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山の神を探して。

山の神、と聞いて人は何を想像するだろう。
山の民俗に詳しい方なら、「女性の神」、「醜い神なので、もっと醜いオコゼを御供えする」など知られているだろう。

私の住む山形では、子供達が「山の神」を背負い、集落を廻る行事がある。

その「山の神」に会ってみたい。
私がフィールドとする月山の山麓、特に山深い集落として知られる山形県西川町・大井沢集落では、「山の神おんび」と呼ばれる行事が年二回行われる。
今まで現場仕事の関係で、見学する機会を幾度も逃してきた。
今年こそは、この目で見てみたい。

昨年秋から文献調査を少しずつ重ねていく。
通常の祭りとは異なる集落の行事を、よそ者である私が見学するため、開催日時から確認しなければならない。

西川町役場で得られた情報は、
「今年は集落に就学児童がいないため、行われるかわからない」
というはっきりしないものだった。

西川町役場大井沢支所のご紹介を受け、大井沢集落で「山の神おんび」仕切り役の方の連絡先を探り当てた。

その方に電話をかけ、大変丁寧な対応をいただいたが、頂戴した回答は残念なものだった。
いわく、

 今年は就学児童が集落にいないため、開催するかどうか現時点で不明。
 (山の神おんびは、今年小学生になる児童が山の神を背負う役を担う)

 どのように開催するかまだ未定だが、今年は諸事情で2月16日ではなく、2月20日を予定している。

というものだった。
 
 そもそも「山の神おんび」は伝統的な祭礼日である2月16日に行われることになっている。
 その伝統が崩れたのは、明らかに大井沢小学校の統廃合によるものであろう。
 (今年の2月20日は日曜日、学校の休日である)
 そして、2月20日は私が広島県出張に出発する日である。

 さまざま手を尽くして情報を収集してきたが、私は民俗学の研究者でもなく、一介の現場作業員にすぎない。
 今回は諦めるしかない、と判断する。
 そもそも、「山の神おんび」は地元住民の方々の行事であり、催行されないからといって、よそ者の私がとやかく言える立場ではない。

 2002年11月、民俗学研究者である菊地和博氏が「山の神おんび」を見学した際、当時の大井沢小学校玄関に

 「山の神様 ようこそおこしくださいました。」

と書かれた黒板が立ててあり、職員、子供が一体となって山の神を迎える姿勢に、菊地氏は大変感動したという。

「統廃合」 「合理化」の名の下に、その風景は失われたのだ。

 月山山麓での「山の神」探しは、いったん諦めよう。
 子供達が「山の神」を背負い集落を廻る行事が盛んなのは、実は山形県北部・最上地方である。
 行われるのは2ヶ月先の3月末から4月。
 それまで、私は現場作業員をこなしながら、文献調査に専念することにしよう。

 山形県西川町・大井沢集落の「山の神おんび」を記録したNHKの素晴らしい番組は、ウェブで公開され下記サイトで自由に閲覧できます。この行事をご存じない方は、ぜひ一度ご覧下さい。
 いつか再開されることを祈って。

参考サイト  山の神様おんび NHK for School

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