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ワラビの根を掘る

『本物のワラビ餅をつくろう』
そんな呼びかけに誘われて、山形県戸沢村・角川(つのかわ)地区へ。

地域おこし協力隊として赴任している鈴木さんが立ち上げたプロジェクトである。

参考サイト 【本物のワラビ餅を作ろうプロジェクト!】 (facebook)

 和菓子そしてわらび餅に詳しい方はウェブサイト上に沢山おられますが、その原料、わらび粉を作る過程を体験した方は少なかろう。ぜひ体験してみたい。軽い気持ちで参加してみた。
 私の知る限りでは、ワラビの根といえば江戸時代の救荒作物、また飯豊連峰山麓の小国町では太平洋戦争直後に貴重な換金作物として、~当時は和菓子の原料ではなく、傘張用の糊、そして食糧難時の食糧として~ 用いられてきた。
 参考文献にはワラビの根掘りは、『なかなか骨の折れる仕事であるから、わらびの根っこ掘りは、血気盛んな若い衆の仕事である。』 と記載されている。

え? 血 気 盛 ん な 若 者 ?
もしかしてタトゥーがバリバリ入った兄ちゃんとか来てたらどうしよう・・・

 すんごいドキドキしながら、集合場所の旧・角川小中学校を訪れる。
 新築の校舎ながら統廃合により廃校になった角川小中学校、そこが地域おこし協力隊の鈴木さんのお住まいでもある。
 この日のメンバーは小学生の男の子含む男性5名、女性3名、初対面ながら、皆さん自然好きな穏やかな方ばかり。

P1
ワラビ根掘りの現場。本日の昼食場所である蕎麦屋・与惣右衛門ご主人の所有地。

P2
あたり一面のワラビ、各自ワラビに埋もれて根っこを掘る。

P3
私が掘り出したワラビ。
こんな風に地下茎になっているため、いったん根っこを見つければ「芋づる式」に掘り進むことができました。

9時半頃から作業開始して、11時半までの約2時間で、
P4
8袋いっぱいに採取。

お昼は、ワラビ採取地を提供してくださった蕎麦屋・与惣右衛門にて板蕎麦を食す。
P13

P14
戸沢村・角川の伝承野菜である「角川カブ」の漬け物も美味でした。

昼食を済ませてから角川小中学校に戻り、

P5
一輪車に掘り出したワラビ根を入れ、水洗いを繰り返す。
凹凸のあるワラビ根に付着した畑の土はなかなか取れない。何度も水洗いを繰り返す。

P6
水洗いの脇では女性陣が細かい髭根、茎、ゴミをハサミで除去。

P7
洗浄した根は家庭科室に持ち込み、まな板と包丁で細かく切断。

P8
我々男性陣は力仕事の準備。
切断したワラビ根を水とともにミキサーに入れ、ドロドロになるまで攪拌。

P9
水を加えミキサーで細かくしたワラビ根、トロトロに凄い粘りけのある状態になったモノを荒布で絞ります。
これが凄い力仕事。
絞れば絞るほど、ヌルヌルになって力が入りません。
1度絞ったモノは水を加え、2回絞ります。

P10
これがワラビ根から抽出した液。
液の成分を沈殿させ、水の交換→沈殿 という作業を繰り返します。
この沈殿待ちに時間を要するため、本日の作業はここまで。

P11
洗浄したワラビ根。
本日の収穫は27.5kg。
昨年の収穫量は8kg、それからワラビ粉160gを抽出したそうです。
鈴木さんいわく、今年は500gは取れるかな・・・とのこと。

 昔々、鶴岡市の致道博物館で、ワラビの繊維で編まれた衣類を見て先人の知恵に感動させられたが、繊維すらをも利用した人々は、根に含まれるデンプンも見逃さなかったのだろう。
 救荒作物『かてもの』の研究で知られる先生のお話で、「江戸時代の飢饉の死者の死因は、餓死だけでなく「食べられる植物」を求めて未知の植物を口にした結果の中毒死も多い。」という話を伺ったことがある。

 そんな多くの人命が失われた歴史の中で、人間はワラビの根から採取されるデンプンを見いだし、わらび餅という菓子を産みだした。
 ワラビ粉を採取できることが知られる、その過程において、人間はどんな紆余曲折とドラマを展開してきたのだろう。

参考文献
 奥村幸雄著『手わざの栞 -手仕事をたずねて-』昭和52年
 高垣順子著『改訂 米澤藩刊行の救荒書『かてもの』をたずねる』平成22年

【追記】
10月13日現在、鈴木さんのご尽力で布濾し3回、沈殿・水交換5回の結果、こんなワラビ粉に精製されています。
Warabi

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