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国語の問題

Minami 「なんで山登り始めたんですか?」
人から聞かれ、
「高校受験の時の、国語の問題が・・・」
と答えると、たいていの人から怪訝な顔をされる。

高校受験を控えた、晩秋だったと思う。
補習授業で渡された、国語の長文読解問題のプリント。

(あ~、めんどくせー)

と思いながら問題に目を通すと、そこには何か異質の世界の文章が掲載されていた。

 ロッククライマーが「赤引け」 「白引け」 と合図しながら「ザイル」とかいうものを操作し、「あぶみ」とかいうものに乗って垂直の岩場を登る場面。
 二人とも水が無くて、今にも死にそうな場面。
 しかし、奇跡的に岩場にしたたり落ちる滴から水を得た二人。
 そして二人は未踏の岩壁を登り切る。

 新田次郎 『神々の岩壁』 のクライマックスシーンである。
 
 なんだか知らないけれど、「登山」って凄い。
 書店に行き、それまでみたこともない『山と渓谷』という雑誌を手にしてみた。
 偶然にも、その号は新田次郎特集。

 当時は全国大会を目指す剣道部に所属しながら、実力も無かったため常に他の仲間とは距離を感じていた私。
 剣道止めて、俺は山やる!

 あの国語の長文問題を目にすることが無かったら、高校山岳部で味わった山のつらさも、大学山岳部で味わった北アルプスの厳しさも、8000m峰の稜線を一人でさまよった事も、花々に満ちた夏の月山を子供達の共に登る喜びも、そんな山々と出会うことは無かったはずだ。

 衝撃的なまでに私に強い印象を残した、国語の長文問題。
 そこに掲載された小説『神々の岩壁』の実名のモデルとなった南博人氏。
 6月18日前立腺ガンにて逝去。
 謹んでご冥福をお祈り致します。

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コメント

久しぶりにウエブサイトをみました。ニコラス・クリンチ氏の訃報に接し感慨深いものを感じました。もう随分前、20年以上前になりますが、AACKのチョゴリザ初登頂40周年記念式典に招待されたクリンチ氏の講演を聞いて感動したことを今でも良く覚えています。素晴らしい講演でした。氏の万葉集の一節まで引用した非常に奥深いスピーチを見事に翻訳した薬師義美さんの存在なしには語れませんが。心からご冥福をお祈り申し上げます。いつもニュースを有り難うございます。

熊崎様
 
 さすが交流関係の広い熊崎様、クリンチ氏の講演をお聴きになられていたとはうらやましい限りです。万葉集の一節を引用されていたとは驚きです。
 貴重な思い出のコメントありがとうございます。

 AACKチョゴリザ50周年ニュースレターでクリンチ氏が寄せた祝辞では「友情」をキーワードにされ、「パイオニアワーク」という言葉が生きていた時代の登山家としてお人柄を感じるものでした。

 またお気づきの点ございましたら、お気軽にコメントお寄せ下さい。

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