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けせん団子 植物と薩摩菓子・後編

鹿児島に赴任して、「あくまき」の次に目に付いたのが「けせん団子」。

Nikke
鹿児島のスーパーで買い求めた「けせん団子」

 けせん団子とは、けせん、肉桂いわゆるシナモンの葉で上下を挟んだ団子。団子は小豆餡で味付けした堅めの蒸し餅が挟まれている。
 実は私、シナモンはあの仏壇くさい臭いが苦手なのだが、けせん団子はそんなに強烈な香り付けではないので美味しくいただきました。袋の封を切ると、ほんわかと肉桂の香りがします。

 団子を肉桂の葉で上下に挟むスタイル、おお薩摩菓子だなあと感心してましたが、よくよく冷静に考えてみれば、団子や餅を葉で包む・くるむのは、「かしわ餅」とか「桜餅」でおなじみのスタイル。

 実践女子大学の文献によれば、日本国内で確認されている、葉を利用する和菓子は34種類。
 この34種類のうち利用されている葉で圧倒的に多いのがサルトリイバラ。
 関東から以西ではサルトリイバラの葉を「かしわもち」に使うことが多いようですね。
 しかし前述の文献中で実施された、実勢女子大学の女子学生181人を対象に行われたアンケートでは、「和菓子を包む葉」として認識されているのは圧倒的に「カシワ」、「サクラ」、「ササ」。サルトリイバラは0人。
 嗚呼、不遇なサルトリイバラ。

 肉桂の葉を用いるのは、この「けせん団子」のみのようです。
 (他にご存じの方おられましたらご教示下さい)
 肉桂の葉に殺菌効果がある、というのが用いられた由来の通説のようです。
 なお鹿児島でもサルトリイバラの葉で上下を包む団子があり、それは「かからん団子」と呼ばれています。

 アジア各国において、現代でも「食」の機会に植物の葉を「食器」や「鍋」として用いる地域はありますが、菓子の世界にこれだけ植物の葉が浸透しているのは日本くらいじゃないだろか。
 鹿児島のスーパーの和菓子コーナーを眺めながら、そんな事を考えていました。

参考文献:
 南日本新聞社編 『かごしま味紀行 家伝直伝』 南日本新聞社2004
 舘野美鈴・大久保洋子 共著論文 『葉利用菓子の食文化研究』 実践女子大学 生活科学部紀要第49号 2012

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