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あくまき 植物と薩摩菓子・前編

ちょいとさかのぼって鹿児島ネタ。

鹿児島に赴任して、独特に感じた食べ物が「あくまき」。
漢字では「灰汁粽」と書きます。

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「あくまき」。鹿児島ではスーパーの和菓子コーナーでたいてい売っています。

これは木灰の灰汁(あく)に一昼夜漬けていた餅米を竹皮で包み、長時間煮たもの。
灰汁のアルカリ性により保存性をもたせた食品で、戦国時代に薩摩武士の兵糧として用いられたといわれている。
・・・・とは、事前に仕入れた和菓子関連書籍の情報だったのだが、いざ鹿児島に来てみれば、地元に根ざした郷土料理の一つになっている。

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中を開けるとこんな感じ。

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飴色の餅米の塊です。私は知らずに登山用ナイフで切り分けましたが、とにかく粘着力が凄いので竹皮の切れ端で切り分けるのが本来のやり方らしい。
味は付いていません。
黒糖やきな粉、醤油・味噌を付けて食べます。

 鹿児島の郷土資料を調べると、たいてい「5月の節句になると、東京大阪の子供達に送るあくまきの小包が郵便局の窓口にあふれる」という意味のことが書いてあります。
 季節の風物詩だったんでしょうね。山形でいえば、郵便局の窓口にサクランボ入りボール箱が多くみられるようなもんでしょうか。

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 現在はスーパーで入手できる「あくまき」 大型スーパーA-Z阿久根店にて

 保存食といいますが、私め、1度スーパーで買って宿のデスクの引き出しにいれてそのまま一週間ほど放置していたら白カビが生え、納豆より凄い糸を引いてました。
 カビが生えても食べられる、とネットによく書かれてますが、体が資本の土木作業員の身ゆえ、さすがにカビが生えたのは申し訳ないですが廃棄させてもらいました。
 前述したように味付けされているわけではありませんので、正直に書きますが特に美味しいとも感じませんでしたが、鹿児島の方々にとっては「郷土の味」なんでしょうね。

 この「あくまき」、製造過程において用いる灰は杉やワラではダメで、特にカシなどの堅い木が良いとされています。
 アルカリの効果を生かすため木灰を用いるのは照葉樹林帯特有の文化、とも評されています。

 私が滞在した街でも、雑貨屋・菓子屋のガラス戸に「灰汁あります」の貼り紙が貼ってありました。
 残念ながら家庭で手作りする場面はみられませんでしたが、最近は薪を使う家も減り、よいカシの灰を入手するのに苦労するとのこと。

 「あくまき」について調べる内に当然「粽」にも関わるわけですが、東北・山形でポピュラーな「粽」=「笹巻き」はこちら鹿児島では「唐人巻」と呼ばれるらしい(同名のねじり菓子とは別)。
 餅米と竹の皮の組み合わせは、中国南方文化の影響が色濃く残っているのでしょう。

 鹿児島に滞在して、植物と菓子の関係を考えさせられます。(後編に続く)

参考文献:
 鈴木晋一監修 『別冊太陽 和菓子風土記』 平凡社2005
 佐々木哲哉他編著 『九州の歳時習俗』 明玄書房1975
 蟹江松雄他編著 『鹿児島の伝統製法食品』 かごしま文庫2001

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