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カネと、誇りと。

地名にまつわる、実に対照的な報道が流れてきました。

まず初め。
イギリスのピーク・ディストリクト国立公園が、近年激増する中国人観光客のため、公園名・地名に「新たに」中国語名を付け加える、という報道です。

Peak District will get new name in March – for Chinese visitors by grough 2015.1.7

Peakdistrict
イギリスのピーク・ディストリクト国立公園

 これは英語の地名をそのまま中国語に翻訳してもほとんど無意味であるとの考慮から、あらたに「造った」中国語名を地名に置き換えるとの配慮とのこと。これら中国語の地名は今年3月に発表される予定。

 この背景には、2013年にはイギリス訪れる海外からの観光客の中で、(記事の中では具体的な数値は示されていませんが) 観光業の市場において中国人が最も重要な地位を占める → 最大の顧客となったことにあります。
 イギリスメディアを検索すると、ロンドンの高級商店街いわゆるブランド品の商店では、中国人観光客の『爆買』によって多大な利益をあげていることが報道されています。

 いやあ、これって、世界史に詳しくない方でも、隔世の感がありますね。
 かつて植民地として世界中を荒らし回った大英帝国、苦力(クーリー)として中国人をこきつかい多大な収益を得た大英帝国。
 「チョモランマ」 「サガルマータ」と地元の山名があったにもかかわらず勝手に測量長官の名前を世界最高峰に命名した大英帝国。
 百年以上経った今、膨大な数が押し寄せる中国人観光客のカネを目当てに、自国イギリスの国立公園の地名に中国語名をつけるなど、誰が想像したでしょう。

 ちなみにこの報道は今年の1月7日に報じられ、以来反響を観察していたのですが、イギリスメディアではさほど騒がれることも無く時間が経過しています。

 さてもう一つは、アメリカ最高峰デナリの山名に関するニュース。

Alaska pushes to have Mount McKinley renamed Denali by The telegraph 2015.2.09

Mountmckinley
北米最高峰デナリを擁するデナリ国立公園

 いまだに「マッキンリー」という地名を使っている方もいらっしゃいますが、近年はアルパインクライマーはじめ先住民の呼び名である「デナリ」が定着しつつあります。

 マッキンリーとは、オハイオ州出身の第25代大統領ウィリアム・マッキンリーの名前から命名したもの。
 アメリカの政府機関「アメリカ地名委員会」がマッキンリーの名称を使いつつけているため、法的には両方が混用されている現状があります。
 
 この現状を変え、先住民の地名「デナリ」に変えるべく、アラスカ州選出の共和党上院議員リサ・マーコウスキー、ダン・サリバン上院議員が山名を変更する法案を立ち上げ、議会に働きかけているという報道です。
 以前にも法案をたちあげたものの実現ならず、昨年の上院での共和党勝利の勢いに乗じて、ふたたび法案可決を目指して活動している模様です。

 しかしながら、マッキンリーの出身地オハイオ州の議員からは山の名称変更を停止する法案が議会に既に提出されているとのことで、アラスカ州議員達の法案実現はまだまた困難な模様。

 観光客の利便性を図るという名目の下、自国の地名に新たに外国語の地名を付け加える国もあれば、一方では先住民の地名を取り戻すべく働きかける人々がいる。
 という、なんとも対照的な話題でした。

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