光の山
7月30日、山形県環境エネルギー部みどり自然課主催、『山の日制定記念』月山親子登山にガイドとして出動。
月山朝日ガイド協会の重鎮・佐藤氏、IDEHAの石沢氏、そして私の3人がガイドとして3班に分かれ、姥沢から月山に登り山頂小屋泊、翌日に羽黒側に抜けるコースである。
今回のガイドを引き受けたのは、月山朝日ガイド協会事務局からご指名があったこともあるが、なにより、子供達を月山に登らせる企画だったことが大きい。
登山中に雷混じりの大雨に遭遇、距離・時間、雷の位置を勘案して山頂小屋に逃げ込む。
子供達はよく頑張ってくれた。
当初の計画では入浴できるか不明だったものの、山頂小屋の方の配慮で子供達がすぐ入浴できる体制になっており、スタッフ皆で安堵する。
長年、月山でガイドやっていながら、山頂小屋宿泊は初めて。
雨雲が去った後の月山で、山頂でしかみられない光景を目にすることになる。
雨雲が去り、目の前に雲海がひろがる。
参加者の保護者、子供達は山頂から見下ろす庄内平野、村山平野に感激した様子。
翌朝は4時前に起床し、4時半頃の御来光を待つ。
皆で寒さに耐えながら、薄明るい東の空を眺め続ける。
そして、
東の空に太陽が昇る。
白装束の参拝者がだれともなく、
「ばんざーい!ばんざーい!」
「今日はいいことあるぞ」
と叫ぶ。
宇宙に無数にある恒星の一つ、太陽。
その「光」という電磁波の一種にすぎない可視光線に、人々は心を動かされ、幸福を感じる。
なぜ日の光はそこまで人々の心を動かすのだろう。
そんな冷めた思いを抱えていたのだが、参拝者の方々の感激をみて、あらためて思い直す。
日の光は生き物にエネルギーを与えるのだ、と。
今日は羽黒側に下山。
白装束で、息を切らし、大汗をかき、金剛杖を頼りに高齢の女性たちが下から登ってくる。
皆、月山に祈るために。
私がみた、月山の御来光。
それは月山を訪れる数多くの老いた参拝者たちが、心の底から見たくても見られない光景なのかもしれない。
御来光を眺めた感動よりも、その光景を分かち合う術をもたない自分にやりきれない思いを抱えながら、私は多くの登山者たちとすれ違い、下山した。
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