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2017年 ピオレドールアジア・ノミネートチーム

今年も韓国の月刊誌『人と山』主催のビオレドールアジアに、日本、韓国、中国から登山隊がノミネートされました。
ノミネートされたチームは次の通りです。

12th PIOLETS D'OR ASIA 最終候補チームのプレビュー by 月刊『人と山』2017年11月号

以下引用開始
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12th PIOLETS D'OR ASIA

最終候補チームのプレビュー

 純粋で進歩的な登山を展開し、アジアの登山家たちを激励し鼓舞する意図で制定された、ピオレドールアジア賞も今年で12回を迎えた。登山のオスカーと呼ばれるこの賞は過去11年間、アジア山岳文化の発展を牽引し、アジアの登山家たちに未来志向的な登山の方向を提示してきた。
 すなわち、アルパインスタイルの速攻軽量登山、高難度を追求するクライミング、山を畏敬し自然を保護するアルピニズム本来の純度を強調しつつ、酸素ボンベや人為的な補助、固定ロープやシェルパなどの支援を受けて達成した結果がプロセスより重んじられることができないことを知らしめ、また商業主義に染まった登山・破壊的な登山行為にも警鐘を鳴らした。

 ピオレドールアジア審査委員会は今年も、このような基調を実践したチームをアジア山岳連盟加盟国およびアジア各国の登山専門誌から推薦を受けた後、厳正な審査を経て、最終的な候補3チームを選定した。
 夢をかなえるための情熱一つで挑戦と冒険を躊躇しないアジアの若き登山家たちに会ってみよう。

P1
ダラムスラ(6,446m)北西壁新ルート
New Route on the Northwest Face of Mt. Dharamsura(6,446m)
KOREA TEAM

 韓国を代表するアルピニスト、キム・チャンホ隊長率いる「2017コリアンウェイプロジェクト・インド遠征隊」が新ルート開拓という素晴らしい成果を収めた。
 しかし成果よりも高く評価される点は、挑戦と探検精神を実現しつつ、将来を担う若手登山家育成を目的とした点である。インドのヒマチャルプラデシュ州のクルー山群に入った5人の遠征隊員は高所順応を順調に済ませ、4人がダラムスラ北西壁に挑戦、アルパインスタイルによる4泊5日のクライミングで新ルート開拓に成功した。
 この北西壁は過去に試みられた記録がない新鮮な目標である。この登攀は、韓国遠征隊がヒマラヤにおいてフリークライミングで開拓した最高難度と評価した。コリアンウェイプロジェクトは、今後も優れた成果を上げることが期待される。ピオレドールアジア審査委員会は、今年の韓国を代表する当チームを最終候補に選定した。

ダラムスラ北西壁新ルート
対象 ダラムスラ(6,446m)北西壁
位置 インド・ヒマチャルプラデシュ・クルー山群
ルート 北西壁新ルート
クライミング方式 アルパインスタイル
隊員 キム・チャンホ、アン・チヨン、ク・キョジョン、イ・ジェフン 4名

 P2
チョーラ東峰(6,163m)新ルート
New Route on Chola East(6,163m)
CHINESE TEAM

 今年は中国においても優れたクライミング成果があった。もちろん海外登山の環境が整っているとはいえない彼らの舞台はヒマラヤよりは四川省近くの未踏峰である。それでも中国の若いアルピニストたちの挑戦は止まることはない。
 3名の中国人青年ガオ・チュン、リウ・ジュンプ、チェン・シャンシャンドンは四川省のサンルイ山群北に位置するチョーラ山を目指した。彼らが目標にしたのは、この山の最高峰である東峰(6,163m)。西峰(6,149m)は1988年に日中合同隊によって登頂されたが、東峰はまだ未踏峰として残っていた。
 東峰頂上直下は強風にさらされた100mの長いリッジで、転落の危険性が高く老練な登山経験と確実な確保技術が必要であり、決して簡単なルートでは無い。しかし彼らは2017年8月9日、頂上に到達した。ビオレトール審査委員会は、中国を代表して今年の優れた登山を成し遂げた同チームを最終候補に選定した。

チョーラ東峰新ルート
対象 チョーラ東峰(6,163m)
位置 中国四川省サンルイ山群
ルート 東峰新ルート
クライミング方式 アルパインスタイル
隊員 ガオ・チュン、リウ・ジュンプ、チェン・シャンシャンドン 3名

 P3
シスパーレ(7,611m)北東壁新ルート
New Route on the Northeast Face of Mt. Shispare(7,611m)
JAPAN TEAM

 平出和也と中島健郎。
 このデュオは2017年に素晴らしい登山をやり遂げた。シスパーレ北東壁の初登攀である。パキスタン、カラコルム・バツーラ山群の2,700mの壁は、これまでに数多くのアルピニストの胸をときめかせた。シスパーレそのものは1974年ポーランド・ドイツ学術遠征隊が1,500mの固定ロープを使い35日かけて初登頂した山である。
 平出和也はシスパーレに4度、北東壁は2度の試みの末、ようやく成功を収めた。これはアルピニストが不屈の精神を一般大衆に示した模範的な事例といえよう。平出和也は谷口ケイと共に2008年カメット(7,756m)南西壁を初登攀し、すでにヨーロッパのピオレドール賞を受賞した経験を持つ。
 今回彼は中島健郎とペアを組み、アルパインスタイル5日間でシスパーレ北東壁を登り、自分自身の目標にピリオドを打った。ピオレドールアジア審査委員会は、このチームをためらうことなく、最終候補に選定した。
 
シスパーレ北東壁新ルート
対象 シスパーレ(7,611m)北東壁
位置 パキスタン・カラコルム バトーラ・ムズターグ
ルート 北東壁新ルート
クライミング方式 アルパインスタイル
隊員 平出和也、中島健郎 2名

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以上引用おわり

同時に優れたクライマーに与えられる「ゴールデンシューズ賞」には、韓国からチョン・ジョンウォン、日本から一宮大介、中国からベテランの王清華がノミネートされています。

参考記事 当ブログ 中国の王清華、中国人初の5.15a(9a+)に成功

「人と山」の紹介記事を読む限り、平出・中島ペアのシスパーレがぶっちぎりのような気がしますが、ノミネート3隊の中で唯一隊員が公募制だった韓国隊の「若手育成」という持続性のあるテーマがどう評価されるか、中国隊による未踏峰をアルパインスタイルで陥した成果がどう評価されるのか。
11月初めの表彰式の結果を待ちたいと思います。

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