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K2 2018夏 登山報告書

 先日の小谷部明追悼集「すかり」に続き、郡山市在住の保坂昭憲氏より、北日本海外登山研究会登山隊報告書『K2 2018夏 登山報告書』をお送りいただいた。

Repo

同隊は日本人隊員6名、ハイポーター2名の登頂に成功するものの、渡辺康二郎隊員がボトルネックで滑落死してしまった。

記録を詳細に読むと、困難な山の代名詞であったK2も公募隊全盛となっている現実、「今現在のK2」がよくわかる内容になっている。

隊長であった故・小谷部氏はネパールから来たシェルパ主導のルート工作を避けるために現地に最初に乗り込む形で主導権を握ろうとするのだが、後からやってくる大手公募隊とやはり調整をとらなければならず、さらには隊のテントや装備、デポ品の無断使用などが横行する現実と向き合わなければならなかった。

 そのような「8000m峰の今」とは別に、私が最も興味深く拝読したのは、報告書と併せて送られてきた保坂氏ご自身による、渡辺隊員の事故処理の記録である。私情を挟むことなく簡潔に、事実を時系列に記したその記録はまさに貴重な記録といえる。

 私は保坂氏の記録を幾度も読み返し、今のヒマラヤ登山隊では失われつつある「事務局」の存在と必要性、さらには「組織」の存在意義まで思いを巡らせた。

 ライトエクスペディション。 

 アルパインスタイル。

 掛け声は勇ましいが、いざ事故が発生したとき、人間は現実を突きつけられる。

 遠く離れたパキスタンでの事故、保険、死亡証明、ご遺族との対応等々。

 「登山の反社会性」などとウェブやツイッターで威勢のいい事を書いている輩は多いが、ひとたび事故が発生すれば、法と行政という社会のシステムから逃避することはできない。

 自宅に届いたK2隊の報告書は、そのことをあらためて自戒する、保坂氏からの教えでもあった。

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