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【全俺が】 台湾映画『太陽的孩子』 【泣いた】

本記事には、映画のネタバレが含まれます。
該当映画は作品の素晴らしさにもかかわらず、日本の配給会社の無能のため商業上映が未だ実現されておりませんのでご了解ください。

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町内子供会の行事のため、家族で蔵王・坊平でバーベキュー。
とりあえず家族サービスは済ませた。
子供会行事終了後、おまわりさんに言えないスピードで車をぶっ飛ばし蔵王から下山、私だけ山形県立図書館で下ろしてもらう。
台湾映画『太陽的孩子 (太陽の子)』を鑑賞するためである。

Sun

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ストーリー

台北でジャーナリストとして働くアミ族のパナイは、父が病に倒れたため帰郷。
久しぶりの故郷の田畑は荒れ果て、観光客目当ての再開発計画が持ち上がっていた。
開発と伝統の二つに分かれるアミ族の人々。
パナイは自分の名前の由来(稲穂=パナイ)である伝統の米「海渡米」栽培を復活させるべく、会社を辞め、故郷に戻る。

行政の無能さと冷たさに抗い、反対する村人を研究者とともに説得し、水田復活のカギとなる水路を再整備し、海渡米栽培を復活させる主人公パナイ。

しかし、行政の不手際で水田が国有地として登録されており、突如、駐車場工事が着手される。
座り込みをして主人公や村人たちは抵抗するが、警官隊に強制排除される。

パワーショベルが水田に向かったそのとき。

今まで、主人公パナイの水田復活に反抗的な姿勢を示していたパナイの娘、ナカウがパワーショベルの前に立ちはだかる。
ナカウは警官に取り押さえられるが、その模様は映像としてネットに流出、テレビニュースでも採り上げられる。
「未成年でモザイクもかけずに・・・」とマスコミの報道に激怒するパナイ。
だが、その報道によって台湾全土に支援の声があがり、まったく売れていなかった海渡米が完売。工事も中止となる。

そして村人たちがアミ族伝統の祭りを繰り広げる夜・・・・

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 台湾には政府認定の少数民族が16民族、存在します。
 その中の一つ、アミ族の人々。
 開発と伝統に揺れる村。
 民族問題、農業問題、台北と地方との格差。
 世界各国が抱える普遍的な社会問題をうまくドラマとして紡ぎ上げているため、この映画はヨーロッパでも高く評価されました。
 日本では残念ながら商業的な問題で日本の配給会社が手を出さないため、ジャーナリスト野嶋剛氏をはじめとする有志が非営利での上映権を取得、日本での自主上映を実現させました。
 この山形市での上映は日本で3箇所めになります。

 私も最近は歳なもんで、

Sun3
 突然に水田で工事が始まり、警官隊が村人を強制排除するシーン。
 老婆が若い警官にむかって
 「ぼうや、あんたもどこの部落なんだい?」
 と語りかけ、同じアミ族らしい若い警官が呆然とし、排除する警官隊の列から離れていく姿に涙がサラッと流れました。

 そしてラストシーン。
 この映画は前編を通じて、主人公パナイと反抗する娘ナカウとの姿を描いた「家族の映画」でもあります。
 ナカウが陸上競技の才能を開花させ、その才能で進学が決まるストーリーが伏線にあるのですが、ラストでナカウは弟に言い聞かせます。
 
Sun2
『お姉ちゃんは台北の学校に行く。お母さんをよろしく。』

 ナカウが陸上競技で推薦されて進学が決まる場面はないのですが、巧妙な演出で観客はそれと気がつきます。そのナカウの決然と語る姿に、やはり涙がサラッと流れました。
 ナカウを演じるのは、現地オーディションで決まったアミ族のウー・イエンズー。監督いわくナカウにはこの子しかいない、と直感したとのこと。そのまっすぐな瞳が魅力ですね。
 この映画は出演者のほとんどが現地住人のため、ロケ地を訪れると普通に映画出演者が歩いているらしい(笑)

 経済、そして教育。
 大都会・台北と、仕事も無い地方都市との格差も、この映画のテーマです。

 全編を流れる、先祖伝来の土地への畏敬の念、稲作と米食への賛歌。

 今秋9月に福岡での国際映画祭で上映が決まっています。
 人の不幸の切り売り映画のような芸術映画と違い、鑑賞後は爽やかな印象とおそらくは各地どこにでも存在する社会問題と家庭の問題を考えさせられます。
 日本人なら絶対観ろ!
 自信をもってお勧めします。

 背景に流れる、アミ族歌手Difan(郭英男)の「酒を飲む老人の歌」をアレンジした曲が懐かしい。
 若かりし頃、台湾を自転車で走っていた時に何度も頭の中でリフレインしていました。

 映画トレイラーを兼ねた、主題歌『不要放棄』動画もお勧めです。
 

 映画『太陽的孩子』正式予告編

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コメント

はじめまして。私も6月24日に台湾文化センターで「太陽の子」を観てとっても感動し、香港経由でDVDを入手、さらに8月7日には映画の舞台である花蓮県豊濱郷港口部落まで行ってしまいました(笑)。

みなさま本当に親切な方々ばかりで、ロケ地をあちこち見せて頂いただけではなく、天主堂ではおじいさん役の方、またお昼を食べたところ(2日前までの予約が必要。民宿もやっておあれます)ではあの座り込みの最前列の女性にもお会いすることができました。

港口部落の豊年祭には間に合いませんでしたが、翌8月8日は15km手前の猫公部落というところの豊年祭も見ることができ、短いながらとても充実した旅になりました。

また行きたいと思っています。今回の写真はFaceBookに載せましたので、ご笑覧頂ければ幸いです。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1158466747506996.1073741868.100000310451968&type=1&l=cbffe2586c

Hideyo Shimazu 様

 コメントありがとうございます。
 facebookも早速拝見させていただきました。

<<みなさま本当に親切な方々ばかりで、

主催の野嶋氏のトークショーでも現地事情が紹介されてまして、やはり座り込みのおばあさんの件は話題になっておりました(笑)

豊年祭ご覧になれたんですね。
以前に台湾旅行に入れ込んでいた頃、山岳民族の祭りを一度みてみたいなあ・・・と思いつつ未だ実現できてませんで、大変にうらやましく思います。

Shimazu様の写真拝見して、また台湾いってみようかなあと、ちょっと心動かされます。

「KANO」の上松選手に向かって「あなたもアミ族でしょ。どこの部落なの?」と訊くシーンは強烈でした。Facebookにもちょっと書きましたけれど、あの方は昔の大頭目のお孫さん(終戦のときに小1だとおっしゃってました)で、その娘さんが土地収用反対運動のリーダー(海稲米プロジェクトとは別の方)です。海稲米の田を復活させたプロジェクトが表(国道11号64km付近に面しています)とすると、その海側の観光スポットに面したところも裏の係争地になっていて、そこはいま観光庁と村人たちの共同管理になっているそうです。問題になっている土地は海稲米の田だけではないということを強調されていました。娘さんは日本に2年住んでおられたことがあるそうで、説明はすべて日本語でしてくださいました。お母さんも、映画のあの台詞はインパクトがあったと申し上げたら、「恥ずかしい」とおっしゃっていました。

映画「太陽の子」の最後に出て来る港口部落の豊年祭の映像は男性が少ないという印象でしたが、15km花蓮よりの猫公部落は大きな町ということもあって、規模もずっと大きく男性もたくさんいました。花蓮県には確か200位、台東県には150位部落があって、それぞれで豊年祭をやっているそうです。南から順番にやるようです。私は花蓮で日本人が経営されている馨憶(しんい)民宿に泊めて頂いて、そこのツアー(と言っても5人、うち1人はここ10年間、毎年1ヵ月豊年祭を追っかけておられるという方!)で猫公部落に行きました。気に入ったので来年も行きたいと思っています。

台湾は5回目でしたが、うち3回は台北の回りだけで、去年、「KANO」の舞台が観たくて嘉義に行ったのが、台北以外を訪れた初めての経験でした。今年は台湾文化センターの上映会に何度も行ったり、DVDでも台湾映画を何本も観ていたのですが、「太陽の子」は何と言うか別格の感じでした。上映会での鄭有傑のお話にもとても好感を持ちました。監督のサインも頂きましたし、もうこれは行かなければいけないと思いました(笑)。

Hideyo Shimazu 様

 山形の上映会での野嶋氏のトークショーでも明かされなかったような貴重な情報、ありがとうございます。

<<お母さんも、映画のあの台詞はインパクトがあったと
そんなふれあいがあったんですか、うらやましい・・・

<<花蓮県には確か200位、台東県には150位部落があって
 豊年祭の機会がそんなにあったとは知りませんでした。
 以前得た情報では、豊年祭のような伝統行事の催行日は年ごとに決まるので催行予定日の情報が得づらいと伺っていたのですが・・・

<<台湾は5回目でしたが、うち3回は台北の回りだけで、
「KANO」を鑑賞して嘉義まで行かれたとは凄い行動力です。
 以前一度だけ台湾東部沿岸を旅したのですが、山間部を通過したので、港街はあまり印象に残ってませんでした。

<<「太陽の子」は何と言うか別格の感じでした。
 そうなんです。
 アジア系映画を鑑賞したときにたいてい感じる、「違和感」(うまく表現できないのですが)のようなものが一切無く、私にとってすんなり感動と爽やかさが残る映画でした。

 9月に静岡で開催される上映会では主演のアロさんも来日されるようです。多くの方がご覧になることを祈ってます。
http://iloveshizuoka.jp/

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