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月山・姥沢口 残雪状況 【2016年6月30日現在】

2016年6月30日現在の、月山・姥沢口ルートの残雪状況を簡単にまとめました。

「2016年6月30日 月山姥沢ルート残雪位置図.pdf」をダウンロード

なお記載の残雪位置・距離は歩測で計測しているため、あくまでも目安として参考にしてください。
また残雪は天候・日数の経過で大きく変化することをご承知おき下さい。

各地で少雪の影響が言われていますが、姥ヶ岳、牛首周辺には雪渓がしっかり残っています。
一部傾斜がきついところもありますため、雪上歩行に慣れない方、初心者の方はアイゼンを携行してください。

リフト裏の登山道は例年よりも早く雪解けが進み、ほぼ雪渓は消失しています。

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いずれの残雪も、出入り口の雪が薄くなっている箇所があります。
残雪への最初の一歩、残雪から登山道へ出る最後の一歩のときなど、じゅうぶんご注意ください。
木道を覆っている残雪は、氷化していることがあります。転倒にもご注意下さい。

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明日、7月1日が月山の山開きの日。
今年も月山で安全に、楽しい登山、楽しい時間をお過ごし下さい。

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6月30日、雨。

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6月30日、霧雨。
山開きを翌日に控え、ほとんど登山者のいない静かな月山を行く。

残雪の位置・範囲を把握すべく、地形図を拡げてみていると、なにやらちょこまかと動く物体が。

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オコジョでした。

警戒心よりも好奇心が強いらしく、地形図に書き込みするため立ち止まっている私の足もとに、

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ここまで近づいてきてくれました。

あ!
会社でも、所属するガイド協会でも、俺 っ て 存 在 感 が 無 い か ら な!
オコジョも警戒しないわけだよ・・・

雨の月山を登り終え、天童市の建勲(たけいさお)神社へ。
織田信長公を祀った神社です。
今日は6月30日、「夏越祓(なごしのはらえ)」、茅の輪くぐりの日。

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残念ながら既に神事は終わっていましたが、茅の輪をくぐって家族、仕事仲間、ガイド仲間の健康と安全をお祈り。
カヤ、竹で作った輪の中を、八の字を描いてくぐっていきます。

今夏も皆様が、安全で楽しい山行を過ごせますように。

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おやじぎゃぐですが。

 中央ヨーロッパ諸国のクライミングコンペのポスターって、なんだか知らんけど斬新なデザインのポスターがよく見受けられますが・・・・



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え?
ロード・オブ・ザ・・・・
(ロシア・エカテリンブルグで開催予定のボルダリングコンペのポスターです。)

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国語の問題

Minami 「なんで山登り始めたんですか?」
人から聞かれ、
「高校受験の時の、国語の問題が・・・」
と答えると、たいていの人から怪訝な顔をされる。

高校受験を控えた、晩秋だったと思う。
補習授業で渡された、国語の長文読解問題のプリント。

(あ~、めんどくせー)

と思いながら問題に目を通すと、そこには何か異質の世界の文章が掲載されていた。

 ロッククライマーが「赤引け」 「白引け」 と合図しながら「ザイル」とかいうものを操作し、「あぶみ」とかいうものに乗って垂直の岩場を登る場面。
 二人とも水が無くて、今にも死にそうな場面。
 しかし、奇跡的に岩場にしたたり落ちる滴から水を得た二人。
 そして二人は未踏の岩壁を登り切る。

 新田次郎 『神々の岩壁』 のクライマックスシーンである。
 
 なんだか知らないけれど、「登山」って凄い。
 書店に行き、それまでみたこともない『山と渓谷』という雑誌を手にしてみた。
 偶然にも、その号は新田次郎特集。

 当時は全国大会を目指す剣道部に所属しながら、実力も無かったため常に他の仲間とは距離を感じていた私。
 剣道止めて、俺は山やる!

 あの国語の長文問題を目にすることが無かったら、高校山岳部で味わった山のつらさも、大学山岳部で味わった北アルプスの厳しさも、8000m峰の稜線を一人でさまよった事も、花々に満ちた夏の月山を子供達の共に登る喜びも、そんな山々と出会うことは無かったはずだ。

 衝撃的なまでに私に強い印象を残した、国語の長文問題。
 そこに掲載された小説『神々の岩壁』の実名のモデルとなった南博人氏。
 6月18日前立腺ガンにて逝去。
 謹んでご冥福をお祈り致します。

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【訃報】ニコラス・クリンチ氏 逝去

1958年、ヒドンピーク(ガッシャブルム1峰 8068m)初登頂を果たしたアメリカ隊を率いたニコラス・クリンチ(Nicholas Clinch) 氏が去る6月15日、カリフォルニア州のホスピスにて亡くなりました。85歳でした。

RIP: Nicholas Clinch, 85, Led Only American First Ascent of an 8000er by ROCK&ICE 2016.06.15

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晩年のニコラス・クリンチ氏と奥様のベッツィーさん Photo courtesy Mountaineers Books

 1958年ヒドンピーク初登に成功したアメリカ隊は、酸素ボンベを使用したもののコンパクトな登山隊で8000m峰初登に成功した点が評価されています。
 ニコラス・クリンチ氏の著書『A WALK IN THE SKY』がナカニシヤ出版から邦訳・出版されたのは1998年、8000m峰14座の初登に関する記録本としては最も遅い邦訳・出版となりました。

 ROCK&ICEの記事にあるように、日本人が当時未踏のガッシャブルムⅠ峰の許可取得に動いているという未確認情報が流れる中、ニコラス・クリンチ氏はじめとするアメリカの岳人達が未踏の8000m峰をめざすべく立ち上がり、実現したのが1958年の「ヒドンピーク」隊。

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 カウボーイハットをかぶった隊員達がカラコルムの氷河をキャラバンで進みました。

 登頂は7月5日、アンディ・カウフマンとピート・ショーニングが果たします。
 前述のように、1958年のアメリカ隊に関しては邦訳されている資料が少ないのですが、私の蔵書にあった8000m峰14座登山史に関する古い書籍(もちろん池田某老人の本じゃござんせん)では、アンディ・カウフマンが頂上で掲げているのが国連旗だったりします。当時の冷戦事情を思わせる一枚ですね。

 またニコラス・クリンチ氏といえば、南極のビンソン・マッシフ初登も果たした人物として名前がしられていますが、1960年にやはり隊長として隊を率い、難峰マッシャブルム初登を成功させた人物でもあります。こちらの方がステーブン・ベナブルズらに高く評価されているようです。
 名伯楽はアメリカ山岳会会長など重責を担い、6月15日、永遠の眠りにつきました。

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月山・羽黒側に通じる県道開通早まる

 先日の外来植物駆除の記事で、月山・羽黒側、八合目駐車場へ通じる県道月山公園線の開通日が6月27日と紹介しましたが、開通日が早まりました。
 
 2016年の県道月山公園線の開通日は6月17日(金) 10時からを予定しています。

 お知らせ】月山4合目ゲート通行止め 解除の日程について by 山形県鶴岡市羽黒町観光協会

 なお八合目駐車場のトイレは18日(土)午後から使用が可能になります。
 また八合目駐車場のレストハウス営業開始は準備できしだい、25日頃からを予定しているとのことです。

 先日の記事でも書きましたが、幅員の狭い車道ですので、交通安全にはじゅうぶんにご注意下さい。

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6月12日、静かな弥陀ヶ原

6月12日に開催された外来植物駆除活動。
参加者の「特典」として、県道開通前の弥陀ヶ原を散策できる。

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 駆除活動の後、約2時間の散策時間が設けられ、パークボランティアの方をリーダーに3班に別れて弥陀ヶ原を散策しました。
 
 県道開通2週間前の、弥陀ヶ原の様子です。

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八号目某所に乱れ咲くコイワカガミ

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木道脇にも、コイワカガミの群落

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ツマトリソウ

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ミツバオウレン

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その多くは既に散っていましたが、一部にはまだミネザクラが花を付けていました。

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ワタスゲ。 シーズンインしてからだと、なかなか盛りのワタスゲにはお目にかかれません。

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ミツガシワ

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ヒナザクラ

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実は庄内側では初めて見ました、タケシマラン

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「登山は初心者なんですぅ~」という山ガールの皆様、月山の木道もヒナザクラを飾ってお待ちしております。

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「北アはそろそろ飽きたし、次は東北ね」という肉食系山ガールの皆様、月山の湿原もモウセンゴケを飾ってお待ちしております。

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約2時間の弥陀ヶ原散策後に昼食。
月山ガイド協会様より差し入れいただいた、月山筍の味噌汁を参加者皆さんと共に味わいました。

毎年多くの登山者・観光客を迎える弥陀ヶ原、月山羽黒側登山口。
山開き7月1日には、さらに多くの花々が人々を迎えてくれるでしょう。

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月山・外来植物駆除活動【2016.6.12】

環境省、月山ビジターセンター主催の月山・外来植物駆除活動に参加。
一昨年前の鍛冶小屋での駆除活動に続いての参加となる。
今年第1回目の駆除活動は、月山・羽黒側、県道開通前の八合目駐車場。

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朝7時、月山ビジターセンター集合。

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挨拶とミーティングの後、ここからバスに乗り換えて八合目駐車場をめざす。
一般参加20名、パークボランティア10名、環境省スタッフ5名の計35名で活動。

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バス乗車前にブラシマットで靴底の土・種子類を落としていきます。

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八合目駐車場到着後、道具が貸与されます。こんな道具で外来植物を抜いていきます。

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本日のターゲットは、セイヨウタンポポです。

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県道開通前の八合目駐車場、シーズン時とは全く違い他の車両も無く静かです。(月山筍採りの原付バイクは沢山停まってました)
駐車場脇の草地に繁茂している大量のタンポポを人海戦術で抜いていきます。

しかしタンポポの根は深いので、作業開始直後からあちこちから「んー難しい」 「根っこが切れる~」という声が漏れ聞こえます。

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こんな風に上手く根も抜けるのは少数で・・・

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すみませーん、大多数はブチッという音ともに根っこが切れてしまいます・・・

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八合目駐車場から、こんな風景を眺めて休憩。

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約1時間強の作業で駆除されたセイヨウタンポポ。総重量37.1kgでした。

今年第2回目の外来植物駆除活動は8月上旬、月山の西川町側で予定されているそうです。
詳細は月山ビジターセンターにお問い合わせ下さい。

 月山・羽黒側、八合目駐車場に通じる県道月山公園線は、現在4合目にてゲート閉鎖されてますが、今年2016年は6月17日(金)から開通予定です。(当初6月27日との記載を修正しました 2016.6.15)
 幅員の狭い車道ですので、八合目駐車場に行かれる方は交通安全にどうぞご注意下さい。

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病送り(やんまいおくり) 山形県舟形町 舟形地区

病送り(やんまいおくり)。

 医療が発達していない時代、疫病を恐れた人々は、身代わりのわら人形に祈りを託し、わら人形を川に流すことにより病気や災いを追い出し、人々の健康を祈った。
 病送りは地方によっては「疫病神送り」、「疱瘡神送り」などとも呼ばれていたが、時代と共に廃れていった。

 山形県では月山・葉山山麓の寒河江市・幸中(さちゅう)で行われている病送りが知られている。
 数年前から見学を目論んでいたのだが、土木作業員が忙殺される3月に開催されることもあり、実現できていない。
 文献調査を進めるうちに、最上地方・舟形町の幾つかの集落で今もなお行われている事を知った。
 2016年6月11日、舟形町の中心部・舟形地区で開催される「病送り」を見学させていただいた。

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 17時、中央公民館前にスタンバイする地元保存会の皆さんと大勢の子供達。

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 行列は3台のリヤカーで構成される。
 人々の身代わりとなるわら人形を積んだ1台め、2台めはお囃子の太鼓、3台目はやはりお囃子のドラム缶。

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 病送りの人形は「男人形」、「女人形」の2体で構成される。手前、頭に大銀杏を結っているのが女人形、後が男人形。ぶら下がっているのは、身代わりとなる「わら人形」に捧げる食べ物が入っている「つと」。

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わらつとの中身は赤飯。

17時30分、神主による神事が始まり、神事を終えてから街中に出発。

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わら人形を積んだリヤカーを先頭に街中を練り歩く。

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沿道の人々は行列の到来に合わせて、自宅前やわら人形に塩水をまき、箒で道を掃き清める。「祓い清め」の儀式である。

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あちこちで地元の方々が塩水をかけ、わらつとをわら人形に結びつける。

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約1時間半かけて街中を巡ったわら人形は、小国川の川岸でリヤカーから降ろされる。
本来の「病送り」ではわら人形は川に流されるのだが、最近の河川事情を反映して、川岸で焼かれて行事は終了する。

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燃やされる直前、男人形と女人形をぶつけ合う。
(このとき離れていて上手く撮影できませんでしたが、動画1:48~1:50に記録しております)

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そして人々の身代わりであるわら人形は集落から離れた川岸で燃やされていく。

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行事がおわり、「お菓子配りまーす」の声に一斉にダッシュする子供達(笑)

交通警備を担当していた警察官の方が職業柄か、舟形町各地の「病送り」に詳しい方だった。
民俗学の文献では、本来の姿を残しているためか舟形町長沢地区の病送りが取り上げられることが多い。
警察官の方が、「長沢地区では家の前で火をたいて行列を迎えるんで、火が点々として、なんともいえない風景ですよ」と実に魅力的に語る。
同じ舟形町でも、地区により様々な病送りのスタイルがあるらしい。
2005年に見学した民俗学研究者・菊地和博氏の報告では、『やんまい(病)、にんげろ(逃げろ)、にんげろや~』というはやし声が叫ばれなかったと報告しているが、今回私が見学した際には、大声とまでいかないのだが、子供達も保存会の人々もくちずさむように

『やんまい、にんげろ、にんげろや~』

と唱えていた。
様々な文献に記録として残る「病送り」と比較すると、簡略化されている点もみられる。
しかし山形県各地でも様々な事情で「病送り」が廃れていった一方で、既に菊地和博氏が指摘されたように、「個人の幸福だけではない、地域全体の幸福を願って行われる」行事が今もなお続けられていることに、観光イベントの「祭礼」とは異質の感銘を受けた。

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舟形町 舟形地区「病送り」のタイムライン

13時~ わら人形の制作(筆者未見・行事告知のポスターに記載)
17時30分 中央公民館前に集合・神事開始
17時40分 行列スタート
18時05分~15分 舟形町観光物産館前で休憩
18時55分 小国川に到着、リヤカーからわら人形を川岸に搬出
19時00分 小国川川岸にてわら人形に着火、焼却
19時06分 消火、子供達にお菓子配布・解散

行列への御賽銭は300円(行事告知のポスターに記載)

記録した動画はこちらです↓

参考文献
 大友義助編集・舟形町教育委員会編 『舟形町史』 1982
 大友義助執筆 「病送り-舟形町長沢-」 最上地方民俗の会 『最上地方民俗』 1968

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救命講習

西川町役場にて、所属する月山朝日ガイド協会の救命講習に参加。

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心肺蘇生法をメインに。

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最近増えている子供の登山を想定し、ほんのさわりですが小幼児を対象とする蘇生法も行いました。

あー夏山シーズン前に三角巾の用法復習しとこう。

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韓国・仁寿峰、リボルト事業に公費投入

 日本のクライマーにもおなじみの岩場、韓国・インスボン。
 このインスボンで大々的なリボルト作業が進行中です。
 この事業は韓国の文化体育観光部、すなわち韓国政府の公費が用いられ、韓国の登山界で議論を呼び起こしています。
 
インスボン大補修事業、どう思いますか? by 月刊MOUNTAIN 2016.06.02

以下引用開始
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インスボン「大補修事業」どう思いますか? 
ボルト交換事業に対する意見、大学山岳連盟の立場 ユン・ソンジュン記者

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4月28日スユドン ノースフェイス文化センター3階会議室で開かれたインスボンの補修事業公聴会

 韓国の大学山岳連盟が4月28日、ソウル スユドン ノースフェイスアウトドア文化センター3階で 「北漢山インスボン補修事業事業説明会兼公聴会」 を開催、今年末までインスボンで大々的なルート整備作業を展開すると明らかにした。

 大学連盟は公聴会の後すぐに作業にとりかかり、これまで山岳界各方面から複数の意見が寄せられた。
 今回の事業は文化体育観光部の事業費3億ウォンの支援を受け、北漢山インスボンの老朽化した支点(ボルト、チェーン、下降用ハーケン等)の補修と交換、新設を中心に進行される。

 大学連盟によると、現在インスボンのクライミングルートは84本、合計302ピッチに達する。保守作業は、連盟側が調査したインスボンの各ルートを対象に10月までの平日を利用して実施され、予想投入人員は延べ820人である。

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大学連盟側が用意した資料の中で、ボルトと関連した内容

「ボルト新設に慎重を期すること!」
 公聴会で韓国の大学山岳連盟キム・ジョンウォン会長は「インスボンに設置された支点は、ほとんど1970年代前後に設置されて古く老朽化しクライマーの安全を脅かしている」とし、「今回を機会にルートを体系的に整備することにより、安全で快適なクライミング環境を生成し登山文化の発展に寄与したい」と説明した。

 今回の事業総括を務めたキム・ドンス(韓国外国語大学山岳部OB)チームリーダーは、「新設という言葉に敏感に反応する人が多いが、40年の間に登山しながら岩にボルトを打ち込んだことは一度しかない」とし「今後ボルトを新たに設置する場合、慎重の上に慎重を期すること」と強調した。

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大学山岳連盟キム・ジョンウォン会長

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事業の技術委員を務めたユン・ギルス チームリーダー

 技術委員会ユン・ギルス チームリーダーは、「ボルトの場合、外側に現れている部分は無傷に見えても、目に見えない岩の中では腐食が深刻で、形状や材質もばらつきがあるため、これまで管理する上で不具合があった」として、「今後は同じ材質と形状のボルトに変える計画であり、同時にピッチ終了点に複雑に設置されたワイヤーやチェーンを再整備する」と説明した。
 ユン チームリーダーはまた、「このような作業は、そのルートを開拓した山岳会や個人と十分な意見交換を経た上で進めていく」と付け加えた。 次は、山岳界の主要な人物たちから今回の事業に対して寄せられた意見である。

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 イ・ヨンデ(コーロン登山学校名誉校長) 「作業にかこつけてインスボンを傷だらけにすることはあってはならない」
  「安全と事故予防の観点から実施する作業であるため、本来の趣旨には共感する。しかし、「保守のための保守」、「ボルト交換のための交換」であってはならない。インスボンは、私たちに残された自然遺産である。補修を理由にした傷や痕跡も残してはいけないし、新たな岩の損傷行為が起きてはいけない。開拓チームが意図した歴史的な意味も考慮する必要がある。既存のボルトを撤去して、別の場所に新しいボルトを設置することは作業者数人の主観的な基準と判断で行うのではなく、多数の人々の意見を総合して妥当性を十分に検討する慎重さが優先されるべきである。インスボンは私たちのクライミングが始まった歴史的な舞台だ。作業を理由にインスボンを傷つけてはならない。予算執行のために問題の無い歩道ブロックを取り除き、新しいものと交換する事例のような事が起こってはならない。」

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ユ・ハクジュ(登山家) 「他の岩場の点検・拡大・解放するきっかけとならなければならない」
 「今までインスボンの保守作業は、一部の人が必要経費を負担して進めたことは知られている。今回をきっかけに、政府が引き続き山の安全、事故防止に貢献しなければならない。国民がより多様なスポーツを楽しむための政府の配慮が必要である。
 また、この事業が韓国の多くのロッククライミング対象地を確認することができるきっかけになったらと考える。 これにより、複数の岩場を拡大、開放しなければならない。ただし、今回の作業のためにクライミングの質が歪曲されてはならない。
 インスボンのほとんどのクラックコースには、ボルトが過度に設置されている傾向がある。この部分も整備しなければならない。クラックはボルトではなく、私たちが持っているプロテクションを使用して登る必要がある。また、クライマーによっては各ルートのクラック部分や面白いところだけ登って下降して、他のルートに移動したりもするが、このような行為のために迷惑をこうむるクライマーが多い。避けられない場合を除いて、このような行為を防止するために、登山ピッチ終了点と下降ポイントを区別して補強することが望まれる。落石地域の保護施設の強化やインスボンで育っている樹木の保護にも関心を持って作業が進めるべきだ。今回の作業でインスボンが「生き返る」きっかけになってほしい。」

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ジョン・スングォン(ジョンスングォン登山学校長) 「欲望、過信、名声、名誉などを求めては成らないこと」
  「優先的なビレイポイント(ピッチ終了点)に設置されたボルトとワイヤーの交換・新設は必要だと思う。ただし、不安定な状態であるかを正確に把握しなければならない。ボルトの表面が錆びただけなら不安定な状態ではない。 また、テラスの大きさと、人々が混雑した程度の違いをよく考慮する必要がある。 例えば、複数の人が座ることができる広々としたテラスのような場所であれば、自分のギアを利用してビレイポイントにセルフビレイをとり、後続のビレイは直接確保(訳者注: 「直接確保」は原文のまま) すればよい。 例えばハングの下のような所、現在はハングの下部、上部、すべてのビレイポイントにボルトが濫用されている。
 しかし、南面の第1バンドのビレイポイント、すなわち、「空」、「クロニクル」、「東洋」、「巨竜」、「旅」、「チョンメク」などのルートが合流するビレイポイントは、複数のルートが重複しスタンスも良くない観点から、新設すべきだと思う。

 だが中間支点として使用されているボルトの場合は、ルートの人気と難易度を考慮して、保守あるいは無視しなければならない。 また、クラックにもかかわらず埋め込まれているボルトは、カムなどを容易にきめられる場所であれば、最初から抜いたり交換する必要はないと思う。
 懸念される点は、ボルトの交換という名目で公費が引き続きサポートされる先例があれば、今後は政府と山岳団体によってなし崩しにボルト交換作業を乱発されるのではないかと心配だ。
 これらのことはクライマーがリスクを見いだし、最小限のプロテクションで自ら解決しなければならないものである。その点において、成熟したクライミング文化なのにボルトの交換が当たり前のように誤解されるのではと心配だ。

 安全なクライミングが重要だが、安全はボルト設置だけで解決されるわけではない。
 全体的に成熟したクライミング技術がクライマーの安全を守ってくれるのであって、アメリカのヨセミテ国立公園の岩場はビレイポイント以外のボルトを探すのが容易ではない。ボルトに依存するクライマーがこんなところでクライミングを安全に行うことができるだろうか?
 今回の事業は、クライマーたちがインスボンを保守・管理するという点に意義がある。苦労に謝意を表す一方で、検討を切に望む。また、このようなことから欲望、過信、名声、名誉などを求めてはならないという点も知ってほしい。

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ソン・ジョンジュン(ソン・ジョンジュン クライミング研究所)「政府の公式許可を受けた保守事業を歓迎」
 インスボン西面のヌトバラム(1P)と幻想列車(2P)を2000年初頭に開拓した。継続的な管理はしてきていたが、ヌトバラムルートの場合、開拓時には錆びていなかったボルトハンガーが3本錆びており、交換を検討していたが国立公園内という問題から時期をうかがっていた。今回の事業を通じて、一緒に交換作業がなされたらと思っている。

 もちろん、他のルートの場合、開拓した各山岳会で補修することができればいいが、現実的には不可能だと思われる。経験豊富な諸兄の指揮下、開拓した山岳会の意見を最大限反映して実施し、現時点の登山文化と倫理に反しない、環境的な部分も最大限考慮した状態で、作業が進められたらと思う。何よりも、国立公園との摩擦なしに作業が行われるという点、インスボンが政府から公式なロッククライミング対象地として指定されたという意味があると思い、個人的には今回の事業を積極的に考えて注目している。

 しかし、保守作業は、多くの時間と悩みを要する作業だ。まず、ボルトとハンガーの選択(岩の形に依存するボルトとハンガーの規格)、第2に、ボルトの位置に応じた無分別な乱用(インスボンは古典的なルートで構成されたコースが多い。危険だからと無条件にボルトを設置することには反対する)、第3に、保守作業の完了時にボルトの痕跡を消去(技術的な手法が必要)などの3点に注意しなければならない。これまでのロッククライミングに対する否定的な見解が積極的に変化したと見ている。今回の機会をうまく生かし、立位置が狭くなったロッククライミングにとって閉ざされた対象地が開かれ、クライマー達の選択の幅が広がれば良いと思う。」

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ユン・デピョ(登山家)「公的資金支援のプロセスが気になる」
 インスボンのいくつかのルートは、便宜上ビレイポイントは、そのルートと離れていて危険な場合がある。また、開拓者の身体条件に合わせてボルトが打ち込まれているところもありますが、現在、このようなルートは、クライマーの能力や身体条件に応じて、危険な場合もあればそうではない場合もある。老朽化したボルトの交換や新設も重要だが、少数のクライマーに合わせて作られた、このようなルートの修正作業も必要である。今回の事業にどのような基準が適用されて進行しているのかが気になる。
 また、インスボンの補修は連盟が着実に行ってきた。同じ意味合いの今回の作業自体は承認する。しかし、3億ウォンという公的な資金を投入して大々的に展開することではない。さらに、国の予算がどのようにサポートしたのかについての十分な説明が必要である。

mini interview

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キム・ドンス(韓国外大山岳部OB、北漢山インスボンの補修事業TFT総括チームリーダー)
「インスボンの保守が肯定的な評価を得ること」

 インスボンは、国内山岳界で象徴的なピークである。したがって、今回の補修事業に関連する議論がこれまで以上に熱い状況にある。前述に提起したいくつかの意見を総合してみると、環境とルートの歴史性の保全に関心が集中している。インスボン保守作業を統括するキム・ドンス チームリーダーが複数の疑問に対して回答した。

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 インスボン西壁アルペンローゼスルートから撤去した錆びたボルト。上記の黄色の紙上に置かれたボルトに交換される予定である。

 作業を見守ったクライマーの証言によると、既存のボルトを抜き、その横に穴を開けて再び新しいボルトを打ち込む作業をしていると聞いた。当時どのような状況だったのか?

 クライマーの安全を最優先に考えた上で判断、作業を進めている。もしボルトを抜いて、その穴を生かすことができれば当然そうするし、そうでなければ新たにドリリングする方法で進行している。後者の場合、跡が残らないように巧く処理している。

 現在インスボンはビレイポイントとルートが離れていて危険な場所、開拓者の身体条件に合わせてボルト間隔に問題があるとされている。このようなことも保守作業に含まれているか?作業基準はどのようなものか?

 当然含まれる。開拓当時の条件と、今では多くが異なっている。クライミングの方式も変わった。交換するボルトの基準は決められている(危険であると判断されたボルト、一見正常なものであっても簡単に抜けてしまう場合があった。このようなボルトが交換対象となる)。そして、安全なクライミングに問題があると思われるところもボルトの位置を修正している。安全性と現在の国内のクライミングの流れを考慮し検討している。もちろん、現場で作業している作業員は韓国最高レベルであり、すべての作業は、私たちの良心と判断、所信に基づき行われる。

ボルトを一つ一つ全て抜いて確認しているのか?

 すでにインスボンに打ち込まれている全てのボルトは、事前精査(写真撮影など)を経た。多くの人々が考えているよりも、中が腐ったボルトが多い。

各ルートを開拓した山岳会によっては、本事業に対する意見が幾つかあるが?

 友情山岳会と剣岳山岳会には謝意を伝えた。この他にも、どのような意見であっても、それが現実的に受け入れることができるものであれば作業に反映させる。今すぐにもインスボンでクライミングする人から反応が出てくるだろう。精密に保守されたルートと、そうでないルートに対する反応だ。多くの人が肯定的に評価してくれるものと確信している。

政府の公費支援に問題があるという意見がある。どのように考えるか。

 スタッフの中で、特に生活に困窮している人もいなければ、誰も政府に対して予算を獲得するため締め付けたこともない。インスボンルート補修の哲学に政府関係者が感化されたために可能になったものだ。私たちが使ったすべての費用は、毎月末に文教体育省のパソコンに入力しなければならない。問題が発生した場合、すべて弁償しなければならない。誰もが公的資金をむやみに使っているわけではない。
 私もこの事業に関連する業務で交通費、食事代の費用は受け取っておらず、作業員たちは食事も不十分で皆体重が2~3kg落ちている状態だ。このような状況から、妻に頼んで食事を支援してもらったこともある。支援金が十分だから、このような活動を始めたわけではない。大学連盟が作業が引き受けたのは、事業進行の透明性と効果を認めて引き受けたものだ。

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以上引用おわり

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日本で報じられない米大統領選挙の争点

 ヒラリー・クリントンと、ドナルド・トランプ。

Ht

どちらかが必ず触れるであろう、しかし日本のメディアはとりあげないでろう話題に、まずはヒラリーが触れましたね。

アウトドア産業またはアウトドア・レジャーの経済効果に関するコメントです。

Hillary Clinton opinion for Mercury News: A plan to preserve America's 'best idea' by The Mercury News2016.06.01

户外休闲经济对美国多重要 看看希拉里的户外施政纲领 by 8264.com 2016.06.04

 ご存じのようにアウトドア大国アメリカでは、アウトドア産業がもたらす経済効果は国家としても重要な規模、特に全米規模のメーカー展示会が開催されるソルトレークシティーなどでは地方財政の面からも無視できない経済効果が存在します。
 
 去る6月1日の演説において、ヒラリー・クリントン候補は

 ・今後10年以内にアメリカのアウトドア関連レジャーの経済を倍増させる。
 ・それにより新たに百万人単位で雇用を増大させる。
 ・その結果、全米で700億ドルの経済効果をもたらす。
 ・具体的な政策として、従来アクセスできなかった官地の半分以上をオープンし、ハンティング、釣り、その他アウトドアレジャーのために解放する。
 ・全米3000箇所以上の都市公園の修繕に取りかかる。

 以上の事柄についてコメントしました。

 特筆すべきことは、前述リンクのmercurynewsに掲載されていますが、
 「気候変動から天然資源(水資源)を保護する」
 「気候変動に対抗するためクリーンエネルギー推進」
 に言及している点ですね。
 対抗候補のドナルド・トランプ氏本人およびトランプ氏のブレーン達が「気候変動は根拠の無い疑似科学だ」とこきおろしている姿勢とは対照的です。

 日本のメディアは関心の範囲外なんでしょうけど、クリントンとトランプ、二人の「環境政策」には全く触れませんね。
 現職のオバマ大統領がサリー・ジュエルという傑出した人物を内務省長官に採用したもんで、どちらが次期大統領になろうと私はあまりアメリカの次期政権の環境・アウトドア関連政策にはあまり期待してないんですが。

 ちなみにドナルド・トランプ氏の環境政策に関するニュースといえば、アイルランドの海岸沿いにあるトランプ氏所有のゴルフコースが年々浸食されているので防護壁を作るための理由として「気候変動」を持ち出したとか、同じくトランプ氏所有のゴルフコースを整備するため河川沿いの樹木をバッタバッタ切りまくって環境保護団体からクレームがついたとか、 「ネタ」 ばかりです(冷笑)。

 ま、ヒラリー・クリントンびいきの恣意的な記事を書くつもりは無いんですが、既に日本の一部のメディアも報じているように、

Billclinton
2008年、ニューヨーク近郊のトランプ氏所有のゴルフ場で楽しむビル・クリントン(中央)、ドナルド・トランプ(左の赤帽子)の二人 

 旦那のビル・クリントン氏とドナルド・トランプ氏はおともだちですから、今回の選挙戦も陰でどうなってるんだかわかりませんね。
 繰り返しますが、アメリカのアウトドア産業は国家・行政としても無視できない経済効果を発揮してますから、具体的な政策を語ったヒラリー・クリントン、ネタばかりまき散らしてますが商才に長けたドナルド・トランプ氏(またはそのブレーン)、どのような舵取りをしていくのか注目したいと思います。

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