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デナリ改称で微笑むのは誰か

山屋な皆様には既にご承知な名称ですが、北米大陸最高峰のデナリが正式名称となりました。

北米最高峰マッキンリー、「デナリ」に名称変更 by 読売新聞 2015.8.30

 この報道に関して、日本の大手マスコミはベタ記事扱い、CNN日本語版などは「先住民に敬意」などと報じています。
 ツイッターでも多くの方々が、先住民族の名称が復活した!と手放しで喜んでいる方が多いようです。

 しかし、本当に先住民族への敬意からデナリは改称されたのでしょうか?

 私がこの報道を目にして先ず思ったことは、「マッキンリーからデナリへの改称は法的に困難な状態にあったはず。 何故、オバマ大統領、そして内務省長官のサリー・ジュエルがこの時期に、あえて法的困難を克服して改称に踏み切ったのか?」ということです。

参考記事
 カネと、誇りと。 by 当ブログ2015.02.15 

 前掲記事に書いたように、従来の名称の由来である第25代大統領ウィリアム・マッキンリーの出身地オハイオ州では山の名称変更を不可とする法案が提出済みだったはず。

 今回のオバマ大統領によるデナリ改称を受け、オハイオ州のメディアや議員、次回大統領選の立候補者ドナルド・トランプ氏らは痛烈にデナリ改称を、「マッキンリー大統領の偉業、記念としての名称を消し去る行為」として批判しています。
 政治に詳しい方ならご記憶かと思いますが、オハイオ州は大統領選挙でも「同州で勝利した者が大統領選を制する」とされるほどデリケートな地域。
 オハイオ州有権者の反感を買ってまで、なにゆえオバマ大統領はデナリ改称に踏み切ったのか?

 よく考えれば、今回のデナリ改称は単に「先住民への敬意」だけで実現された事案とは到底思えません。

 そのヒントとなるのが、

Alaska_oil
Photo by Daniella Beccaria, AP通信

U.S. lets Shell drill for oil off Alaska by USATODAY 2015.8.18

 去る8月17日、連邦政府すなわちサリー・ジュエル長官率いる内務省から最終許可が下りた、ロイヤル・ダッチ・シェル社によるアラスカ北西沿岸での石油開発である。
 今年度だけで1200億円が投じられているシェル社の石油開発、内務省による調査では埋蔵量220億バレルといわれる。
 このアラスカ油田開発成功が意味するものは、紛争地帯である中東へのエネルギー資源依存度の低下、中国・ロシアへの対抗策のカードの一つとなりうる開発である。

 ロイヤル・ダッチ・シェル社は2012年に試験掘削において事故を起こし、このことから各環境保護団体が神経を尖らせている理由の一つになっているが、内務省長官サリー・ジュエルは「シェル社は事故から多くの教訓を学んだ」と評して今回のGOサインを出した。
 以前に当ブログでも掲載し、アメリカのメディアでも強調されているが、REIの元CEOにして、かつての石油技術者だったサリー・ジュエルは「一夜にして再生可能エネルギーへの転換など不可能」が持論の現実主義派。

 先住民族の名称「デナリ」改称は、アラスカの住民への懐柔策の一つではないだろうか?

 なお明記しておくが、サリー・ジュエルは長官就任直後から、アラスカだけでなく北米各地に在住するネイティブの生活環境問題にも精力的に関与し、活発に現地を自身で訪れ、住民のための政治を行っている。

 だが今回のアラスカに限ってオバマ大統領自身が声明を出し、動いたのは、何を意味するのか。
 大統領を動かしたのは、国益に値する豊富な埋蔵量を誇る「原油」の存在ではないだろうか

参考サイト
 サリー・ジュエルが政界入りする意味【OUTSIDE誌】 by 当ブログ2013.02.21

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