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神々の享楽  【古郡神楽 山形県鶴岡市 古郡 池神社】

8月15日、山形県鶴岡市 古郡(ふるごおり)地区 池神社で開催される「古都神楽」を見学させていただく。

 実は今まで獅子踊りの類いはあまり関心が無かったのだが、民俗行事を調べていくうちに、どうしても山岳文化と切り離せない分野であると知る。
 山形県の北方、鳥海山周辺や最上地方では、神楽(かぐら)、番楽(ばんがく)など様々な名称で神々に奉納される踊りが受け継がれている。

 文献を調べるうちに、特に古都神楽に心ひかれたのは、そこでは高度な曲芸が神社に奉納されるという。
 しかもその曲芸は、芸人のようなプロ集団ではなく、一般住民、市井の人々が修練を重ねて芸を身につけたという。
 盆休みの貴重な山行の機会でもあったが、この日を逃せばまた来年まで見学の機会を待たねばならない。
 古郡神楽を見学すべく、静かな古郡集落を訪れた。

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開催直前、準備が進む池神社の境内

午前11時、太鼓と笛の音で開催が告げられる。

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平成29年の古郡神楽の開催内容

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神社の片隅で、神楽会の男性が曲芸に使う三間梯を掃き清めている。

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「堅(た)て物」と呼ばれる芸の一つ、「刀の三挺つぎ」
抜き身の刀を三本、鍔の穴に刃先を差し込み、弓なりにつないで、その重たい刃先を顎で受けて立つ。

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刀立て。 抜き身の刀を刃先を顎で受けてバランスをとって立つ。

P12
今日は明るい曇天だが風が強く、神楽会の皆さんは芸の披露にかなり苦労されておりました。

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操(く)り物。いわゆるジャグリングで、房の付いたバチから始まり、鎌三本、そして上記画像の鎌、鞠、豆の三つを投げ廻し、鎌で豆を割るという難技に挑む。前述のように風が強くて苦労されてました。

P11
曲芸が見事に決まると、背後で見ている神楽会の男達からも笑みと拍手が出る。
緊張するのだろう、出番前や芸を終えた方々が盛んに喫煙しているのが印象深い。

P16
廻し物と呼ばれる芸の一つ、卵廻し。
盆や菅笠の上で卵を廻していく。

P17
皿廻し。細い篠竹で皿を廻し、その篠竹を顔面に乗せる。

P13
曲芸の中でも最も難しいといわれる「剣三番叟(さんばそう)」。
1mほどの細い棒に皿が付けられ、その上に抜き身の刀二本を交差して置き、その細い棒を顎に乗せ、さらに三番叟(さんばそう・能の踊りの一つ)を舞う。

P14
このときは太鼓も止み、笛の音だけが続く。緊張の一瞬。今年も見事に演じ終えられ、拍手がわきました。

古郡神楽は、これらの高度な曲芸を、普通の人々、古郡集落の人々が練習を重ねて披露・奉納する。

 もともとは獅子舞のみといわれているが、そこに曲芸が伴う、いわゆる「伊勢屋の神楽」が合流したものと考えられている。
 本来の古郡神楽は30~50人を要し費用も莫大なもので、10~20年おきに開催される盛大なものだった。
 昭和に入ってからは昭和25、26年、45、46年に開催されて途切れたが、平成元年に池神社改修の後、規模を縮小して毎年開催されることになった。
 曲芸は人々を楽しませるだけでなく、作占いも兼ねている重要な芸能となっている。

P15
 これだけ高度な曲芸が一般住民の手で神々に奉納され、メディアにもとりあげられることもなく、観光協会のウェブサイトに載ることもなく、ムラの行事として、静かに行われていく。
 集まった観衆も、みな顔見知りの集落の人々。
 ライトアップされ、テレビカメラで写され、「村おこし」の名の下に観光イベントになりさがった神事にくらべ、なんともファンタジックな民間芸能ではないか。

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剣舞の出番を待つ子供達。
彼らも、彼らの親兄弟がそうだったように、この高度な曲芸を受け継いでいくのだろうか。
それとも、少年期の夏の思い出になるのだろうか。

動画による記録はこちらです↓

参考文献 : 無明舎出版編 『庄内の祭りと伝統行事』 無明舎出版、 藤島町伝統芸能振興協会編 『藤島町の伝統芸能 -獅子踊と神楽- 』

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