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民衆を叩く人々 アメリカ・パークポリス

毎日ニュースで話題になっている、アメリカの大規模デモ。

デモ参加者を容赦なくぶちのめす警官隊。

彼らの正体は、アメリカ国立公園局に所属する「パークポリス」でした。

一見、政治的事案と何の関係もない国立公園の所属部門であるパークポリスがいかにして民衆を弾圧する精鋭部隊となったのか。

その一端を、自然保護団体シェラクラブ機関紙が記事にしていました。

Why Does the National Park Service Have a SWAT Force? by SIERRA 2020.6.15

以下記事引用開始

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Police

警察は2020年6月1日、ラファイエットパーク周辺のエリアを排除しました。 Photo by AP通信 ALEX BRANDON

オピニオン記事

執筆者 JEREMY MILLER(ジェレミー・ミラー)
※ここで表明された意見は、執筆者の意見であり、必ずしもシエラクラブの公式見解を反映するものではありません


 2週間前、ワシントンDCで起こった警察による恐ろしい暴力行為-大統領警護チームが教会の前での写真撮影のため、平和的なデモ参加者を排除したことで、今後何十年にもわたり記憶に刻まれることになるだろう。6月1日、ホワイトハウス近くのラファイエットスクエアに数千人のデモ参加者が集まり、ミネアポリスの警官によるジョージ・フロイド氏殺害に抗議した。何の前触れもなく、「US Park Police」と書かれた盾を持った警官たちが群衆に襲い掛かった。現場にいあわせた非暴力のデモ参加者やジャーナリストたちは、催涙ガスを浴びせられ、警棒で殴られ、「低致死性」の銃弾で撃たれた。

 その直後、ドナルド・トランプは鎖でガードされたホワイトハウスから現れ、ペンシルベニア通りを渡り、セントジョンズ・エピスコパル協会に向かった。武装した警官の間をすりぬけ、しかめっ面とにや笑いを浮かべ、トランプは娘がデザインしたハンドバッグから聖書を取り出し、高く持ち上げた。

 多くの批判は警察の対応の悪質さと大統領の写真撮影の政治的破綻に焦点を当てていたが、より根本的な質問には答えられていない。トランプの個人的な暴力集団として行​​動した警官たちは何者なのか?なぜ彼らはここにいるか?そもそも、そのような部隊は存在すべきなのか?

 ウールのセーターにハット姿、笑顔のレンジャーで最もよく知られている連邦政府機関所属の国立公園局。USパーク・ポリスは、首都と周辺の連邦政府のランドマーク保護を任務とする、国立公園局の特別部署である。USパークポリスは、ニューヨーク市とサンフランシスコの連邦施設でも警備を担当しており、全国の市警同様に、伝統的な警察というよりも、準軍事部隊のような存在である。USA Todayの取材によると、 議会の予算削減により講演管理局は2005年以降、法執行スタッフの20%削減を余儀なくされましたが、デンバー警察より大規模な1750人以上の隊員を擁している。

 その強力さは、ここ数週間、ホワイトハウスの周辺にチェーンバリケードを設置し、抗議者を公園から排除し、リンカーン記念碑やワシントン記念碑からも遠ざけたことで明らかになっている。

 市民たちのデモに対するパークポリスの暴力行為は 違憲である可能性が非常に高い。その強硬な戦術は「この世代と将来の世代の楽しみ、教育、インスピレーションのために、国立公園システムの自然および文化的資源と価値を損なわないよう保存する」という国立公園システムの使命にも反している。

 皮肉なことに、国立公園局の近代的な警察組織は、警察の不正行為による悪名高いエピソードにまで遡ることができる。記事「その銃は熊のためのものか?」の筆者であり研究者のアリス・B・ケリー・ぺナズ氏によると、「1970年のヨセミテ暴動は、 7月4日の週末に約500人の若者がヨセミテのストーンマンメドウに集まった時に始まりました。集会はすぐに、アルコール、ドラッグ、ヌードなどの反社会的な「ハプニング」に変化しました。公園のスタッフは、すでに混雑したヨセミテバレーの他の訪問者への迷惑になることや、草原の生態系へのダメージを懸念して、若者たちと対立し、衝突した。緊張が高まるにつれ、若者たちは草原を「占領区」と宣言した。ある者は「殺し屋のレンジャーが我々の聖域を奪おうとしている」とニューヨーク・タイムズに語り、あるものはヨセミテバレーを奪還するために「10,000人の軍隊をよこせ」と要求しました」

 拡大する群衆を分散させようと、公園局は夜間外出禁止令を出しましたが、自称占領者たちはこれを無視しました。その後、パークレンジャーは暴力で対応しました。ある目撃者は、暴動の最初の瞬間をこのように説明しています。「パークレンジャー、整備作業員、さらには建設ヘルメットを着用し、斧の柄で武装したナチュラリストまでもが草原に出てきた」  他のレンジャーは馬に乗って、警棒と催涙ガスを使って群衆を一掃しようとした。群衆は、道路に火をつけ、パトカーを転覆させ、反撃した。数時間後、公園スタッフは最終的に彼らを鎮圧した。周辺の町から警察官の応援を得て、レンジャーは130人以上を逮捕した。後日の調査では、寄せ集めのヨセミテ警備チームが多くの違法な取り締まりを行っていたことが明らかになった。不適切に没収された金品の目録を作成し、違法な捜索を行ったことに加え、レンジャーは「ヒッピー」を鎮圧するために過剰な暴力を行使したと目撃者から非難されています。


 ペナズ氏によると、ヨセミテの暴動は分水嶺だったという。「暴動は、法の執行と国立公園局内でのレンジャーの姿について、二極化した見解になっていたものを先鋭化した」とペナズは述べる。「公園局が法執行プログラムを専門化し、訓練を強化し、法執行官としてのレンジャーの役割をより明確にする必要があると考える人々がいました。その一方で、法の執行に反対する人や、公園内では法の執行は見えないままでいてほしいと考える人もいました」

 公園内での「見えない」法の執行を求める人々は、すぐに、そして確実に排除された。1971年、議会は法の執行に力を入れ、人材育成と訓練に50万ドル以上の予算を計上した。過去50年間、国立公園局は数十億ドルもの税金を投じて警察能力を強化してきた。1975年、国立公園局は特殊部隊を設立、オートバイ、警備犬、航空隊、そして完全装備のSWAT部隊を含む。公園局のWebサイトによると、SWAT部隊は「サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフル、および低致死性武器を含む様々な武器に精通している」という。9.11後の「テロとの戦い」では、手榴弾やM-16ライフルなどの軍用兵器が公園局に流入した。今日ではアメリカ西部の国立公園、ほとんど人が訪れることのない国立公園でも、法執行機関のレンジャーが大型のピックアップトラックやSUVを運転しているのを目にすることは珍しいことではない。

 トランプ政権が国立公園管理局の予算削減(ホワイトハウスが提案した2021年予算案では、内務省の予算を14%削減)を提案しているのにもかかわらず、国立公園管理局は「特殊部隊」プログラム、特に行政府の高官の警備プログラムに資金を注ぎ込もうとしている。2021年の予算では、公園管理局は内務長官を警護するための専用警備部隊のために140万ドル近くを要求した。その理由は、「長官はテロ行為、暴力行為、外国情報機関の脅威、嫌がらせの標的になる可能性があるからだ」というものです。予算要求によると、追加職員は警護するだけでなく、「内務長官に向けられた不適切な通信、脅迫、組織的抗議、市民的不服従などの潜在的な要素を積極的に嗅ぎつける」ことになるという。

 2週間前のラファイエットスクエアでの抗議者への虐待に戻ろう。パークポリスが動員されたのは、史跡を守るためでも、市民が平和的に抗議する権利を保証するためでもない。その数時間前にはホワイトハウスの地下の地下壕に退却したと報じられた大統領を守るためである。 これは単に連邦政府のリソースの浪費であり、米国の数少ない真に愛すべき連邦機関の一つを汚しただけでなく、米国の「best idea」を守るために作られた警察組織の悪用でもある。

 これに対して、下院自然資源委員長のラウル・グリハルバ率いる民主党議員は調査を要求し、警察に命令を出した政府関係者の身元を明らかにし、暴力行為に関与した他の法執行機関のリストを要求した。上院では、上院エネルギー・自然資源小委員会国立公園委員会のメンバーであるメイン州の無党派議員アンガス・キング氏が、6月1日の事件について懸念を表明するため、内務長官デビッド・バーンハート氏に書簡を提出している。「これらのデモの間、パークポリスは、他の警察機関の中でも、過剰な暴力、催涙ガス、低致死性弾丸を使用して、公園から無差別に抗議者を排除したとみられる。」


 グリハルバ議員とキング議員は、懸念事項のリストに加えて、最後通告を要求することを提案した。

 アメリカのパークポリスが国立公園局の民主的な価値観を守ることができないのであれば、政治的なデモ参加者を攻撃するための実行部隊にまで矮小されているのであれば、解散すべきである、と。

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以上引用おわり

 文中のSWATとは、サディスティック・ワースト・アメリカン・チームの略(嘘です。アメリカのジョークです)ではなく、Special Weapons And Tactics の略で、要は特殊部隊のことですね。

 アメリカ国立公園局にこのような部署が存在することは、私も不勉強ながら記事を読むまで知りませんでした。

 クライマー、クライミングを長くやっている連中なら、ヨセミテキャンプ場でのパークレンジャーとのいざこざや、著名クライマーの「武勇伝」なんかを聞いたことがあるかと思います。

 日本でも、そんなヒッピー文化の影響を真に受けたバックカントリースキーヤーやクライマーの爺が「登山は反社会的・・・」と持論を唱えてますが、この記事を読む限り、アメリカ国家権力の恐ろしさを知ってて書いてんの?という気がします。

 香港を蹂躙する国家保安法に対して中国と対立するアメリカですが、民衆を弾圧する国家権力機関が国立公園管理局にも存在するという、私にとってもショッキングな記事でした。

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