログ2011.05.05

Li2
 柳志雄(Liu Zhixiong)は1979年中国・湖南省出身、成都科技大を卒業後、四川省体育局でプロスポーツトレーナーとして勤務した後、中国国家体育指導員として2006年から2年間にわたりフランスの山岳ガイドからクライミングの指導を受け、以降は専業のクライミングインストラクターとして活躍。スポーツクライミングでは5.13をこなし、アルパインクライミング、さらにオリエンテーリング等様々な分野で活躍しています。
 ちなみに今回単独で登った阿妣2峰のルートには『Graduation exam』(卒業試験)というルート名を命名しています。今後の中国のクライミングシーンでは注目すべき人物でしょう。

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