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デニス・ウルブコ、独断・単独でK2アタック開始

 K2冬季登頂を目指すポーランド隊が波乱の展開をむかえました。

 2月24日朝、隊の主力メンバーであるデニス・ウルブコが単身BCを出発、隊に無断で、一人だけで頂上アタックを開始したことが判明しました。

Denis
冬季K2ポーランド隊で登高中のデニス・ウルブコ

 各種報道によれば、そもそもデニス・ウルブコは『ヒマラヤ登山における「冬季」の定義は12月1日から2月末まで』という持論の持ち主。 (筆者注:ヒマラヤ登山における冬季の定義はいまだ議論がありますが、現在は春分の日までを冬季とするのが一般的)
 一方、隊を率いるクシストフ・ビエリツキ隊長の方針は、ルート工作を終えた3月初旬に隊として頂上をめざすプランで登山活動を展開していました。

 この意見の違いが、ウルブコとビエリツキ隊長の間で「高所キャンプの設営位置」を巡る意見の相違にもつながったようです。
 24日朝BCを出発したウルブコは、ビエリツキ隊長との無線交信も拒否と伝えられています。

 ポーランド・メディアから伝えられる報道では、登山隊のメンバーの間でも、やはりデニス・ウルブコそしてポーランド登山界のホープであるアダム・ビエリツキのペアが頂上をめざすものと考えられていましたが、そこに今回のウルブコの独断専行ともいえる行動。
 ポーランド山岳協会幹部のコメントでは「怒りよりも驚き」というコメントが伝えられています。

 心理学者で山岳救助隊に携わった経験を持つトマシュ・コズラウスキーは、「ウルブコを突き動かした二つの要因として、ウルブコの年齢は45歳、冬季K2を狙う最後のチャンスであること、このままBCで待機していれば登頂の機会を逃すことになるという思い」という点に言及しています

 今後の気象条件が思わしくないこともあり、ポーランド隊はウルブコの頂上アタックをサポートすべく動いています。
 落石による負傷で登山隊を離脱したラファル・フロニアがポーランドメディアでコメントしています。

『私は驚いてません。そのような状況を期待していたとは言いません。当初からデニスはカラコルムの冬季は2月末で終わると言ってました。決断なきところにリスクも、成功もありません。 

 (中略) 彼が決断したのなら、その行動が成功する可能性は高いということです。彼は非常に経験豊かで決断力があり、高度に順応しています。そして天候のチャンスがある。今の私にとって最も重要なのは、彼が生還することです。マチェク・バドレチュクとマルチン・カッツカンが上部に登っていますが、彼らがデニスをサポートするでしょう。

 (中略)  このアタックが成功することを祈っています。デニス単独であろうと、他のメンバーの支援を受けての登頂であろうと、それは登山隊の大きな成果になります。 「ポーランドの登山隊」であることを忘れないでください。』

ラファル・フロニアはどちらかといえば肯定的にウルブコの行動について語っています。

とはいえ、隊長であるクシストフ・ビエリツキにも何も言わぬまま、一人山頂を目指すデニス・ウルブコ。
既にポーランドはじめ各国クライミングサイトでは議論が沸騰しています。かつてナンガパルバット初登を果たしたヘルマン・ブール、ルパール壁初登を果たしたメスナー兄弟のような、隊長に離反して登山史を創ったクライマーにデニス・ウルブコを重ねる意見もあります。

2月25日現在、デニス・ウルブコは6700mのC2をとばして7200mのC3に登高中。
登山隊はウルブコのサポート体制も進めつつ、あくまでも3月上旬の登頂目指して登山活動を続行中。

当ブログで紹介したクシストフ・ビエリツキの理想は、現代最強と目されるウルブコの行動の前にもろくも崩れ去りました。

ヒマラヤの冬季は2月末までという自身の信念に従い、単独で山頂を目指すデニス・ウルブコ。
クシストフ・ビエリツキの指揮下、3月上旬の頂上アタックを目指す強力なポーランド隊メンバー。
いましばらく、冬のK2登山隊から目が離せない状況になってきました。

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