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冬季K2登山隊始動 クシストフ・ビエリツキの言葉に学ぶ

久々のビッグプロジェクト。
ポーランド隊によるK2冬季登山隊が2017年12月29日、ワルシャワを出発しました。

Polish expedition to K2 leaves Warsaw by RADIO POLAND 2017.12.2
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K2w2
ポーランド隊のメンバーは次の通り。

クシストフ・ビエリツキ(Krzysztof Wielicki) 登山隊隊長
ヤヌシュ・ゴラブ (JanuszGołąb) 渉外担当
ピョートル・スノプチンスキー (Piotr Snopczyński) BC運営管理
ジャロスワ・ボトル (Jarosław Botor) ドクター
ダリウス・ザルスキー (Dariusz "Darek" Zaluski) カメラマン
アダム・ビエリツキ (Adam Bielecki)
ラファル・フロニア (Rafal Fronia)
マレク・チミラルスキ (Marek Chmielarski)
マルチン・カッツカン (Marcin Kaczkan)
アルトゥール・マレク (Artur Małek)
ピョートル・タマラ (Piotr Tomala)
マチェク・バドレチュク (Maciek Bedrejczuk)
デニス・ウルブコ (Denis Urubk)

以上の13名。インタビューでクシストフ・ビエリツキも言及していますが、チームの半数が既にK2登頂を果たしている「最強」のメンバーとされています。

当初は不参加が伝えられていたデニス・ウルブコも参加を決め、今やポーランド登山界の牽引役となったアダム・ビエリツキといかに力を合わせて冬季K2を攻略するのか、興味をそそられます。

予定ルートは
K2w1
赤線がチェセン・ルート(南南東リブルート)、黄線がアブルッツイ稜。
現地に到着後、天候・ルートの状況次第でいずれかを選ぶとのこと。

K2w4
隊長を務める8000m峰冬季登山の重鎮、クシストフ・ビエリツキ(67歳)は既に様々なメディアでインタビューに応じていますが、含蓄のあるコメントを伝えています。

以下、Pythom.comによるインタビューからの抜粋です。

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Q.K2の話題に戻りましょう。もちろん、このことに触れるのは時期尚早ですが、あなたの考えでは、誰が頂上アタックチームに入るでしょうか?

クシストフ・ビエリツキ(以下クと略).ええ、そのことに関して今話すことは難しいですね。状況が最終的にどのようになるか、決してわかりません。アダム・ビエリツキ、ヤヌシュ・ゴラブ、デニス・ウルブコらベテランの経験を信頼していますが・・・しかし、それはどのようになるか、わかりません。 たとえば、私が冬季エベレストに登頂したとき、それまで8000m峰に立ったことはありませんでした。私にとって初めて8000m峰が冬の世界最高峰でした。ですから結果として、どのような結末を迎えるかは、誰にもわからないでしょう。

Q.初めての高所登山で冬季初登頂、どのように思われましたか?

ク.遠征隊が出発したとき、私は友情のため、仲間をサポートする役目だろうと考えていました。決して私が頂上に立つ、と考えていたわけではありません。私たちの考え方として、自分だけのために登頂するのではなく、ポーランド山岳協会のために行くのだと考えていました。
 (登頂成功後)私たちが下山すると、ベースキャンプで待っていた仲間の一人が泣いていました。それは嫉妬からではありません。彼は私たちのために喜んでくれたのです。それが真のチームワークでした。 しかし、今日(こんにち)では・・・・

Q.今日では・・・何ですか?

ク.それは無理でしょうね(笑)。 「あんたが登頂するなら、あんたが登頂するから俺も登頂する。」そのようなものです。あなたもおわかりでしょう。

Q.それでは、現在の「チームワーク」とは・・・・

ク.私だけの想いでしょうかね。残念ながら、これが現実ですよ。

Q.あまりにビジネスライクだと。

ク.そうです。多くの分野で、特定の人にだけ焦点があてられます。 記者会見で、「私は登った」 「私は登頂した」 「私はやり遂げた」と言う。 ええ、私は個人的な見解だと理解できますが、しかし、彼らは自分自身だけの力で登頂したのでしょうか?彼らのために支援してくれた人達についても語るべきです。
(訳者注 : Pythom.comの注釈として、「現在のエベレストで『シェルパのサポート無しで登頂した』と主張するクライマーが、実際はシェルパが整備した一般ルートを登っている」と記述している)

Q.今回の遠征では強力な個性と実力を持ったクライマーが集められました。隊長としてのあなたの方針・めざすものは何でしょうか。

ク.そうですね。私は彼らに古典的な哲学を仕込み、チームとして行動させることです。

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以上引用おわり

私事ですが、ブログに書く文章と極悪な性格に似合わず、立正大学体育会山岳部ではホトケの大滝と言われ(自称)自己主張が足りないと散々叱られてばかりだったんですが、ポーランドのクシストフ・ビエリツキがこんなにもチームワーク重視の岳人だったとは、今回のインタビュー記事を読むまで浅学ながら知りませんでした。

自分の成果を誇るだけでなく、自分を支えてくれた人々にも目を向けよ。
8000m峰冬季登頂のパイオニアたるクシストフ・ビエリツキの言葉、社会人・末端現場作業員の私にも感じ入るものがあります。

過去記事にも書きましたが、クシストフ・ビエリツキは「歩く自己主張」ワンダ・ルトキエビッチの人生をバッサリ斬ったコメントを吐いているのですが、その理由もようやくわかったような気がします。

さて、K2はもちろん8000m峰の冬季登頂も数々こなした超強力なメンバーをそろえた今回の登山隊。
隊長であるクシストフ・ビエリツキの指揮下で、どんな登山が展開されるのでしょうか。
2018年早々、注目すべき登山隊は1月7日頃、K2ベースキャンプに到着予定です。

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