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【映画】 ルイス・トレンカーの伝記映画公開

 山岳映画マニアな方なら名前はご存じであろう、第二次世界大戦前の山岳映画製作で活躍したオーストリアのルイス・トレンカーの自伝的映画 『Luis Trenker』 がドイツにて8月末から公開の模様。

Premiere von Luis Trenker-Film by Tirol.orf.at 2015.8.23

Trenker_movie
劇中のルイス・トレンカー(Tobias Moretti)、レニ・リーフェンシュタール(Brigitte Hobmeier)

トレイラーはこちら↓

 ルイス・トレンカー出演作として「象徴的」なのは、『聖山』でしょうかね。
 この映画の監督は、蔵王の樹氷を世界に知らしめたことで山形県人にはその名が知られているアーノルド・ファンク、出演がレニ・リーフェンシュタール、そしてルイス・トレンカー。
 彼は後に映画製作で活躍することになります。
 そして、レニ・リーフェンシュタールをめぐってアーノルド・ファンクと三角関係に陥ることになります。

Luis_trenker
ドロミテ山群でのルイス・トレンカー( Luis Trenker 1892~1990)

 トレイラーでもちらとナチス旗がみえますが、「日和見的ファシスト」と呼ばれることになるナチスとの関係が描かれていくのは必至でしょうな。
 後年、ヒトラーの愛人エバ・ブラウンの日記を偽造(もしくは改竄)したスキャンダルで晩節を汚したルイス・トレンカーですが、こうして映画化されるところに、ヨーロッパの映画関係者の層の厚さが伺えます。

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海外クライマー短報

盆明けは色々ござんして、海外登山ネタを期待された方すんません。

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松尾芭蕉の俳句並みに短く、海外のクライマーの動向をば。

その1 嗚呼、ラトック北壁
 今夏、私がもっとも注目していたのが、フーバー兄弟、そして先年にプレゼリと組んだハグシュ北壁でピオレドール受賞したルーク・リンデックら4名のスロベニア隊が挑んだラトック北壁。
 この強力なクライマー達も、雪崩と悪天にはかなわず退却を余儀なくされました。

その2 アレックス・チコン、ビッグウォールにカムバック
 昨冬の冬季ナンガパルバットで奮闘したスペインのアレックス・チコン、やはりナンガで行動を共にしたダニエル・ナルディにエカイッツ・マイス(Ekaitz Maiz)を加え、8月からインドのテレイ・サガール北壁にカプセルスタイルで挑む模様。

その3 嗚呼、アンデス山脈
 資金不足、ネパールヒマラヤの地震の影響を避けて、ロシアのアレクサンダー・ルチキン(クスム・カングル南西壁初登でピオレドールロシア2013受賞)、ヴャチェスラフ・イワノフのペアがペルー・アンデスに入山し、ワンドイ南峰南壁にトライ中。
 同壁にはイタリアルート、フランスルート、そして1976年に近藤邦彦氏らが拓いた日本ルートの3本が拓かれていますが、ロシア隊がどのようなルートを登攀するのか注目。

その4 嗚呼、アンデス山脈その2
 Jan Straka、Ike Castilloの2名からなるチェコ隊がヒリシャンカ北東壁に挑んだものの、頂上まであと100mを残し断念。下山後には再びトライしたい、と意欲満々。チェコのクライミングサイトでは1973年に南東稜を初登した日本隊にも言及されています。

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死霊のこもる山へ行く 庄内・モリ供養

死者と出会える山。
死霊がこもる山。

それが、山形県鶴岡市に位置する三森山。
古くから「モリ供養」として信仰を集める山である。

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国道7号線からのぞむ清水集落、背後の三森山(121m)

死霊がこもる山として、普段は地元の方も立ち入らない三森山がにぎわうのが8月22、23日に行われる「モリ供養」の期間だ。

 ここ庄内では、死後一定の期間は近隣の里山に死者の霊がとどまり、それから格が上がって月山や鳥海山にこもって山の神になるという民間信仰が存在した。
 この月山や鳥海山に昇る前の死霊がとどまる山は「モリ」と呼ばれ、庄内地方各地に「モリの山信仰」が存在したものの近代に入って急速に廃れた。今では鶴岡市清水地区含む2箇所に風習が残っているのみである。
 
 以前に当ブログでもとりあげたが、昭和初期は「両親が存命中の者は登ってならない」など厳格な禁忌があったらしい。
 あの記事を書いて5年。
 一昨年に父が亡くなり、今年の23日は日曜でなんとか時間がとれた。
 亡父の供養も併せて、「モリ供養」の実際を見てみたい。

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 中清水集落に入ると、三森山の案内図が立っている。この看板のところから農道に入る。

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 農道を進んだところにある学校跡地が駐車場になっている。
 ここから林道を詰め、山道へ。
 標高121mの里山なので、私のペースで10分ほどで稜線へ。

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 稜線にはお堂が幾つも建っている。
 子供達の賑やかな声がする「仲堂」の方向を目指す。

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 「仲堂」の様子。
 左が仲堂、勢至堂とも呼ばれる。中に石仏が祀られ、参拝者の受付になっている。
 中央奥は仲堂を管理する寺院・天翁寺の関係者が仕切る休憩所、右が祭壇。

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 祭壇の様子。
 参拝者の備える供物、生花がいっぱい。祭壇で準備中の若衆に、背負ってきた供物を渡す。

 お堂で受け付け。
 僧侶や寺院関係者らしき方が3名体制で受け付け中。
 若い僧侶から「案内のハガキお持ちですか?」と聞かれる。
 天翁寺の檀家しか受け付けないのでは、と少し心配だったが、「余所から来た者で、初めて伺います。」と素直に答えたところ、受付用紙に住所氏名を記入して下さいと言われる。来年から「モリ供養」の案内ハガキを送っていただけるらしい。

 参拝料は気持ち・・・というわけではなく、「平成27年度協定価格表」なるものが貼ってある。
 内容は、

 仏板1枚 100円
 梵天 1本 300円
 施餓鬼供養料 4000円
 埋骨供養料 3000円
 墓供養料 3500円

 と明記されてある、明朗会計。
 ちなみに私の場合、仏板(供養に供える卒塔婆の形をした板。大きさは割り箸袋大) に大滝家先祖、亡父の戒名、無縁仏それぞれの供養として3枚。梵天1本。施餓鬼供養料。合計4600円也。

 平成27年のモリ供養スケジュールは、8月22、23日いずれも6時、8時、10時、15時の1日4回の供養が行われることになっている。
 今は9時15分。
 お堂の脇の休憩所で休むことにする。

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画像左が休憩所。天翁寺の若奥さんらしい庄内美人が取り仕切る。
小学生の子供達が3~4人集まり、お椀を手に
 「よし、ミョウガ汁に挑戦するぞ!」
 と意気込んでいて賑やかだ。

 この休憩所ではジュース150円、ミョウガ汁100円。缶ビールも置いているようだが、私がきた時には早くも品切れだった。
 子供達が美味しそうに食べているので、私もミョウガ汁を注文。

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 庄内の味、ミョウガ汁。
 具はミョウガと麩だけ、シンプルな醤油汁。
 あまり煮込んでいないミョウガは鮮烈な味。
 単管パイプを組んでブルーシートを張った簡素な休憩所で、ミョウガ汁を味わい、涼しい風を受ける。
 振り向くと、

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 庄内の田んぼ、里山。日本の夏。

 9時40分頃には祭壇の前にブルーシートが敷かれ、檀家の方や参拝者達が座り始める。
 私も一緒に座る。参拝者は、ざっとみわたして30人超。
 背後から「今日は満員御礼だな」と声が漏れ聞こえる。
 10時、施餓鬼供養の開始。
 誰とも無く正座し始めると、「あ、正座は焼香が始まってからでいいですよ。楽にして下さい」と声がかかる。
 読経が始まり、やがて焼香の香炉が廻ってくる。
 ほどなくして、参拝者達が収めた仏板が一枚一枚読まれていく。各々の名前、故人、無縁仏の他に水子霊を供養する方も多いようだ。
 仏板が読まれると、祭壇脇に立っている若衆が
 「花水ささげます!」
 「茶湯水あげます!」
 と大声を出しながら、水を祭壇にかけていく。

 供養は25分ほどで終わり、10分ほど天翁寺のご住職の法話を聞く。
 最近の悲惨・凶悪な殺人事件を受けてか、「輪廻転生」から人はなぜ生きるのか、命は与えられたもの、という趣旨のお話。
 また人口減、檀家や参拝者の高齢化から、この「モリ供養」も行われているお堂は今や二箇所だけ、もう一箇所は一日のみの実施(本来のモリ供養は4日間かけて行われていた)という現実をお聞きする。

 「みなさんは供養のため電話かけたり人に頼むでも無く、実際に苦労してこの山に登ってこられた。それは厚い信仰の心なんです」
 
 標高121mの里山。
 登山をやっている方にとっては、わずか10分程度の登りであり、ハイキング程度にもならないだろう。
 私の周囲に座っている高齢の方々は、杖をついたり、タオルで汗をぬぐいながら登ってきた。
 標高121mの山でも、「苦労して」、「信仰のために」、「供養のために」、汗をかいて登ってくる方がいる。
 山に登るってなんだろう。
 住職の法話を聞きながら、あらためて「人にとって、山に登る意味」を考える。

 施餓鬼供養が終わると、周辺で遊んでいた子供達の楽しみの時間。
 子供達は「ヤッコ」と呼ばれ、参拝者が喜捨、施しをしていくのがならわしなのだ。
 これは「仏の山から現世に戻るには一切の物品を持ち帰ってはならない」という禁忌から、参拝者が喜捨を行うという意味合いがある。
 先ほどの法話の中でも、ご住職は「死者への供養として、ここにいる子供達に施しをしてあげてください。」と話されている。
 
 もっとも、子供達にとっては「モリ供養」はお小遣いが稼げる大事な日だ。

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 施餓鬼供養終了後、並ぶ子供達に喜捨をする参拝者たち

 私も小銭入れを小銭でパンパンに膨らませてきたのだが、あれ?子供達こんなにいたっけ? 
 なんとか最後の子が手にする布袋に小銭をいれたとき、ちょうど私の小銭入れもスッカラカンだった。

 こうして仲堂を離れ、三森山の稜線をつたっていくことにする。

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 仲堂から先には地蔵堂、観音堂、大日堂とお堂が並んでいるのだが、長く使われていない様子。
 先ほどの法話のとおり、人口減少が叫ばれる中、この「モリ供養」もいつまで続くのだろう。

 お堂が使われていないといっても、参拝者達の信仰心に変わりは無い。
 無人のお堂にも賽銭箱には小銭と米(仏供米)が入っており、通り行く人々は手を合わせていく。
 画像右が「梵天」。神社の御幣ですね。梵天は色紙で作ってあります。

 三森山の稜線はゆるやかに低くなり、下清水集落の奥に下山。
 ここから農道をたどり、入山口である中清水集落奥の駐車場へ。

 稲穂が垂れ始めた田んぼ、庄内名物だだちゃ豆の畑を眺めながら、死霊のこもる山から現世へと戻りました。

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けせん団子 植物と薩摩菓子・後編

鹿児島に赴任して、「あくまき」の次に目に付いたのが「けせん団子」。

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鹿児島のスーパーで買い求めた「けせん団子」

 けせん団子とは、けせん、肉桂いわゆるシナモンの葉で上下を挟んだ団子。団子は小豆餡で味付けした堅めの蒸し餅が挟まれている。
 実は私、シナモンはあの仏壇くさい臭いが苦手なのだが、けせん団子はそんなに強烈な香り付けではないので美味しくいただきました。袋の封を切ると、ほんわかと肉桂の香りがします。

 団子を肉桂の葉で上下に挟むスタイル、おお薩摩菓子だなあと感心してましたが、よくよく冷静に考えてみれば、団子や餅を葉で包む・くるむのは、「かしわ餅」とか「桜餅」でおなじみのスタイル。

 実践女子大学の文献によれば、日本国内で確認されている、葉を利用する和菓子は34種類。
 この34種類のうち利用されている葉で圧倒的に多いのがサルトリイバラ。
 関東から以西ではサルトリイバラの葉を「かしわもち」に使うことが多いようですね。
 しかし前述の文献中で実施された、実勢女子大学の女子学生181人を対象に行われたアンケートでは、「和菓子を包む葉」として認識されているのは圧倒的に「カシワ」、「サクラ」、「ササ」。サルトリイバラは0人。
 嗚呼、不遇なサルトリイバラ。

 肉桂の葉を用いるのは、この「けせん団子」のみのようです。
 (他にご存じの方おられましたらご教示下さい)
 肉桂の葉に殺菌効果がある、というのが用いられた由来の通説のようです。
 なお鹿児島でもサルトリイバラの葉で上下を包む団子があり、それは「かからん団子」と呼ばれています。

 アジア各国において、現代でも「食」の機会に植物の葉を「食器」や「鍋」として用いる地域はありますが、菓子の世界にこれだけ植物の葉が浸透しているのは日本くらいじゃないだろか。
 鹿児島のスーパーの和菓子コーナーを眺めながら、そんな事を考えていました。

参考文献:
 南日本新聞社編 『かごしま味紀行 家伝直伝』 南日本新聞社2004
 舘野美鈴・大久保洋子 共著論文 『葉利用菓子の食文化研究』 実践女子大学 生活科学部紀要第49号 2012

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あくまき 植物と薩摩菓子・前編

ちょいとさかのぼって鹿児島ネタ。

鹿児島に赴任して、独特に感じた食べ物が「あくまき」。
漢字では「灰汁粽」と書きます。

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「あくまき」。鹿児島ではスーパーの和菓子コーナーでたいてい売っています。

これは木灰の灰汁(あく)に一昼夜漬けていた餅米を竹皮で包み、長時間煮たもの。
灰汁のアルカリ性により保存性をもたせた食品で、戦国時代に薩摩武士の兵糧として用いられたといわれている。
・・・・とは、事前に仕入れた和菓子関連書籍の情報だったのだが、いざ鹿児島に来てみれば、地元に根ざした郷土料理の一つになっている。

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中を開けるとこんな感じ。

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飴色の餅米の塊です。私は知らずに登山用ナイフで切り分けましたが、とにかく粘着力が凄いので竹皮の切れ端で切り分けるのが本来のやり方らしい。
味は付いていません。
黒糖やきな粉、醤油・味噌を付けて食べます。

 鹿児島の郷土資料を調べると、たいてい「5月の節句になると、東京大阪の子供達に送るあくまきの小包が郵便局の窓口にあふれる」という意味のことが書いてあります。
 季節の風物詩だったんでしょうね。山形でいえば、郵便局の窓口にサクランボ入りボール箱が多くみられるようなもんでしょうか。

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 現在はスーパーで入手できる「あくまき」 大型スーパーA-Z阿久根店にて

 保存食といいますが、私め、1度スーパーで買って宿のデスクの引き出しにいれてそのまま一週間ほど放置していたら白カビが生え、納豆より凄い糸を引いてました。
 カビが生えても食べられる、とネットによく書かれてますが、体が資本の土木作業員の身ゆえ、さすがにカビが生えたのは申し訳ないですが廃棄させてもらいました。
 前述したように味付けされているわけではありませんので、正直に書きますが特に美味しいとも感じませんでしたが、鹿児島の方々にとっては「郷土の味」なんでしょうね。

 この「あくまき」、製造過程において用いる灰は杉やワラではダメで、特にカシなどの堅い木が良いとされています。
 アルカリの効果を生かすため木灰を用いるのは照葉樹林帯特有の文化、とも評されています。

 私が滞在した街でも、雑貨屋・菓子屋のガラス戸に「灰汁あります」の貼り紙が貼ってありました。
 残念ながら家庭で手作りする場面はみられませんでしたが、最近は薪を使う家も減り、よいカシの灰を入手するのに苦労するとのこと。

 「あくまき」について調べる内に当然「粽」にも関わるわけですが、東北・山形でポピュラーな「粽」=「笹巻き」はこちら鹿児島では「唐人巻」と呼ばれるらしい(同名のねじり菓子とは別)。
 餅米と竹の皮の組み合わせは、中国南方文化の影響が色濃く残っているのでしょう。

 鹿児島に滞在して、植物と菓子の関係を考えさせられます。(後編に続く)

参考文献:
 鈴木晋一監修 『別冊太陽 和菓子風土記』 平凡社2005
 佐々木哲哉他編著 『九州の歳時習俗』 明玄書房1975
 蟹江松雄他編著 『鹿児島の伝統製法食品』 かごしま文庫2001

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パタゴニア社メリノウール、動物愛護団体PETAに噛みつかれる

多くのアウトドア愛好者の方々に支持されているパタゴニア社のメリノウール。

このウール生産元である羊農場で「動物虐待が行われている」として、狂信的な動物愛護団体PETA (動物の倫理的扱いを求める人々の会) がまたまた噛みつきました。

PEATが公表した「パタゴニア社の動物虐待の現場」の動画がこちら
※視る方によっては悲惨な場面がありますので閲覧注意


動画はBBCから引用。
オリジナルは3分とさらに長く、さらに過酷な状況が記録されている模様。

PETAの告発を受け、パタゴニア社は早速声明を発表。

PETA’s Wool Video  by Patagonia 2015.8.12

ビデオで映されている羊の尾を切断する箇所についても、あくまでも羊の管理上必要な処置として、自社の羊毛管理の正当性と努力を述べて反論する一方、暴力的な処置については反論の余地なしとして、実態調査と善処を提示しています。
OUTSIDE誌のサイト記事によれば、メリノウール出荷が遅れてでも事態の把握と調査改善に取り組むとのこと。

この件に関して欧米メディアでは、賛否両論の見地から報じられています。
ゴシップ紙やファッション業界紙では、ステラ・マッカートニー (イギリスのファッションデザイナー、ポール・マッカートニーの次女) という著名人がパタゴニア社メリノウールの使用中止を声明したことがセンセーショナルにとりあげられています。

アウトドア愛好者の皆様には、冷静なOUTSIDE誌ウェブサイトの記事をおすすめします。

What Patagonia Has to Say About That Horrifying PETA Video by Outside 2015.8.14

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この記事の冒頭に「PETAがまたまた噛みつきました。」と書きました。
PETAがパタゴニア社に噛みつくのはこれが初めてではありません。
2012年末、PETAはフォアグラ生産現場で 「虐待」 されているガチョウから採取した羽毛が使用されているとして、パタゴニア社とノースフェイス社を糾弾、これをうけて両社は陳謝、製品のトレーサビリティ確立の声明を出す事態に追い込まれています。

この「羽毛」問題は後々まで影を落とし、最近は羽毛に代わる保温材の開発が進められているのは、アウトドア装備のマニアな方にはよくご存じの事実。。

また冒頭にPETAを「狂信的」と書きましたが、PETAは各方面に過激なまでの動物愛護運動を展開する一方、PETA本部では1600匹近くの犬・猫が殺処分されたとして、その偽善ぶりが明らかになっています。日本においては任天堂のゲーキャラクターや「ポケモン」に対して「動物虐待だ!」と抗議する姿勢から、その狂信ぶりがおわかりかと思います。

 私自身は「家畜は家畜、それ以上でも以下でもない」と割り切っています。
 防災上の観点を持ち合わせずにアメリカのダム問題を映画という形で日本に持ち込む脳天気な姿勢、消費者の国政選挙に口出しする上から目線から、私はパタゴニア社が嫌いなのですが、狂信的な動物愛護団体からウールという素材の生産が妨害されることを懸念しています。

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韓国人クライマーは夏に何を食べているのか

いやいや5月から異常な暑さでしたが、皆様お元気ですか~?

韓国の山岳雑誌『山』8月号において、韓国のトップクライマー6人を対象に、夏を乗り越える「保養食」として何を食べているのかという記事を掲載しています。

登山家たちの夏の保養食、サムゲタンホロロッ?うなぎの蒲焼ホロロッ? 月刊「山」2015年8月号
※「ホロロッ」とは、韓国の女性芸人が流行らせた「勢いよく食べる様子」を表す流行語

以下記事引用開始
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【話題】 登山家たちの夏の保養食、サムゲタンホロロッ?うなぎの蒲焼ホロロッ?"
文・ソン・スウォン記者、写真・朝鮮日報データベース

イ・ミョンヒは山鶏水炊き、パク・フィヨンは漆鶏・・・チャンホ隊長は野菜や果物が保養食

 暑くて高湿な夏は、体力との戦いでもある。人々は夏の酷暑の間、サムゲタンなどを食べ、それぞれ「秘法」で調理された保養食を食べて気力を充実する。昔から先祖たちは熱い食べ物を食べて体を暖め、体温と外気温を合わせようとした。タンパク質と水分が多い食品で、汗で抜けていく栄養素を補充しようとした。それでは、普段の体調管理が重要な登山家たちは、健康に夏を過ごすためにどのような保養食を食べいるのか?

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サムゲタン、硫黄鴨、ポシンタンなどの保養食

 2015年UIAA青松アイスクライミングワールドカップで驚くべき準優勝を果たし、ベテランの力を示した女性クライマー、イ・ミョンヒは夏は「以熱治熱」(イヨルチヨル)と主張する。
 暑い夏には熱い食べ物を食べると元気になる、という考えである。イ・ミョンヒが推薦するスタミナ料理は山鶏の水炊きである。

「幼い頃から鶏料理が好きでした。山鶏の水炊きを食べてから10年ほどになります。北漢山でクライミングして、降りてくる途中で必ず山鶏の水炊きで体力を補います。」

 イ・ミョンヒさんが推薦する山鶏水炊き料理の店は、北漢山スムンビョク登山口にある「ミカジョン(02-388-3661)」である。周辺の山で直接育てた山鶏に高麗人参、栗、ナツメ、銀杏、ハリギリ、キバナオウギ、葛などの漢方薬を入れて釜でじっくり煮て、味も良く栄養価も満点だそうだ。食卓に出てくる野菜とおかずは直接庭で育てた手作りのものだけを使用して、さらに信頼できるものだ。

 「アイスクライミング・クイーン」 ソン・ハンナレは硫黄鴨エキスを服用する。昨年の夏、ソン選手の母校である韓国外大で山岳会創立50周年を迎えヒマラヤに遠征した。その時「インサンガ(仁山家)」というメーカーで遠征隊に硫黄鴨エキスを提供したという。後で遠征から帰った先輩たちから硫黄鴨エキスの効果があったと聞いて、その時から服用を始めたという。

「私の体に鴨がよく合うようです。以前に硫黄鴨エキスを作成するプロセスを聞きましたが、硫黄を食べさせて育てたアヒルを生姜、ニンニク、タンポポなどの生薬と一緒に長い時間煮詰めるそうです。私はクライミング大会の時にドーピングテストを受けなければならず、保養食のようなものを食べることに慎重なんですが、硫黄鴨エキスは特に禁止された成分が含まれておらず、手軽に服用できて、トレーニングや、大会を控えたときには必ず服用します。」

 無酸素で8,000m峰14座を登頂したチャンホ隊長は、「スプーン以外は何でも食べる」主義で、夏だからと特別な保養食を食べることはない。保養食ではないが、健康のために好んで食べるのは果物や野菜だ。

「私のような高所クライマーは、空腹にまず慣れなければなりません。食料が多ければザックが重くなりクライミングのスピードが遅くなります。登山装備は必須で食料は選択であるわけです。単独登山するときは紅茶に塩と砂糖を混ぜた1リットルの魔法瓶一本が二日間摂取する食糧のすべてだったりする場合もあります。そして8,000m峰の頂上に登って下山して、最も食べたいものを思い出してみると新鮮な果物や野菜でした。だから2年前から葉野菜、唐辛子、サツマイモ、トマトなど30種類以上の作物を栽培して食べています。」

 実際に医師は夏の保養食として野菜や果物を推薦する。野菜や果物は、汗で排出された水分はもちろん、不足しがちなビタミンやミネラルを補充してくれる。代表的な夏の果物スイカはビタミンAとCが豊富で、血圧を下げて心臓・血管疾患を予防してくれる。トウモロコシも気力回復に良い。トウモロコシには、タンパク質、脂質、セルロース、糖質、ビタミン、ミネラルなどの様々な成分が含まれており、夏に消費されやすい栄養素を効果的に補充してくれる。

「自然の中で育った食べ物が肉体的なスタミナ料理であれば、死の地帯から生還して箸とスプーンで料理を食べることができることに感謝する。それが精神的な保養食です。」

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▲(左上から時計回りに)イ・ミョンヒ、ソン・ハンナレ、キム・チャンホ、オム・ホンギル、キム・ジャイン、パク・フィヨン

 オム・ホンギル隊長は、夏の保養食としてサムゲタンとウナギを楽しむ。オム隊長は鶏料理を好んで食べ、あるテレビのバラエティ場組では、「ヒマラヤの3,000mのベースキャンプで体力補充のためにダクボクムタン(訳者注:鶏を甘辛く煮る鍋料理)を作って食べる」と語っている。

 サムゲタンは約800kcalの高カロリー高タンパク食である。汗を流して気力がつく、夏には簡単でおいしくエネルギーを補給するのに大変良い。ただし鶏皮は飽和脂肪が多く含まれており、高脂血症などは良くないため取り除いて食べた方がよい。

 「岩壁のクイーン」キム・ジャインは、夏に気力を補充するためポシンタン(訳者注:補身湯、犬肉のスープ)を飲む。

「夏からW杯のシーズンが始まりますが、その前から体重管理に非常に気を使うんです。体重を管理しながらトレーニングはさらに強化しなければならず、体力的に非常に大変です。そんな時に保養食としてポシンタンを飲むと力が出るようです。普段はほとんど口にしませんが、大会前には時々食べます。」

「特別な」保養食のおかげか、キム・ジャイン選手は7月19日にフランスのブリアンソンで開かれたIFSCリードW杯第2戦でシーズン初優勝を飾った。昨シーズンが終わった後、膝の靭帯手術を受けたキム選手だから、さらに嬉しいニュースだ。

 キム選手は、漢城大入口にある「定住家(02-764-6996)」という食堂をよく訪れる。ここは40年の伝統を受け継ぎ、北朝鮮・平安北道地方の伝統的な方法で調理するのが特徴の店である。サムゲタンやダクボクムタンなどのメニューもあり、夏には一度訪れる価値があるほどの美味しい店だ。

思い出が込もるパク・フィヨンの「父親の漆鶏」

「アイスクライミングW杯チャンピオン」パク・フィヨン選手のスタミナ料理も鶏料理だ。パク選手は鶏の中でも「漆鶏」(訳者注:オッタック、鶏を漆の皮と共に煮込んだ料理)を好む。田舎で育ったこともあり、幼い頃から家で直接育てた鶏と近くの山から取った漆で鶏の漆煮込みを作り、夏を過ごしたという。

「漆にアレルギーがある人は注意する必要があります。幸いなことに私はそのようなことなく、体にもよく合うと思います。私は肉よりも、じっくり煮込んだ汁の方が好きで、粗塩で味つけして飲んでいました。次に肉と餅米を入れてお粥のようにして食べます。漆鶏を食べた後は体が温まり、血液の循環が良くなる感じです。個人的には、ウナギやポシンタンより良いと思います。」

 パク選手は大会や海外遠征があるときは、常に故郷の家に戻り漆鶏を食べた。食堂で調理したものではなく、父親が直接育てた鶏と採取した漆で作られた料理なので一層力が沸いた。昨年に父親が亡くなったため、もう父親手作りの漆鶏は食べることができなくなったが、最近も、夏には常連の食堂を訪れて漆鶏を食べて体力を補充するという。

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以上引用おわり

 この記事から、韓国人クライマーは韓国の伝統料理を重視していることがよくわかります。
 もちろん、アスリートの領域に位置するソン・ハンナレやキム・ジャイン、パク・フィヨンなどは各種サプリメントを活用していると思われますが、彼らでもここぞというときに出てくるのは伝統食のようですね。

46 この記事を読んであらためて思い返したのは、私の学生時代の愛読書である、極真空手創始者・大山倍達総裁の著書『強くなれ!わが肉体改造論』。
 東京大学山岳部の故・新井氏はご自身の身体で様々なサプリメントの実験をされていましたが、偏差値50の立正大学山岳部の私は大山総裁の本読んで様々な人体実験やってました。身体が柔らかくなると信じて米酢飲んだりとか・・・酢酸きつすぎて胃を痛めました(笑)
 この本は後日コミック版も出ましたが、著書の中で大山総裁は日本と韓国のアスリートの違いとして、「ジャンクフードを好む日本の若者に比べ、韓国の若者の食事にはスポーツに必要な栄養を備えた韓国の伝統食の影響が色濃く残っており、それがアスリートとしての能力差につながっているのではないか」という自説を紹介しています。
 大山総裁の著書の初版が85年、それから30年経過してますが、今回の月刊『山』の記事を拝読するに、韓国の伝統食の影響いまだ健在也というところです。

 ちなみに私は、あるときは現場作業員、あるときは山岳ガイドという肉体を酷使する環境にいます。
 私の場合、特に保養食というほどではありませんが、ハードな現場作業が続くときは『酢の物』ですね。何も特別なものではなく、よくスーパーで売っている小さいカップ3個セットの「もずく酢」を好んで食べます。酢ドリンクも好んで飲みます。
 前述の大山総裁の著書の影響で、出張生活でスーパーの総菜を選ぶときもオクラやトロロ芋などネバネバ系の野菜を好んで食べます。
 すんごい疲労した日が続くときは、カミさんが「ニンニクの素揚げ」を作ってくれるので、これも私の保養食かな。

 韓国の登山学校で過ごした実体験から、彼らは本当によく食べます。
 サプリメントを上手く利用することも大切ですけど、やはり基本は「よく食べ、よく休む」だと私は思っています。
 
 盆を迎え盛夏の中、皆さんもどうぞ体調にはご注意を、そして登山では楽しい時間をお過ごし下さい。

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夏日記 2015年8月上旬

8月×日
 月山のツアーガイドに出動。
 自分の不注意、気の緩みから、女性のペアお二方より
 「最低です」
 「怪我したらどうするんですか」
 「リフトの時間の方が大切なんですね」
 と厳しい言葉を頂戴する。

 リフト運行時間からみて、かなりタイトな行程であるのは事実だが、お客様をそこまで追い込んだのも事実。

 ガイドも客商売、お客様の評価が全て。
 熱中症対策のため、冷やしたOS-1を背負い脱水症気味のお客様に振る舞ったりした努力も全てパア。

 ガイドでなくても山に尽くす方法はいくらでもある、という声が私の内側に聞こえる一方で、ガイドで実現したいこともある。
 心療内科からもらう薬が少し増えた夜。

8月×日
 夏祭り。
 
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町内会の手違いで、「各家庭一枚、夏祭り用ポスター書いてね」という通知が一週間遅れて我が家へ届く。
何もしない息子に代わり、娘が男気もとい女気を発揮、締切に追われた漫画家並みのパワーで一夜で描いたポスター。
 夏休みも、もう後半。

8月×日
 お盆を前にしながら、現場作業も忙しくなってきた。
 社内失業を満喫しようと企んでいたが、施設整備作業にかり出される。
 屋外で、十数分毎に水分補給しながらのハードな現場。
 
 帰路は親方に4tトラックを運転してもらう。
 その途上、
 「ここ、じゅんさい沼だぞ」

Jun
 平らな船に乗り、ちょうど収穫の時期のじゅんさい沼。
 「じゅんさい」か。
 高級和食のお膳でしか喰ったこと無いなあ・・・
 トラックの車窓から、成長した水田が風を受けてビロードの如く色彩が変化する様子を眺める。
 明日も、そして来週も、現場作業員は夏空の下、お仕事です。

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Big Two - Hearted River

 8月1日、山形県朝日少年自然の家『チャレンジキャンプ2015』 最上川イカダ下りのサポート。
 昨年に引き続き、イカダに乗るよりも陸上での支援班に志願。

 今年の人事異動で自然の家職員になったJさん、私の高校時代の同級生。世間は狭い。
 気を利かしてくれたのか偶然か、Jさんと共に軽トラで子供達のイカダを先回りし、支援する役回り。

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 今年も大江町カヌー愛好会の皆様にお世話になる。出発前のセレモニー、そして子供達が乗るイカダ。

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 私のしょぼいデジカメではわかりにくいが、最上川の水中には1m大に密集した小魚の大群。
 川辺には、黒い羽根の大型イトトンボが悠々と飛んでいる。
 静かな川にも、やがて子供達の歓声が響く。

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 ゆるやかな最上川に乗ってイカダが行く。

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 今年の橋上からの差し入れの中身はクーリッシュ(アイスクリーム)。子供達も必死に漕ぐ。

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 私たち陸上サポート班の仕事は、浅瀬でイカダを運んであげたり、急流で子供達が流された場合に備えてのスタンバイ。
 身体を持って行かれそうな流れに立ち、子供達に声をかけながらイカダを流れに押しやる。
 ポイント通過後は、皆で昼食場所に急行、子供達に先回りして食事用のタープを張ったり様々。
 水分を補給しても顔面や腕から汗がしずくになって流れる暑さ。

 子供達が食事を始めた頃合いをみて、私たちも弁当タイム。
 同じサポーターの斎藤正史さんに、アメリカ滞在ビザや日米の林野庁の件で色々話を伺いながら弁当を食う。

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 午後の急流ポイントでのサポートを終え、流れもゆるやかなところで職員の皆さんと共に「憩い」の時間。
 静かな最上川の流れに、ほんのわずかな安らぎの時。
 子供達が通過した後は、ゴール地点に先回りしてイカダの収容、イカダの解体、そして自然の家へ資材の運搬。
 自然の家ではライフジャケットやヘルメット、イカダ資材の洗浄・片付け作業。

 そして夕暮れ。
 サポートのため、ライフジャケット着用して最上川を泳いだ私。
 サポーターのはじめさんに誘われ自然の家の浴場で入浴してから帰ることにする。
 はじめさんとの共通認識は、

 「最上川の水、やっぱり臭いますよね」 (笑)

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 今年は所用によりフェアウェルパーティも別れの集いも出席できませんが、にぎやかな子供達の声を聞きながら自然の家を退出。 
 今年も熱い夏が過ぎていく。

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