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【訃報】 ジム・ブリッドウェル逝く

Jim
 ミスター・ビッグウォール、ジム・ブリッドウェル (Jim Bridwell) 氏が長い闘病生活の末、亡くなりました。73歳でした。
 昨年から腎臓病と肝炎を併発し、ご子息のレイトン氏を中心に治療費募集が呼びかけられ、世界中からの寄付金が約3万8千ドルに達しているところでした。

 私がジム・ブリッドウェルの名前を知ったのは、リック・リッジウェイらと共に敢行したボルネオ横断行の記録からでしたが、残念なことに、このときに現地人から入れてもらった入れ墨によって肝炎に感染したものといわれています。
 私生活の方では、あのリーマンショックによる影響で家計が破綻し自宅を失い、このときもクライミング関係者らによって援助をもとめる活動が展開されていました。
 
参考サイト:当ブログ ジム・ブリッドウェルが大変らしい。2008.12.08

その生涯はまさに「ミスター・ビッグウォール」。その記録を綴ればそのままヨセミテの登攀史になりますし、足跡はアラスカ、ヒマラヤ、パタゴニアにも及んでいます。UKCは特筆すべき記録としてエルキャピタンの「シー・オブ・ドリームス」、そして1975年にジョン・ロングらと果たしたノーズの「ワンディ・アッセント」初成功を挙げています。

im Bridwell dies aged 73 by UKClimbing 2018.2.16

1975_westbay_bridwell_long_nose
1975年のノーズ・ワンディアッセント成功時、エルキャピタンの前に立つ、若き日のレジェンド達。左からビル・ウエストベイ、ジム・ブリッドウェル、ジョン・ロング。この写真の真似をした日本人クライマーも少なくないよね。

79年にはパタゴニア、セロトーレ南東稜(アルパインスタイルでは初)、81年にはマッグス・スタンプとアラスカのムースズ・トゥース、82年にはネッド・ジレットらとネパールのプモリ南壁冬季登攀遠征に赴いています。

これだけの素晴らしい経験・技術をもつクライマーでありながら、単独登攀の記録がありません。
Rock and Ice誌ウェブサイトに素晴らしい追悼記事が掲載されています。

Jim Bridwell, Founder of YOSAR and Big-Wall Godfather, Dead at 73 by Rock and Ice 2018.2.16

上述の記事の中から、ジム・ブリッドウェル氏の名言を引用します。

‘I’m not friends with climbers, I’m friends with people.’
(私はクライマーと友達なんじゃない、人間と友達なんだ。)

“I don’t need to solo, I got friends.”
(単独登攀するつもりなんかないよ、友達がいるからね)

そんな言葉を口にしたジム・ブリッドウェル氏は人を殺めることを嫌い、ベトナム戦争に従軍することを拒否、60~70年代のベトナム戦争激しき時代、ひたすらヨセミテの大岩壁に足跡を残していきました。

また一人、世界の登山史を彩ったクライマーが世を去りました。偉大な先達の死に哀悼の意を表します。

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