餅の里、一関
さすらいの現場作業員、先週から岩手県は一関に住み込み。
さっそく一関市立図書館にて調べもの。
地方都市の公立図書館としては非常に垢抜けたデザインで、綺麗なカフェも併設されている。
なにより社会人にうれしい、開館時間が午後8時まで。
一関市を含む岩手県南は伊達藩の影響を多大に受けていること。
そして「餅食」文化の地であることを知る。
調べていくうちに腹へってきた。あー我慢できん。
急遽、「餅膳」で知られる ふじせい に直行。
では、「ひと口もち膳」を一つずつ解説。
しょうが餅 具はシイタケ、根しょうがのおろし汁を効かせた「あん」がかけられている。しょうががばっちり効いていて喉にきます。
あんこ餅 岩手県南独特の「もち本膳」では最初にふるまわれる餅。冠婚葬祭に欠かせない一品とされ、こしあんです。
納豆餅 岩手県南では冠婚葬祭で餅が出されるが、納豆餅は「糸を引く」という言葉から不祝儀に出すのは禁忌とされる。
くるみ餅 オニグルミをすり砂糖・塩で味付けしたもの。ちなみにくるみ餅は「岩手県民の好きな餅」の上位に常にランクする餅だそうな。
大根おろし 甘酢で味付けされている。岩手県南伝統の「もち本膳」の中央に位置する、欠かせない一品。
えび餅 小さな沼エビを丸ごと炒って、だし醤油であじつけした餅。岩手県南独特の餅で、食文化に関する文献を調べていて一番気になっていた餅。真っ先に箸を伸ばして喰いましたが、エビの香ばしさが餅によく合う。けれども、最初にあんこ餅を食べるのが本式の作法です。
ずんだ餅 枝豆をすりつぶし、砂糖・塩で味付けしたもの。本来は夏から秋の餅料理。そもそも岩手県南に餅文化が根付いた理由の一つは伊達藩の影響といわれるが、当然ずんだ餅も流入してきたものだろう。
じゅうね餅 「じゅうね」とはシソ科の「エゴマ」の実をさす。ゴマ同様によくすって砂糖・塩で味付けしています。かすかにシソっぽい風味です。
タレを残さずたべられるようスプーンもつきます。各小皿の餅は一口サイズなので、小食な女性の方でも全部食べられると思います。
以前とりあげた「お茶餅」でも書きましたが、餅文化といっても、もともとは貧しい農民たちはクズ米を粉にして練り、「しいな餅」として食していました。
古老の証言では、現在のように「白い餅」が食べられるようになったのは昭和35年あたりから、と言われています。ちょうど日本の高度経済成長の頃ですね。
しかし昭和40年頃を境として、県南地域の結婚式から本格的な「もちふるまい」、「もち膳」の習慣・作法が消えていきました。
ようやく生活が豊かになり、「白い餅」が食べられるようになると同時に、地方独特の習慣も消えていく。
一方で、岩手県南の自治体では「餅食文化」としてイベントや研究会などで、古来の「もち本膳」の作法を残すべく活動が続けられています。
初日に美味しい「ひと口もち膳」を食ったし、今週も仕事頑張ろう(自己申告)。
参考文献 : 一関もち文化研究会「一関地方に伝わる「もち膳」の再現」平成18年、 一関もち食推進会議「もちのまち」平成29年、佐藤育郎「一関お餅道場」平成20年
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