葉山、死者を見送り生者を見守る山
13日、寒河江市の葉山市民荘から「畑コース」たどって葉山山頂を往復。
林道歩きを過ぎ、雑木林を抜けるとブナ林に入る。
登山口の蒸し暑さから、少し気温が下がり気持ちの良いブナ林歩きが続く。
ブナ林の中は、エゾハルゼミの大合唱BGM付。
緩急織り交ざった登山道を登りつめ、稜線へ。
あまり見慣れない西側からの山形盆地の光景を眺める。天童の里山、出羽の三森(みつもり)と呼ばれる舞鶴山、八幡山、腰王山が離れ小島のように浮かんで見える。
稜線出だしの木道沿いはツマトリソウの大群落。花言葉は「純真」。私には無縁の言葉である。
さらに稜線を進むと、登山道の両側をアカモノの花が埋め尽くしている。他の登山者とすれ違うときには足の置き場に困るほどだ。
稜線全般を彩るゴゼンタチバナ。花言葉は「移り気」。好きですゴゼンタチバナ。
曇天ながら、彼方に鳥海山がくっきり見える。爆裂火口跡の葉山東面の光景と相まって見とれてしまう。
何より驚いたのが、シラネアオイの大群落。(畑コースを往復するのは10年ぶり位) 蕾もありましたので、来週くらいはまだ楽しめそうです。
小僧森~大僧森の稜線を彩るツバメオモト。 バラエティに富んだ稜線の花々に、あらためて葉山の魅力を実感。
稜線を歩いて突然ひろがる月山東面の風景。この角度からの眺めは、平地だと葉山の陰になってしまう。登ってきた者が楽しめる光景。
山頂は虫がパニック映画なみに飛来してくるため、行動食を齧り水分補給して即下山。
登山口の葉山市民荘で買い求めた、葉山オリジナルシェラカップ。(1個¥1,500で販売中。私はオリジナルグッズに弱い) 早速買ったカップで長命水(葉山市民荘前の水場)で一息つく。
数年前、父方の叔父の葬儀に参列したときのこと。
叔父は葉山を間近に眺められる、村山市の高台に住んでいた。
自宅での法要を済ませ、葬儀場に行くマイクロバスに乗り込んだ。バスは葬儀場のある村山市内へと降りていく。
その日は晴天、車窓には葉山の東面が大きく見えていた。
御遺骨を抱いた娘さんが、つぶやいた。
「じいちゃん、今日はお山がはっきり見えているよ。」
叔父は日々、葉山を眺めていたのだ。
以前に葉山に登った際、湿原に供えられていた蝋燭を思い出す。葉山信仰は、現代に生き続けている。
死者を見送り、生者を見守る山。それが私にとっての葉山である。
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