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アレックス・オノルドの頭はおかしいのか? 【Medical investigation into Alex Honnold's brain】

フリーソロ・クライミング(ロープ、ギア等を一切用いないクライミング)で知られる、アレックス・オノルド。

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センデロ・ルミノソ(高さ500m、難易度7C)をフリーソロで登るアレックス・オノルド

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アレックス・オノルド近影

 彼の幾多もの驚異的なフリーソロ・クライミングを目にして、クライミングを知らない人はもちろん、クライマーでも「こいつの頭の中はどうなっているのか?」 興味津々な方もおられるでしょう。
 2016年3月、脳医学者、神経学者、心理学者共同によって、アレックス・オノルドの脳の医学的・科学的調査が行われました。
 その結果が非常に興味深いものとなっています。

Estudian el cerebro de Alex Honnold: "No experimenta miedo como nosotros" by Desnivel 2016.8.26(アレックス・オノルドの脳の研究 「我々のような恐怖を経験していない」)

スペイン・Desnivelの元記事となった、Nautilus誌ウェブサイト記事はこちら。
興味のある方はぜひこちらを精読ください。↓

The Strange Brain of the World’s Greatest Solo Climber by Nautilus 2016.8.11
(世界最高のソロクライマーの不思議な脳)

 結論を当ブログ流にいえば、
Hokuto
 アレックス・オノルドのような驚異的なクライマーって、普通の人間が発揮できない潜在能力を発揮しているのかと思いきや・・・

 MRIを用いた医学的調査の結果、人間が恐怖を感じる脳の部分 「扁桃体」 が、通常のクライマーに比較して機能していない、早い話、通常の人間よりも恐怖を感じていない可能性が推定されました。

 今回の医学調査は、サウスカロライナ医科大学の神経学者ジェーン・ヨセフ(Jane E. Joseph)によって進められました。MRIによりアレックス・オノルドの脳の断面画像を撮影、脳の各機能について調査が行われました。

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 技術者ジェームズ・プールと神経学者ジェーン・ヨセフに見守られ、脳の恐怖反応をしらべるためMRIに入るアレックス・オノルド。彼曰く「どうにでもなれと思いました」

P3
MRIによる脳のスキャン調査の結果。
左がアレックス・オノルドの脳、右が同年齢の男性被験者の脳。
白線がクロスした部分が、脳において「恐怖」感の生成に関与する部分「扁桃体」。
アレックス・オノルドの「扁桃体」は不活性であることが判明。

この結果をうけ、神経学者ジェーン・ヨセフはさらに本質的な疑問を抱きました。
「なぜ彼はフリーソロクライミングを行うのか?」
「(フリーソロが)生命を脅かす行為であることは彼も認識しています。非常にやりがいのあるスリルのような、何か強い動機づけ、心理的報酬があるのかもしれません。」

 今回のMRI調査では、アレックス本人もだいぶ気にしていたようですが、脳そのものは医学的に異常ではない、しかしジェーン・ヨセフいわく「非常に興味深い脳」だそうです。

 さらに調査はアレックス・オノルドの人格調査(心理調査)も行われました。
 その結果がこちら↓

P4
元図は Nautilus より http://nautil.us/issue/39/sport/the-strange-brain-of-the-worlds-greatest-solo-climber
日本語は筆者加筆。

 人格調査結果もジェーン・ヨセフを驚かせるものでした。
 クライミングの最中は、非凡なまでに冷静で高い集中力を発揮するにもかかわらず、危険への衝動を持っていることが示唆され、平均的なクライマーよりも 「刺激への追求性」 と 「脱抑性(刺激によって抑制が効かなくなる状態)」 でより高いレベルを示しました。

 なおアレックス・オノルド自身は
 自分は大胆不敵な性格ではない。
 自分のクライミング動画を見ていても手に汗をかいてしまう。
 極端にシャイな性格なので、ビレイヤーを探すのが難しくて1人で登るようになった。
 などと証言しています。

P5
アレックス・オノルドの大胆さを示す代表的な画像。
ヨセミテ・ハーフドーム北西壁、サンクスゴッドレッジに立つ姿。

 スペインのDesnivel誌などはセンセーショナルに「アレックス・オノルドの脳は恐怖を感じない」と報じていますが、前述のジェーン・ヨセフは薬物・アルコール・ギャンブル依存症などを研究している科学者。
 危険の真っ只中にありながら危険をコントロールしているクライマー、アレックス・オノルドを知り、学術的観点から今回の調査に至ったようです。

 アレックス・オノルドの自伝『ALONE ON THE WALL』は残念ながら私まだ未読なのですが、フリーソロ・クライミングに関する彼自身の想いはそちらに書かれているんでしょう。
 第三者によるソロクライマーの医学的調査が、社会的に役に立つというのであれば、前々から自身の限界を押し上げるフリーソロクライミングの意義を説いているアレックス・オノルド自身にとっても、有意義なものではないでしょうか。

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